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3.聖女の元で
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魔術師団団長――現聖女であるアレイシア・ヴェルモンドは、公爵家の令嬢である。
魔術師団を率いる立場である彼女は、公爵家の権力によってその地位を得た。そう噂されることもあるが、その実力は確かなものである。
もっとも、それでも彼女の魔法に関する技術は、私よりも下だ。聖女足りえないとは言わないが、その地位がある程度考慮された可能性は、ない訳でもないといえる。
「パーストンさんは、非常に素晴らしい魔法使いですね。あなたは、この国の発展に大いに貢献してくれるでしょう」
「ありがとうございます。そう言っていただけるのは、嬉しいです」
私は、聖女アレイシア様に呼び出されていた。
入団試験を一位で通過したこともあってか、彼女は私のことを気にかけてくれているらしい。
それは、ありがたい話である。ただ、私を見るアレイシア様の視線が少し鋭いことが、私は気になっていた。
「……魔法については、どこで学んだのですか?」
「独学で学びました。両親が亡くなってから孤児院に引き取られたのですが、そこの書庫にあった魔導書などをひたすら読み漁ったのです」
「独学ですか? それでそこまで腕を上げられたというのは、驚くべき事実ですね……」
「いえ、それくらいしかやることがなかったというだけです」
両親が亡くなってから、私はとある孤児院に引き取られた。
その孤児院での私の扱いは、はっきり言って悪かった。なんというか、私は馴染むことができなかったのだ。
故に私は、暇さえあれば魔法を学んでいた。ある程度巧妙な魔法使いがその孤児院の出身ということもあって、魔導書の類がたくさんあったのだ。
「やることがなかったからといって、一つの道を究めるのは容易ではありません。私も魔法使いの端くれですからね。そのくらいは理解しています」
「端くれだなんて、そんな。アレイシア様は、この国で最も高名な魔法使いではありませんか」
「ふふ、そう言っていただけると、ありがたい限りなのですけれどね」
アレイシア様の言葉には、少し含みがあった。
彼女は、実力ある魔法使いである。故にプライドがあるのだろう。
だからこそ、私は睨まれているのだ。他者に負けたくない。そういう気持ちは、誰にだってあるものだろう。
しかし私は、聖女はアレイシア様でいいと思っている。
身分というものは、やはり大切だ。仮に私の方が優秀だったとしても、聖女として相応しいのは彼女の方である。
だから私は、魔術師団の一員として、アレイシア様を支えるつもりだった。それ以上のことなど、望んでいなかったのである。
魔術師団を率いる立場である彼女は、公爵家の権力によってその地位を得た。そう噂されることもあるが、その実力は確かなものである。
もっとも、それでも彼女の魔法に関する技術は、私よりも下だ。聖女足りえないとは言わないが、その地位がある程度考慮された可能性は、ない訳でもないといえる。
「パーストンさんは、非常に素晴らしい魔法使いですね。あなたは、この国の発展に大いに貢献してくれるでしょう」
「ありがとうございます。そう言っていただけるのは、嬉しいです」
私は、聖女アレイシア様に呼び出されていた。
入団試験を一位で通過したこともあってか、彼女は私のことを気にかけてくれているらしい。
それは、ありがたい話である。ただ、私を見るアレイシア様の視線が少し鋭いことが、私は気になっていた。
「……魔法については、どこで学んだのですか?」
「独学で学びました。両親が亡くなってから孤児院に引き取られたのですが、そこの書庫にあった魔導書などをひたすら読み漁ったのです」
「独学ですか? それでそこまで腕を上げられたというのは、驚くべき事実ですね……」
「いえ、それくらいしかやることがなかったというだけです」
両親が亡くなってから、私はとある孤児院に引き取られた。
その孤児院での私の扱いは、はっきり言って悪かった。なんというか、私は馴染むことができなかったのだ。
故に私は、暇さえあれば魔法を学んでいた。ある程度巧妙な魔法使いがその孤児院の出身ということもあって、魔導書の類がたくさんあったのだ。
「やることがなかったからといって、一つの道を究めるのは容易ではありません。私も魔法使いの端くれですからね。そのくらいは理解しています」
「端くれだなんて、そんな。アレイシア様は、この国で最も高名な魔法使いではありませんか」
「ふふ、そう言っていただけると、ありがたい限りなのですけれどね」
アレイシア様の言葉には、少し含みがあった。
彼女は、実力ある魔法使いである。故にプライドがあるのだろう。
だからこそ、私は睨まれているのだ。他者に負けたくない。そういう気持ちは、誰にだってあるものだろう。
しかし私は、聖女はアレイシア様でいいと思っている。
身分というものは、やはり大切だ。仮に私の方が優秀だったとしても、聖女として相応しいのは彼女の方である。
だから私は、魔術師団の一員として、アレイシア様を支えるつもりだった。それ以上のことなど、望んでいなかったのである。
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