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12.辛辣な物言い
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バルハルド様が立ち上げたレスティア商会は、オーケイン王国の中でも、かなり大きな商会であるそうだ。
その辺りのことについて、私はそこまで詳しくない。貴族の中にも利用者はいるようだが、積極的に話題にされるものという訳ではないようだ。
「まあ、結果的にではあるが、ベルージュ侯爵家の汚点である俺が長を務めている商会である訳だからな。貴族の間で、わざわざ話題にする奇特な者は少ないということだろう」
「またそんなことを言って……」
「あなたやファナトがどう思っているかは知らないが、俺が汚点であるということは客観的に見れば事実だ」
「それをバルハルド様自身が思っているということが、ファナト様は嫌なのではないでしょうか?」
「ふむ……」
私はバルハルド様とともに、馬車でベルージュ侯爵家の屋敷に向かっていた。
スケジュールの都合上、ルヴァーリ伯爵家にバルハルド様が挨拶した後、私の方がベルージュ侯爵家の人々に挨拶することになったのだ。
ただ、私はファナト様やクルメア様とは旧知の仲である。そもそもこの婚約を持ちかけてくれたのも、その二人だ。話は既についている。
故に挨拶をする対象は、主にベルージュ侯爵夫妻だ。夫妻のことは、実はそれ程知らない。以前会った時は、良くも悪くも友人の親といった印象しか抱かなかった。
少なくとも、高慢な貴族などではないとは思う。とはいえ、前と今では事情が異なるので、どのような態度なのかはわからないため、正直不安である。
「ファナトは心優しい男だが、あなたも同じであるということか」
「私はともかく、ファナト様はお優しい方だと思います。ウルガド様にも、友情を抱いていたようですし……」
「……あなたの以前の夫を悪く言うのは気が引けるが、ウルガドはファナトに対して友情など抱いていなかっただろう。あれに関しては、ファナトの善性が余計なことをしたといえる」
バルハルド様は、ウルガド様に対してひどく辛辣だった。
それは恐らく、彼のファナト様への態度を私以上に知っているからだろう。私と結婚する前から、二人は付き合いがあった訳だし、そこで色々とあったのかもしれない。
しかし、ウルガド様が友情を完全に感じていなかったかというと、そうではないように思える。彼の性格は良いとは言い難いが、それでも良くしてくれるファナト様には、少なからず正の感情があったのではないだろうか。
もっとも、今となってはそれももうわからない。
私との一件で、二人の間には明確な亀裂ができてしまった。それは最早、修復することができないものだろう。
その辺りのことについて、私はそこまで詳しくない。貴族の中にも利用者はいるようだが、積極的に話題にされるものという訳ではないようだ。
「まあ、結果的にではあるが、ベルージュ侯爵家の汚点である俺が長を務めている商会である訳だからな。貴族の間で、わざわざ話題にする奇特な者は少ないということだろう」
「またそんなことを言って……」
「あなたやファナトがどう思っているかは知らないが、俺が汚点であるということは客観的に見れば事実だ」
「それをバルハルド様自身が思っているということが、ファナト様は嫌なのではないでしょうか?」
「ふむ……」
私はバルハルド様とともに、馬車でベルージュ侯爵家の屋敷に向かっていた。
スケジュールの都合上、ルヴァーリ伯爵家にバルハルド様が挨拶した後、私の方がベルージュ侯爵家の人々に挨拶することになったのだ。
ただ、私はファナト様やクルメア様とは旧知の仲である。そもそもこの婚約を持ちかけてくれたのも、その二人だ。話は既についている。
故に挨拶をする対象は、主にベルージュ侯爵夫妻だ。夫妻のことは、実はそれ程知らない。以前会った時は、良くも悪くも友人の親といった印象しか抱かなかった。
少なくとも、高慢な貴族などではないとは思う。とはいえ、前と今では事情が異なるので、どのような態度なのかはわからないため、正直不安である。
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「私はともかく、ファナト様はお優しい方だと思います。ウルガド様にも、友情を抱いていたようですし……」
「……あなたの以前の夫を悪く言うのは気が引けるが、ウルガドはファナトに対して友情など抱いていなかっただろう。あれに関しては、ファナトの善性が余計なことをしたといえる」
バルハルド様は、ウルガド様に対してひどく辛辣だった。
それは恐らく、彼のファナト様への態度を私以上に知っているからだろう。私と結婚する前から、二人は付き合いがあった訳だし、そこで色々とあったのかもしれない。
しかし、ウルガド様が友情を完全に感じていなかったかというと、そうではないように思える。彼の性格は良いとは言い難いが、それでも良くしてくれるファナト様には、少なからず正の感情があったのではないだろうか。
もっとも、今となってはそれももうわからない。
私との一件で、二人の間には明確な亀裂ができてしまった。それは最早、修復することができないものだろう。
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