婚約破棄が、実はドッキリだった? わかりました。それなら、今からそれを本当にしましょう。

木山楽斗

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 オルフィリアの説明で、ソルガード様がどのような立場にあり、どのような思いを抱いていたのかは大体わかった。色々と複雑な立場だったようである。
 私は、ソルガード様の方を見ていた。すると、彼は気まずそうに目をそらした。その頬は、少し赤くなっている。どうやら、少し照れているようだ。

「お姉様がソルガード様と婚約するということは、何も問題はありません。私と婚約させたかったくらいですからね」
「でも、私は婚約破棄された身……ソルガード様の気持ちはわかりましたが、ディレイズ公爵家としては、少々まずいのではないでしょうか?」

 アルガンデ侯爵家としては、私とソルガード様が婚約することは何も問題ない。利益がありすぎるくらいである。
 しかし、向こうとしてはそういう訳ではないだろう。私という厄介な存在を引き受けたいとは思わないはずだ。

「いえ、それは問題ありません。父上も母上も、僕があなたを愛していると言えば、このことを受け入れてくれると思います」
「そうなのですか?」
「ええ、二人とも優しい人ですから。余程のことでなければ、婚約についても僕の望みを尊重してくれるでしょう」

 ソルガード様は、照れながらそんなことを言ってきた。
 私の記憶にある限りでも、彼は両親と良好な関係だ。恐らく、その言葉に嘘はないだろう。
 ということは、私達の間に障害はないということになる。つまり、私は彼の告白に対してはっきりとした答えを出さなければならないということだ。

「ソルガード様、つまり、私達の間に障害はないということですね……」
「え、ええ……」
「それなら、私の答えを出させてもらいます……よろしいでしょうか?」
「はい……あなたの答えを聞かせてください」

 私の言葉に、ソルガード様はゆっくりと頷いた。
 彼は、かなり緊張している様子だ。それは、当たり前だろう。この状況で、緊張しない人はいない。
 そんな彼に、私は笑顔を見せる。彼を安心させたかったのだ。

「ソルガード様、あなたのその婚約を受け入れさせてください。私は、あなたのような素晴らしい人に思われていたことを幸福に思っています。あなたと結婚したい……家同士の関係を抜きにして、私はそう思っているのです」
「エルフィリナ様……」

 私の言葉に、ソルガード様は笑顔を見せてくれた。とても、嬉しそうな顔である。

「今日程幸福な日はありません。まさか、自分の思いが実る日が来るなんて、思っていませんでしたから……」
「そうですよね……」

 私とソルガード様は、お互いに手を取った。なんというか、とても幸福な気持ちだ。
 ルグファド様との婚約が決まった時やそれからの彼との生活の中で、こんな気持ちになることはなかった。この素晴らしい人と婚約できたことは、私にとってとても幸福なことである。

「お熱いですね……」
「ええ、本当に……」
「え?」
「あっ……」

 そこで、私とソルガード様はやっと気づいた。
 よく考えてみると、オルフィリアとお祖母様は、ずっと私達のことを見ていたのだ。
 なんだか、とても恥ずかしくなってきた。こういう場面を見られていたという事実は、なんともどうしようもない気持ちになってしまう。
 しかし、私は幸福な気持ちでいっぱいだった。むず痒い気持ちも、この幸福を妨げるものではなかったのである。
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