7 / 18
7
しおりを挟む
オルフィリアの説明で、ソルガード様がどのような立場にあり、どのような思いを抱いていたのかは大体わかった。色々と複雑な立場だったようである。
私は、ソルガード様の方を見ていた。すると、彼は気まずそうに目をそらした。その頬は、少し赤くなっている。どうやら、少し照れているようだ。
「お姉様がソルガード様と婚約するということは、何も問題はありません。私と婚約させたかったくらいですからね」
「でも、私は婚約破棄された身……ソルガード様の気持ちはわかりましたが、ディレイズ公爵家としては、少々まずいのではないでしょうか?」
アルガンデ侯爵家としては、私とソルガード様が婚約することは何も問題ない。利益がありすぎるくらいである。
しかし、向こうとしてはそういう訳ではないだろう。私という厄介な存在を引き受けたいとは思わないはずだ。
「いえ、それは問題ありません。父上も母上も、僕があなたを愛していると言えば、このことを受け入れてくれると思います」
「そうなのですか?」
「ええ、二人とも優しい人ですから。余程のことでなければ、婚約についても僕の望みを尊重してくれるでしょう」
ソルガード様は、照れながらそんなことを言ってきた。
私の記憶にある限りでも、彼は両親と良好な関係だ。恐らく、その言葉に嘘はないだろう。
ということは、私達の間に障害はないということになる。つまり、私は彼の告白に対してはっきりとした答えを出さなければならないということだ。
「ソルガード様、つまり、私達の間に障害はないということですね……」
「え、ええ……」
「それなら、私の答えを出させてもらいます……よろしいでしょうか?」
「はい……あなたの答えを聞かせてください」
私の言葉に、ソルガード様はゆっくりと頷いた。
彼は、かなり緊張している様子だ。それは、当たり前だろう。この状況で、緊張しない人はいない。
そんな彼に、私は笑顔を見せる。彼を安心させたかったのだ。
「ソルガード様、あなたのその婚約を受け入れさせてください。私は、あなたのような素晴らしい人に思われていたことを幸福に思っています。あなたと結婚したい……家同士の関係を抜きにして、私はそう思っているのです」
「エルフィリナ様……」
私の言葉に、ソルガード様は笑顔を見せてくれた。とても、嬉しそうな顔である。
「今日程幸福な日はありません。まさか、自分の思いが実る日が来るなんて、思っていませんでしたから……」
「そうですよね……」
私とソルガード様は、お互いに手を取った。なんというか、とても幸福な気持ちだ。
ルグファド様との婚約が決まった時やそれからの彼との生活の中で、こんな気持ちになることはなかった。この素晴らしい人と婚約できたことは、私にとってとても幸福なことである。
「お熱いですね……」
「ええ、本当に……」
「え?」
「あっ……」
そこで、私とソルガード様はやっと気づいた。
よく考えてみると、オルフィリアとお祖母様は、ずっと私達のことを見ていたのだ。
なんだか、とても恥ずかしくなってきた。こういう場面を見られていたという事実は、なんともどうしようもない気持ちになってしまう。
しかし、私は幸福な気持ちでいっぱいだった。むず痒い気持ちも、この幸福を妨げるものではなかったのである。
私は、ソルガード様の方を見ていた。すると、彼は気まずそうに目をそらした。その頬は、少し赤くなっている。どうやら、少し照れているようだ。
「お姉様がソルガード様と婚約するということは、何も問題はありません。私と婚約させたかったくらいですからね」
「でも、私は婚約破棄された身……ソルガード様の気持ちはわかりましたが、ディレイズ公爵家としては、少々まずいのではないでしょうか?」
アルガンデ侯爵家としては、私とソルガード様が婚約することは何も問題ない。利益がありすぎるくらいである。
しかし、向こうとしてはそういう訳ではないだろう。私という厄介な存在を引き受けたいとは思わないはずだ。
「いえ、それは問題ありません。父上も母上も、僕があなたを愛していると言えば、このことを受け入れてくれると思います」
「そうなのですか?」
「ええ、二人とも優しい人ですから。余程のことでなければ、婚約についても僕の望みを尊重してくれるでしょう」
ソルガード様は、照れながらそんなことを言ってきた。
