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私は、エルグレンド王国の人達とともに移動していた。
私には、手錠がかけられている。何もしないつもりだが、あちら側からしたら当然の措置だろう。
「すみませんね、罪人のように扱ってしまって」
「いえ……」
「ですが、あなたが何者なのか、こちらもまだわかっていません。自由にさせる訳にはいかないのです」
「わかっています」
第二王子のリルガー様は、私に対して謝ってきた。
だが、私はこの措置に特に不満は抱いていない。よくわからない人間を、自由にさせる訳にいかないのは当たり前のことだからだ。
「さて、歩いている間は暇なので、少しあなたの話を聞かせてもらいますか?」
「話?」
「ええ、もう少し詳しく聞いておきたいのです。あなたが何者なのか……何があったのか、知りたいことはたくさんあります」
そこで、リルガー様はそんなことを言ってきた。
それを話すことは、別に構わない。こちらとしても、私のことを理解してもらいたいからである。
「先程言った通り、私はレパイア王国で聖女の補佐をしていました」
「聖女の補佐……ですが、内情は違ったのですよね?」
「ええ、現聖女であるカーテナ・ラルカンテは、最近面倒だと言って仕事をしていませんでした。だから、代わりに私が業務にあたっていたのです」
「なるほど……」
私の言葉に、リルガー様は少しだけ考える仕草を見せてきた。
恐らく、私の話が真実かどうか考えているのだろう。
「ただ、先日、カーテナ様は急に仕事をすると言い出したのです。それで、結界を張る業務をしたのですが、それに失敗してしまったのです」
「ブランクということでしょうか?」
「ええ、多分、そうだと思います。それで、カーテナ様はその失敗を私に押し付けてきたのです。彼女は、聖女であり、公爵家の令嬢でもあります。だから、その権力を使って、私に罪を被せたのです」
「ひどい話ですね……」
リルガー様は、私の話に少し声のトーンを落としていた。
一応、信じてくれて、私に起こった悲劇に悲しんでくれているようだ。
自分で言っていても思ったが、カーテナ様の行いはとてもひどい。どうして、あんな人が聖女なのだろうか。
「そんなひどい話を聞いた後に、こんなことを言うのは気が引けますが、これは好機でしょうね」
「好機?」
「ええ、聖女が機能していないというなら、こちらの王国にとっては都合がいいことです」「都合がいいこと……」
リルガー様の言葉に、私は少し恐ろしくなった。
都合がいい。それが何を表しているかは、明白だからである。
私には、手錠がかけられている。何もしないつもりだが、あちら側からしたら当然の措置だろう。
「すみませんね、罪人のように扱ってしまって」
「いえ……」
「ですが、あなたが何者なのか、こちらもまだわかっていません。自由にさせる訳にはいかないのです」
「わかっています」
第二王子のリルガー様は、私に対して謝ってきた。
だが、私はこの措置に特に不満は抱いていない。よくわからない人間を、自由にさせる訳にいかないのは当たり前のことだからだ。
「さて、歩いている間は暇なので、少しあなたの話を聞かせてもらいますか?」
「話?」
「ええ、もう少し詳しく聞いておきたいのです。あなたが何者なのか……何があったのか、知りたいことはたくさんあります」
そこで、リルガー様はそんなことを言ってきた。
それを話すことは、別に構わない。こちらとしても、私のことを理解してもらいたいからである。
「先程言った通り、私はレパイア王国で聖女の補佐をしていました」
「聖女の補佐……ですが、内情は違ったのですよね?」
「ええ、現聖女であるカーテナ・ラルカンテは、最近面倒だと言って仕事をしていませんでした。だから、代わりに私が業務にあたっていたのです」
「なるほど……」
私の言葉に、リルガー様は少しだけ考える仕草を見せてきた。
恐らく、私の話が真実かどうか考えているのだろう。
「ただ、先日、カーテナ様は急に仕事をすると言い出したのです。それで、結界を張る業務をしたのですが、それに失敗してしまったのです」
「ブランクということでしょうか?」
「ええ、多分、そうだと思います。それで、カーテナ様はその失敗を私に押し付けてきたのです。彼女は、聖女であり、公爵家の令嬢でもあります。だから、その権力を使って、私に罪を被せたのです」
「ひどい話ですね……」
リルガー様は、私の話に少し声のトーンを落としていた。
一応、信じてくれて、私に起こった悲劇に悲しんでくれているようだ。
自分で言っていても思ったが、カーテナ様の行いはとてもひどい。どうして、あんな人が聖女なのだろうか。
「そんなひどい話を聞いた後に、こんなことを言うのは気が引けますが、これは好機でしょうね」
「好機?」
「ええ、聖女が機能していないというなら、こちらの王国にとっては都合がいいことです」「都合がいいこと……」
リルガー様の言葉に、私は少し恐ろしくなった。
都合がいい。それが何を表しているかは、明白だからである。
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