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39.これからのこと
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「さてと、せっかくだから、これからの話をするとしようか」
「これからの話、ですか?」
「ああ、ヴェリオン伯爵家の領地のことは、エヴォート侯爵家が預かることになっている。ただ正直な所、手に余るものだというのが父上の認識だ。侯爵家の領地で、手一杯ということであるらしい」
別れの話を遮ったクレンド様は、ヴェリオン伯爵家の領地のことを話し始めた。
それは、私にとっても重要なことなので、きちんと耳を傾けておく。
「その辺りは、柔軟にできるものではないのですか?」
「もちろん、父上もせっかく得た領地を無駄にしようとは思っていない。ヴェリオン伯爵家の領地は、俺に任されることになっている」
「そうですか。それなら安心ですね」
クレンド様が領地を管理してくれるなら、私としてはとても安心だ。
彼が優秀な侯爵令息であるということは、私が一番よく知っている。きっと、領民達のことも考えた政をしてくれるだろう。
「ただ、そのような大役を任されて、俺は正直不安なのだ。要するに、俺はヴェリオン伯爵を受け継ぐようなものだからな。この年でそんな大役は身に余る」
「そうでしょうか? クレンド様なら大丈夫だと思いますけど」
「君が俺を評価してくれているのは嬉しい限りだ。ただ、俺はそこまで優れた人間という訳でもない。助けが欲しいのだ」
「助け?」
そこでクレンド様は、私の目をしっかりと見つめてきた。
その視線が何を意味しているのか、なんとなく察することができる。まさか私に、助けを求めているということだろうか。
「もしかして、私の助けを必要としているということですか?」
「察しが早くて助かる」
「えっと……もちろん、それは構いませんよ。私に何ができるのかはわかりませんが、そもそもそれも私が蒔いた種である訳ですし」
私は、クレンド様の言葉にゆっくりと頷いた。
彼が私の助けを求めているというなら、それを断るつもりなんてない。
ただ、私に何かできるのだろうか。自分で言うのもなんだが、役に立つ人間であるという自信はあまりないのだが。
「はっきりと言っておこう。君はとても、役に立つ人間だ」
「え? そうなのですか?」
「ああ、君にしかできないことがあるのだ……そこで、提案なのだが、俺と婚約してもらえないか?」
「……うん?」
私は思わず、固まっていた。
クレンド様の発言は、それ程までに驚くべきことだったのだ。
そんな私に、クレンド様は苦笑いを浮かべている。その表情からして、これは冗談の類ではなさそうだ。つまり彼は、本気で私と婚約したいと思っているということなのだろう。
「これからの話、ですか?」
「ああ、ヴェリオン伯爵家の領地のことは、エヴォート侯爵家が預かることになっている。ただ正直な所、手に余るものだというのが父上の認識だ。侯爵家の領地で、手一杯ということであるらしい」
別れの話を遮ったクレンド様は、ヴェリオン伯爵家の領地のことを話し始めた。
それは、私にとっても重要なことなので、きちんと耳を傾けておく。
「その辺りは、柔軟にできるものではないのですか?」
「もちろん、父上もせっかく得た領地を無駄にしようとは思っていない。ヴェリオン伯爵家の領地は、俺に任されることになっている」
「そうですか。それなら安心ですね」
クレンド様が領地を管理してくれるなら、私としてはとても安心だ。
彼が優秀な侯爵令息であるということは、私が一番よく知っている。きっと、領民達のことも考えた政をしてくれるだろう。
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「そうでしょうか? クレンド様なら大丈夫だと思いますけど」
「君が俺を評価してくれているのは嬉しい限りだ。ただ、俺はそこまで優れた人間という訳でもない。助けが欲しいのだ」
「助け?」
そこでクレンド様は、私の目をしっかりと見つめてきた。
その視線が何を意味しているのか、なんとなく察することができる。まさか私に、助けを求めているということだろうか。
「もしかして、私の助けを必要としているということですか?」
「察しが早くて助かる」
「えっと……もちろん、それは構いませんよ。私に何ができるのかはわかりませんが、そもそもそれも私が蒔いた種である訳ですし」
私は、クレンド様の言葉にゆっくりと頷いた。
彼が私の助けを求めているというなら、それを断るつもりなんてない。
ただ、私に何かできるのだろうか。自分で言うのもなんだが、役に立つ人間であるという自信はあまりないのだが。
「はっきりと言っておこう。君はとても、役に立つ人間だ」
「え? そうなのですか?」
「ああ、君にしかできないことがあるのだ……そこで、提案なのだが、俺と婚約してもらえないか?」
「……うん?」
私は思わず、固まっていた。
クレンド様の発言は、それ程までに驚くべきことだったのだ。
そんな私に、クレンド様は苦笑いを浮かべている。その表情からして、これは冗談の類ではなさそうだ。つまり彼は、本気で私と婚約したいと思っているということなのだろう。
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