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3.王家との関係
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ヴェルナルド公爵家と王家との関係は良好である。
私達のお父様と国王様――つまり伯父様は、とても仲が良い。王族の兄弟で王位を争ったはずなのに、何の遺恨もないようだ。
伯父様は、私やメルティアのことも可愛がってくれている。王家には男子しか生まれていないこともあって、私達は猫可愛がりされているらしい。
「俺達の前では、結構厳格な父親なのだがな……」
「私達からしてみれば、そんなイメージはまったくないわね」
「そうだろうな。父上は二人の前ではまず怒らない。まあ、叔父上も俺達には怒ったりしない訳だが……」
メルティアのことを、伯父様はとても心配していた。
お見舞いは一度しか来なかったが、それは恐らく立場上の都合というものがあるからだ。それがなければ、きっとこちらの屋敷に泊まり込んでことだろう。
今日は、そんな伯父様に代わって第二王子であるイフェールが来てくれている。いや、代わってという言い方は正しくはないだろう。彼自身も、メルティアのことは心配してくれている。
「お父様にも、そんなに厳しい印象はないけれど」
「……まあ、ミレティアもメルティアも俺達みたいにやんちゃではないか」
お父様は厳しい所もあるが、基本的には優しい人だ。私達のことを尊重してくれているし、良い父親だと思っている。
そんなお父様も、甥っ子達のことは可愛がっているといえるだろう。伯父様程の猫可愛がりではないが、娘である私達にはわかる。
そういった感じで、私達には家族ぐるみの付き合いがあるのだ。それは良いことだろう。血族で団結できていることに、悪いことはない。
「それで、メルティアはどうなんだ? 一旦ミレティアを挟むということは、何か事情はあるんだろうけど」
「ああ、その、少し記憶の混乱があってね」
「混乱?」
「断片的に記憶が欠如しているというか、中々に説明が難しい状況なの。基本的に人のことは覚えているのだけれど」
「まあ、頭を打った訳だしな。そういうこともあるか……」
とりあえず私は、イフェールにメルティアのことを説明しておいた。
この説明をするために、会うのを少し待ってもらっている。いきなり会わせると混乱させてしまい、メルティアに悪い影響を及ぼす可能性があるのだ。
「俺のことは覚えているのか?」
「ええ、聞いてみたら、覚えていると言っていたわ」
「なるほど、それなら少しは安心できるな。流石にまったく覚えてもらっていないというのは、きついものがある」
「そうね……」
イフェールは、微妙な顔をしていた。
もちろん、何も覚えられていないよりはマシな状況ではある。
しかしそれでも、辛いものは辛い。きっとイフェールも、そう思っているのだろう。
私達のお父様と国王様――つまり伯父様は、とても仲が良い。王族の兄弟で王位を争ったはずなのに、何の遺恨もないようだ。
伯父様は、私やメルティアのことも可愛がってくれている。王家には男子しか生まれていないこともあって、私達は猫可愛がりされているらしい。
「俺達の前では、結構厳格な父親なのだがな……」
「私達からしてみれば、そんなイメージはまったくないわね」
「そうだろうな。父上は二人の前ではまず怒らない。まあ、叔父上も俺達には怒ったりしない訳だが……」
メルティアのことを、伯父様はとても心配していた。
お見舞いは一度しか来なかったが、それは恐らく立場上の都合というものがあるからだ。それがなければ、きっとこちらの屋敷に泊まり込んでことだろう。
今日は、そんな伯父様に代わって第二王子であるイフェールが来てくれている。いや、代わってという言い方は正しくはないだろう。彼自身も、メルティアのことは心配してくれている。
「お父様にも、そんなに厳しい印象はないけれど」
「……まあ、ミレティアもメルティアも俺達みたいにやんちゃではないか」
お父様は厳しい所もあるが、基本的には優しい人だ。私達のことを尊重してくれているし、良い父親だと思っている。
そんなお父様も、甥っ子達のことは可愛がっているといえるだろう。伯父様程の猫可愛がりではないが、娘である私達にはわかる。
そういった感じで、私達には家族ぐるみの付き合いがあるのだ。それは良いことだろう。血族で団結できていることに、悪いことはない。
「それで、メルティアはどうなんだ? 一旦ミレティアを挟むということは、何か事情はあるんだろうけど」
「ああ、その、少し記憶の混乱があってね」
「混乱?」
「断片的に記憶が欠如しているというか、中々に説明が難しい状況なの。基本的に人のことは覚えているのだけれど」
「まあ、頭を打った訳だしな。そういうこともあるか……」
とりあえず私は、イフェールにメルティアのことを説明しておいた。
この説明をするために、会うのを少し待ってもらっている。いきなり会わせると混乱させてしまい、メルティアに悪い影響を及ぼす可能性があるのだ。
「俺のことは覚えているのか?」
「ええ、聞いてみたら、覚えていると言っていたわ」
「なるほど、それなら少しは安心できるな。流石にまったく覚えてもらっていないというのは、きついものがある」
「そうね……」
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もちろん、何も覚えられていないよりはマシな状況ではある。
しかしそれでも、辛いものは辛い。きっとイフェールも、そう思っているのだろう。
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