きっと殿下の運命の相手は、私ではなかったのでしょうね。

木山楽斗

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33.王家の力

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 静かなる森の中腹には、開けた場所があった。
 そこにはそれなりに大きな屋敷がある。ある商人が、以前ここで暮らしていたらしいのだ。
 ただ今は、特に誰も住んでいないようだ。それなりに高価であるため、買い手も見つかっていなかったらしい。

「それをディアルスの遣いらしき者が、法外な価格で買い取ったそうだ」
「なるほど、ここを拠点としようとしている訳ですか。王家としては、中々に見過ごせないものですね……」
「ああ、商人などが使う分には構わんが、貴族がここに住まれると面倒だ」

 屋敷の前で、ラメリオ殿下とルーアス殿下は言葉を交わした。
 兵士達の数による暴力とさえいえる捜索によって、リヴェンド殿下の行き先というものはすぐに判明することになった。かかった時間としては、実に半日くらいだ。

 朝にリヴェンド殿下が玉座の間で追い詰められてから、兵士達は大忙しである。できれば、後で存分に労ってあげて欲しい。
 ただ、悲しいことに兵士達の全てが私達の味方という訳ではなかった。リヴェンド殿下の移送にあたっていた兵士達は、どうやら自らその任務に志願した者達らしい。
 彼らは、上司も把握していないリヴェンド殿下の支持者だったようだ。今回その者達は、職務を放棄したとして、裁きを受けることになっている。

「ラメリオ殿下、ご命令をお聞かせください」
「リヴェンドとディアルス侯爵令息については、拘束しろ。それ以外の者の生死は問わない。無論、投降するつもりであるなら危害は加えるな。などということは、言うまでもないことか」
「もちろん心得ておりますが、ラメリオ殿下のお言葉を嬉しく思います」

 そこで今回部隊を率いている兵士の一人が、ラメリオ殿下に話しかけた。
 当然のことながら、移送されていたリヴェンド殿下を連れ去るということは大罪だ。それによって、ディアルス様は罰を受けることになる。

 彼は暗躍しているつもりだったのかもしれないが、今回の場合は相手が悪かったといえる。私達エゼルス伯爵家とは違ったのだ。
 王家とは勝負にならない。そのことを理解する機会がなかったことが、ディアルス様の不幸だったといえるだろう。もっとも、そもそも人を陥れるなどと考えなければ、良かったことなのだが。

「さてと、俺達は待機しているとしよう。それ程時間はかからないはずだ」
「そうですね……アフェリア嬢、大丈夫ですか?」
「ええ、ご心配なく。私も覚悟を決めて来ましたから」

 心配してくれるルーアス殿下の言葉に、私は静かに言葉を返した。
 これから起こることは、気持ちが良いこととは言えないかもしれない。ただ、見届けておきたいことではあった。
 それはディアルス様のこともあるのだが、一番大きく心を占めているのはリヴェンド殿下である。あれ程の失態を見たにも関わらず、私の中にはまだ彼に対する友情というものが、残っているようなのだ。
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