私の記憶にある限りでも、彼は両親と良好な関係だ。恐らく、その言葉に嘘はないだろう。
ということは、私達の間に障害はないということになる。つまり、私は彼の告白に対してはっきりとした答えを出さなければならないということだ。
「ソルガード様、つまり、私達の間に障害はないということですね……」
「え、ええ……」
「それなら、私の答えを出させてもらいます……よろしいでしょうか?」
「はい……あなたの答えを聞かせてください」
私の言葉に、ソルガード様はゆっくりと頷いた。
彼は、かなり緊張している様子だ。それは、当たり前だろう。この状況で、緊張しない人はいない。
そんな彼に、私は笑顔を見せる。彼を安心させたかったのだ。
「ソルガード様、あなたのその婚約を受け入れさせてください。私は、あなたのような素晴らしい人に思われていたことを幸福に思っています。あなたと結婚したい……家同士の関係を抜きにして、私はそう思っているのです」
「エルフィリナ様……」
私の言葉に、ソルガード様は笑顔を見せてくれた。とても、嬉しそうな顔である。
「今日程幸福な日はありません。まさか、自分の思いが実る日が来るなんて、思っていませんでしたから……」
「そうですよね……」
私とソルガード様は、お互いに手を取った。なんというか、とても幸福な気持ちだ。
ルグファド様との婚約が決まった時やそれからの彼との生活の中で、こんな気持ちになることはなかった。この素晴らしい人と婚約できたことは、私にとってとても幸福なことである。
「お熱いですね……」
「ええ、本当に……」
「え?」
「あっ……」
そこで、私とソルガード様はやっと気づいた。
よく考えてみると、オルフィリアとお祖母様は、ずっと私達のことを見ていたのだ。
なんだか、とても恥ずかしくなってきた。こういう場面を見られていたという事実は、なんともどうしようもない気持ちになってしまう。
しかし、私は幸福な気持ちでいっぱいだった。むず痒い気持ちも、この幸福を妨げるものではなかったのである。
25
あなたにおすすめの小説
妹に婚約者まで奪われました!~彼の本性を知って、なんとかしてと泣きつかれましたが、私は王子殿下と婚約中なので知りません~
ルイス
恋愛
伯爵令嬢のシャルナは、妹のメープルに婚約者である公爵を奪われてしまう。
妹は昔から甘やかされて育ち、その外見の良さと甘え上手な態度から守ってあげたくなるのだ。
シャルナの両親もメープルには甘く、彼女はずっと煮え湯を飲まされていた。
今回は婚約破棄までされ、とうとう彼女も我慢の限界を超えるが、その時に助けてくれたのが王子殿下だった。
シャルナは王子殿下と婚約を果たし、幸せな生活の一歩を踏み出すことになる。
対して妹のメープルは、婚約した公爵の欠点や本性が見え始め、婚約を取り消したいと泣きついてくるのだが……いまさらそんなこと言われても、遅すぎる。
婚約破棄させたいですか? いやいや、私は愛されていますので、無理ですね。
百谷シカ
恋愛
私はリュシアン伯爵令嬢ヴィクトリヤ・ブリノヴァ。
半年前にエクトル伯爵令息ウスターシュ・マラチエと婚約した。
のだけど、ちょっと問題が……
「まあまあ、ヴィクトリヤ! 黄色のドレスなんて着るの!?」
「おかしいわよね、お母様!」
「黄色なんて駄目よ。ドレスはやっぱり菫色!」
「本当にこんな変わった方が婚約者なんて、ウスターシュもがっかりね!」
という具合に、めんどくさい家族が。
「本当にすまない、ヴィクトリヤ。君に迷惑はかけないように言うよ」
「よく、言い聞かせてね」
私たちは気が合うし、仲もいいんだけど……
「ウスターシュを洗脳したわね! 絶対に結婚はさせないわよ!!」
この婚約、どうなっちゃうの?
【完結】女王と婚約破棄して義妹を選んだ公爵には、痛い目を見てもらいます。女王の私は田舎でのんびりするので、よろしくお願いしますね。
五月ふう
恋愛
「シアラ。お前とは婚約破棄させてもらう。」
オークリィ公爵がシアラ女王に婚約破棄を要求したのは、結婚式の一週間前のことだった。
シアラからオークリィを奪ったのは、妹のボニー。彼女はシアラが苦しんでいる姿を見て、楽しそうに笑う。
ここは南の小国ルカドル国。シアラは御年25歳。
彼女には前世の記憶があった。
(どうなってるのよ?!)
