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6.無茶な要望
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舞踏会が終わり屋敷に戻った私は、お父様に呼び出されていた。
あの二人の失態について、小言を言われるのだろう。それがなんとなく予想できたため、ここに来るのはかなり億劫だった。
とはいえ、呼び出しに従わなかったらそれはそれでひどいことをされそうだ。それなら、小一時間程ぐちぐちと言われる方がマシである。
「先日の舞踏会において、ペルリナとロメリアが恥をかいたそうだな?」
「……ええ、そうですね」
「まったく、お前は何をしていたのだ。あの二人をサポートすることが、お前の役目だろう」
お父様は、予想していた通りのことを言ってきた。
そもそもの話、馬鹿みたいに二人のことを甘やかして、貴族としてのいろはを身に着けさせなかったのはお父様の落ち度である。どうして私が、それで責められなければならないのだろうか。
もっとも、そんなことを考えても仕方ないことはもうわかっている。
ここは黙って叱責を受けて、なるべく早く部屋に帰って休むとしよう。
「まあ、そのことについて色々と言いたいことはあるが、一旦置いておくことにしよう」
「え?」
「お前を呼び出したのは、他に聞きたいことがあるからだ」
お父様の言葉に、私は驚くことになった。
まさか予想していた以外の話をされるなんて、思ってもいなかったからだ。
しかし、なんだろうか。まったく見当がつかない。まあ考えても仕方ないし、話を聞いてみるしかないだろうか。
「舞踏会でお前は、ある青年と親しく話していたそうじゃないか」
「青年……えっと、エヴォート侯爵家のクレンド様のことですか?」
「ああ、エヴォート侯爵家の人間だったか」
私は、ほぼ反射的にクレンド様のことを言ってしまった。
しかし、それは間違いだったかもしれない。お父様に彼のことを話して良いとは思えない。クレンド様を変なことに巻き込んでしまう可能性がある。
「いや実は、ロメリアがその青年に興味を持っていてな」
「興味?」
「エヴォート侯爵家の人間ならば、願ってもいないことだ。是非ともロメリアと婚約してもらいたい所だ」
「婚約……」
お父様は、心なしか興奮気味に言葉を発していた。
侯爵家との婚約、それはお父様としてはかなり欲しているものなのだろう。
そこでお父様は、私に視線を向けてきた。それが何を意味しているかは、なんとなく察しがついている。
「レフティア、お前が今回の婚約の話を進めろ。クレンドをその気にさせるのだ」
「なっ……」
「それくらいできなければ、お前はヴェリオン伯爵家の一員として認められない。まあ、精々頑張れ」
お父様は私に対して、滅茶苦茶なことを言ってきた。
婚約を成立させるのなんて、本来ならお父様の役目である。それを娘に押し付けるなんて、何をやっているのだろうか。
私は思わず、頭を抱えてしまう。どうやらお父様は、思っていた以上にろくでなしだったらしい。
あの二人の失態について、小言を言われるのだろう。それがなんとなく予想できたため、ここに来るのはかなり億劫だった。
とはいえ、呼び出しに従わなかったらそれはそれでひどいことをされそうだ。それなら、小一時間程ぐちぐちと言われる方がマシである。
「先日の舞踏会において、ペルリナとロメリアが恥をかいたそうだな?」
「……ええ、そうですね」
「まったく、お前は何をしていたのだ。あの二人をサポートすることが、お前の役目だろう」
お父様は、予想していた通りのことを言ってきた。
そもそもの話、馬鹿みたいに二人のことを甘やかして、貴族としてのいろはを身に着けさせなかったのはお父様の落ち度である。どうして私が、それで責められなければならないのだろうか。
もっとも、そんなことを考えても仕方ないことはもうわかっている。
ここは黙って叱責を受けて、なるべく早く部屋に帰って休むとしよう。
「まあ、そのことについて色々と言いたいことはあるが、一旦置いておくことにしよう」
「え?」
「お前を呼び出したのは、他に聞きたいことがあるからだ」
お父様の言葉に、私は驚くことになった。
まさか予想していた以外の話をされるなんて、思ってもいなかったからだ。
しかし、なんだろうか。まったく見当がつかない。まあ考えても仕方ないし、話を聞いてみるしかないだろうか。
「舞踏会でお前は、ある青年と親しく話していたそうじゃないか」
「青年……えっと、エヴォート侯爵家のクレンド様のことですか?」
「ああ、エヴォート侯爵家の人間だったか」
私は、ほぼ反射的にクレンド様のことを言ってしまった。
しかし、それは間違いだったかもしれない。お父様に彼のことを話して良いとは思えない。クレンド様を変なことに巻き込んでしまう可能性がある。
「いや実は、ロメリアがその青年に興味を持っていてな」
「興味?」
「エヴォート侯爵家の人間ならば、願ってもいないことだ。是非ともロメリアと婚約してもらいたい所だ」
「婚約……」
お父様は、心なしか興奮気味に言葉を発していた。
侯爵家との婚約、それはお父様としてはかなり欲しているものなのだろう。
そこでお父様は、私に視線を向けてきた。それが何を意味しているかは、なんとなく察しがついている。
「レフティア、お前が今回の婚約の話を進めろ。クレンドをその気にさせるのだ」
「なっ……」
「それくらいできなければ、お前はヴェリオン伯爵家の一員として認められない。まあ、精々頑張れ」
お父様は私に対して、滅茶苦茶なことを言ってきた。
婚約を成立させるのなんて、本来ならお父様の役目である。それを娘に押し付けるなんて、何をやっているのだろうか。
私は思わず、頭を抱えてしまう。どうやらお父様は、思っていた以上にろくでなしだったらしい。
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