七光りのわがまま聖女を支えるのは疲れました。私はやめさせていただきます。

木山楽斗

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23.塔の上へと

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 私はレムバル様と三人の兵士と一緒に、時計塔の入り口の近くまで来ていた。
 この距離なら、恐らく悪魔に気付かれることもないだろう。だが、逆に言えばこれ以上近づくと気付かれる可能性が高い。
 そのため、サリーム様の陽動を待つしかない。彼女が悪魔の気を引き付けてくれるまで、私達はここで待機する必要がある。

「サリームは、上手くやってくれるでしょうか?」
「大丈夫だと思います。彼女程の力があれば、陽動は問題なくこなせるはずです」
「そうですか。それなら安心ですね……」
「……始まったようですね」
「あれは……」

 私は、ゆっくりと空へと浮き上がっていくサリーム様の姿を見た。
 恐らく、陽動が始まったのだろう。そう判断して私はレムバル様と顔を見合わせて頷く。時計塔内に突入することを決めたのだ。

「これは……」
「やはり、悪魔も突入された時のことを考えていたようですね」
「何が起こっているのですか?」
「恐らく、魔法で内部を作り替えたんです。幻惑の類かもしれません」

 時計塔の中は、訳がわからない構造をしていた。
 そこら中に階段やはしごがある。ただ、それらは上っても先がない。
 その明らかに普通ではない構造は、悪魔が何かをしたと考えるべきだろう。
 だが、これくらいなら特に問題はない。私なら簡単に潜り抜けられる。

「レムバル様、今から足場を作ります」
「足場?」
「ええ、少々お待ちください」
「これは……」

 私は、魔力によって途切れている階段の先に足場を作り出した。
 そのくらいは私にとっては容易いことだ。これで上に行くことはできる。
 ただ、悪魔の仕掛けがこれだけとは限らない。まだ慎重に進んでいく必要があるだろう。

「……ラムーナさん、上から何かが近づいてきています!」
「え?」

 そこで私は、レムバル様の言葉で頭上を見上げた。するとそこから、黒い鳥達が下りてきているのが見えてくる。
 どうやら、それも悪魔の仕掛けであるようだ。
 ただ、これに関しては私が相手する必要はないだろう。レムバル様や兵士達に任せるべき相手だ。

「ラムーナ様、レムバル様、あの敵は我々が引き受けます。先にお進みください」
「ええ、お任せします」

 兵士の言葉に応えながら、私とレムバル様は先に進んでいく。
 こういう仕掛けのために連れてきた兵士達だ。遠慮なく任させてもらう。

「悪魔に僕達の来訪は悟られていないでしょうか?」
「恐らく問題はないと思います。この仕掛けは、入って来た者に反応するようになっていただけだと思いますから」
「そうですか。それなら安心です……」

 こうして私達は、時計塔を上っていくのだった。
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