ルカドル国は現在、崩壊の危機にある。女王にも関わらず、彼女に使える使用人は二人だけ。賃金が払えないからと、他のものは皆解雇されていた。
(貧乏女王に転生するなんて、、、。)
婚約破棄された女王シアラは、頭を抱えた。前世で散々な目にあった彼女は、今回こそは幸せになりたいと強く望んでいる。
(ひどすぎるよ、、、神様。金髪碧眼の、誰からも愛されるお姫様に転生させてって言ったじゃないですか、、、。)
幸せになれなかった前世の分を取り返すため、女王シアラは全力でのんびりしようと心に決めた。
最低な元婚約者も、継妹も知ったこっちゃない。
(もう婚約破棄なんてされずに、幸せに過ごすんだーー。)
婚約破棄、果てにはパーティー追放まで!? 事故死を望まれた私は、第2王子に『聖女』の力を見出され性悪女にざまぁします
アトハ
恋愛
「マリアンヌ公爵令嬢! これ以上貴様の悪行を見過ごすことはできん! 我が剣と誇りにかけて、貴様を断罪する!」
王子から突如突き付けられたのは、身に覚えのない罪状、そして婚約破棄。
更にはモンスターの蔓延る危険な森の中で、私ことマリアンヌはパーティーメンバーを追放されることとなりました。
このまま私がモンスターに襲われて"事故死"すれば、想い人と一緒になれる……という、何とも身勝手かつ非常識な理由で。
パーティーメンバーを追放された私は、森の中で鍋をかき混ぜるマイペースな変人と出会います。
どうにも彼は、私と殿下の様子に詳しいようで。
というかまさか第二王子じゃないですか?
なんでこんなところで、パーティーも組まずにのんびり鍋を食べてるんですかね!?
そして私は、聖女の力なんて持っていないですから。人違いですから!
※ 他の小説サイト様にも投稿しています
「平民とでも結婚すれば?」と捨てられた令嬢、隣国の王太子に溺愛されてますが?
ゆっこ
恋愛
「……君との婚約は、ここで破棄させてもらう」
その言葉を、私は静かに受け止めた。
今から一時間前。私、セレナ・エヴァレットは、婚約者である王国第一王子リカルド・アルヴェイン殿下に、唐突に婚約破棄を言い渡された。
「急すぎますわね。何か私が問題を起こしましたか?」
「いや、そういうわけではない。ただ、君のような冷たい女性ではなく、もっと人の心を思いやれる優しい女性と生涯を共にしたいと考えただけだ」
そう言って、彼は隣に立つ金髪碧眼の令嬢に視線をやった。
他の女にうつつを抜かす夫は捨てます
りんごあめ
恋愛
幼いころから婚約者同士だったメアリーとダン
幼少期を共にし、ついに結婚した
二人の間に愛が芽生えることはなかったが、せめて気の置ける夫婦になれたらと思っていた
最初は上手くやっていた二人だったが、二人の間を引き裂くようにあらわれた女によってメアリーとダンの関係は壊れていく
すっかり冷たくなったダンに、私に情なんてないのね
メアリーの心はどんどん冷えていく
王子に婚約破棄されて国を追放「魔法が使えない女は必要ない!」彼女の隠された能力と本来の姿がわかり誰もが泣き叫ぶ。
佐藤 美奈
恋愛
クロエ・エルフェシウス公爵令嬢とガブリエル・フォートグランデ王太子殿下は婚約が内定する。まだ公の場で発表してないだけで、王家と公爵家の間で約束を取り交わしていた。
だが帝立魔法学園の創立記念パーティーで婚約破棄を宣言されてしまった。ガブリエルは魔法の才能がある幼馴染のアンジェリカ男爵令嬢を溺愛して結婚を決めたのです。
その理由は、ディオール帝国は魔法至上主義で魔法帝国と称される。クロエは魔法が一番大切な国で一人だけ魔法が全然使えない女性だった。
クロエは魔法が使えないことに、特に気にしていませんでしたが、日常的に家族から無能と言われて、赤の他人までに冷たい目で見られてしまう。
ところがクロエは魔法帝国に、なくてはならない女性でした。絶対に必要な隠された能力を持っていた。彼女の真の姿が明らかになると、誰もが彼女に泣いて謝罪を繰り返し助けてと悲鳴を上げ続けた。
婚約破棄されたので30キロ痩せたら求婚が殺到。でも、選ぶのは私。
百谷シカ
恋愛
「私より大きな女を妻と呼べるか! 鏡を見ろ、デブ!!」
私は伯爵令嬢オーロラ・カッセルズ。
大柄で太っているせいで、たった今、公爵に婚約を破棄された。
将軍である父の名誉を挽回し、私も誇りを取り戻さなくては。
1年間ダイエットに取り組み、運動と食事管理で30キロ痩せた。
すると痩せた私は絶世の美女だったらしい。
「お美しいオーロラ嬢、ぜひ私とダンスを!」
ただ体形が変わっただけで、こんなにも扱いが変わるなんて。
1年間努力して得たのは、軟弱な男たちの鼻息と血走った視線?
「……私は着せ替え人形じゃないわ」
でも、ひとりだけ変わらない人がいた。
毎年、冬になると砂漠の別荘地で顔を合わせた幼馴染の伯爵令息。
「あれっ、オーロラ!? なんか痩せた? ちゃんと肉食ってる?」
ダニエル・グランヴィルは、変わらず友人として接してくれた。
だから好きになってしまった……友人のはずなのに。
======================
(他「エブリスタ」様に投稿)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる