王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗

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2.王子の来訪

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「おや、どうかしましたか? お話を続けてもらっても構いませんよ?」

 アドルヴ殿下は、涼しい笑顔で二人の男性に声をかけた。
 だが、二人は何も言わない。それは当然だ。要するに陰口を叩いていた訳なのだから、それを他者がいる場でもするなんてことは無理な話である。
 増してや、相手は私のいとこであるアドルヴ殿下だ。その怒りを買う可能性がある以上、滅多なことは言えないだろう。

「ラルリアの批判をしていたことなら、気にする必要はありませんよ」

 そんな二人に対して、アドルヴ殿下はその爽やかな笑みを絶やさなかった。
 ただ、彼の目は笑っていないような気がする。王家とバレリア公爵家の仲は良好だ。私と彼との仲も悪くはないし、多分怒ってくれてはいるのだろう。

「そういったことに関しては、上に立つ者の義務であると思っていますからね。ラルリアだって、それは理解していることでしょう」
「義務……?」

 アドルヴ殿下の言葉に、男性の内の一人は怪訝な顔をした。
 その言葉の意味は、私にもよくわからない。彼はああ言っているが、私はそのことについてまったく持って理解できていないようである。

「批判や非難されることは、仕方のないことだと思っています。それが正当であろうとなかろうと、上に立つ以上は発生するものですからね。それを受け止めるのも役目だと思っています」

 アドルヴ殿下の覚悟というものは、見事なものだと思った。
 確かに上に立つ以上、批判されることは必ずある。皆が皆敬ってくれるなんてことはまずあり得ないことだ。
 その上で私達は、それを受け止める覚悟を決めておくべきなのだろう。私は少々、撃たれ弱かったのかもしれない。

「アドルヴ殿下は……俺達が正当ではない批判をしていると言いたいのですか?」
「おや……」

 そんな彼の言葉に対して、男性は言葉を返した。
 ただ彼が触れたのは、批判が正当であろうとなかろうとという部分であった。何故か彼には、そこが気になったみたいだ。
 もう一人の男性も、気持ちは同じであるらしい。友人の言葉に頷いている。それは、主張が二人の共通の認識であることを表しているといえるだろう。

「誰もそのようなことは言っていませんよ」
「そうは思えません!」
「……あなた方がそう思うというなら、それはあなた方の受け止め方が問題なのではありませんか? 批判が正当でないと思っているからこそ、引っかかるのでしょう?」
「なっ……!」

 アドルヴ殿下は、とても忌憚のない意見を述べていた。
 それに二人の男性は怒っている。図星だったということだろう。二人の目は血走っている。
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