お前なんか娘じゃないと追い出しておいて、才能があるから戻って来いと言われましても

木山楽斗

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1.娘として認められず

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 ラウファス伯爵家における私の立場は、なんとも微妙なものだった。
 後妻の連れ子である私は、なんというか腫れ物扱いされている。元より私に興味がない母と、自らの血を引かない娘に興味がない父、そんな二人の態度から使用人達も私をどう扱って良いのかわからなくなっているようだ。

 そんな環境でも幸いなことに、弟のルオードと妹のレネシアとの関係は良好であった。
 父の連れ子であったルオードも父親違いの妹レネシアも、こんな環境にも関わらずなんとも穏やかで優しい気質だったのだ。
 二人がいるから、私もラウファス伯爵家でやっていけていたといえる。一応は姉として背中を見せなければならないという意識が、上手く働いたのかもしれない。

「アゼリア、お前には出て行ってもらう」
「……」

 しかし私のラウファス伯爵家の一員としての暮らしは、どうやらなくなりそうだ。
 父に呼び出されて、決定的な一言を告げられたことで私はそれを理解した。
 父の隣にいる母は、なんとも涼しい顔をしている。私のことなんてどうでもいい所か、疎ましく思っている彼女も、当然父と考えは同じだろう。

「……何故私が出て行かなければならないのか、その理由を聞いてもよろしいでしょうか?」
「お前なんか娘じゃないからだ」
「……元々あなたは、私のかつての結婚相手のために生み出されたわ。でも、あなたは男子じゃなかった。そのことで私がどれだけ責められたことか……挙句の果てに浮気相手を娶ったあの男の血を引くあなたなんて、私の娘とは認めないわ」

 かつて私の母と本当の父との間には、色々なことがあったらしい。
 端的に言ってしまえば、どちらも屑であったということだ。惚れた腫れたなどといったことによって、随分と揉めたらしい。
 今目の前にいる父も、渦中の一人であった。両親達の下らない争いには、私も頭が痛くなってくる。

「出て行けというなら、もちろん出て行かせてもらいます。しかし一つ、よろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「私を家から追放する理由は、きちんとしておくべきではありませんか? せめて何か理由を作っておかなければなりません」
「……そんなことはわかっているわ。生意気なことを言わないで頂戴」

 父も母も、凡そ貴族として立派とは言えない人間であった。
 一時の下らない欲求で行動する様は、私や弟妹にとっては反面教師である。

 ただ私はその教訓を活かす機会には恵まれなさそうだ。何せこれから私は、貴族ではなくなるのだから。
 とはいえ、その事実に対して特に思う所などはない。強いて言うなら、弟と妹が悲しむ顔を見るのは辛いといった所だろうか。
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