誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗

文字の大きさ
43 / 58

43.悩んでも

しおりを挟む
 シェリウェントさんからの話を聞いてから、私はずっと考えていた。
 どうすれば、レリクス様を救い出すことができるのだろうかと。

 彼は、悪しき王に精神を支配されている。
 このままでは、最終的にその意識は消えてしまうらしい。
 それは、どうにかして止めなければならないことである。私は、彼を助けたいのだ。

 という訳で、私は自室で一人悩んでいた。
 私に答えが出せることではないのかもしれないが、それでも考えてしまうのだ。

『……悩んでいるようだな』
「ズグヴェルさん?」

 そんな私の頭の中に、声が響いてきた。
 その声は、ズグヴェルさんの声である。

「えっと……確かに悩んではいますけど、どうしてわかったんですか?」
『我は、お前の心の中に潜んでいる。故に、お前の心の状態がわかるのだ』
「心の状態?」
『お前が元気であるなら、心の中は清々しい雰囲気に溢れている。逆に、お前が悩んでいると、心の中がじめじめした雰囲気になるのだ』
「そうなんですね……」

 ズグヴェルさんの言葉に、私は少し安心していた。
 彼が話しかけてきたことによって、私の頭にはある考えが過っていた。それは、ズグヴェルさんが私が何を考えているかを手に取るようにわかるのではないかということである。
 そうではなかったことに、私は安堵しているのだ。流石に、考えていることを全て見抜かれるというのは気分がいいことではない。

『……奴との戦いは、俺達に任せておけばいい。あのレリクスという小僧も救い出してやる』
「何かいい方法とか、あるんですか?」
『……』

 私の質問に、ズグヴェルさんは黙ってしまった。
 それは、いい方法を思いついていないということだろうか。

『……悪しき王をレリクスから引き離すというのは、難しいことなのだ』
「……そうなんですか?」
『我らは、悪しき王によって巫女の体に封印されたのだ。封印……つまり、簡単には出て来られないようになっている。奴も同じ手を使っているということは、引き離すのは簡単ではないということになる』
「なるほど……」

 ズグヴェルさんの説明で、私は理解した。
 封印、それが簡単に解けるものではないというのは当然のことだ。

 龍である彼らでも、それは頭を悩ませる問題なのだろう。
 それを私が考えても、仕方ないのかもしれない。

「あれ? そういえば……」
『む? どうかしたのか?』

 そこで、私はあることを考えていた。
 それは、前世のゲームのことである。あのゲームで、レリクス様はどうなったのか。それがふと気になったのである。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。

千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。 だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。 いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……? と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

死を望まれた王女は敵国で白い結婚を望む。「ご安心ください、私もあなたを愛するつもりはありません」

千紫万紅
恋愛
次期女王として王位継承が内定していたフランツェスカ。 だが戦況の悪化を理由に父王に争いの最前線に送られた。 それから一年、命からがら王都へ戻った彼女を待っていたのは労いの言葉ではなく、敵国・シュヴァルツヴァルトの王太子への輿入れ命令。 しかも父王は病弱な異母妹アリーシアを王妃に据え、フランツェスカの婚約者レナードを王にするという。 怒りと絶望の中フランツェスカはかつて敵将であったシュヴァルツヴァルト王太子・フリードのもとへお飾りの妻として嫁ぐことを決意する。 戦地での過去を封じ、王族としての最後の務めを果たすために。

婚約が白紙になりました。あとは自由に生きていきます~攻略対象たちの様子が何やらおかしいですが、悪役令嬢には無関係です~

Na20
恋愛
乙女ゲーム"この花束を君に"、通称『ハナキミ』の世界に転生してしまった。 しかも悪役令嬢に。 シナリオどおりヒロインをいじめて、断罪からのラスボス化なんてお断り! 私は自由に生きていきます。 ※この作品は以前投稿した『空気にされた青の令嬢は、自由を志す』を加筆・修正したものになります。以前の作品は投稿始め次第、取り下げ予定です。 ※改稿でき次第投稿するので、不定期更新になります。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

処理中です...