怠惰な聖女の代わりに業務を担っていた私は、たまの気まぐれで働いた聖女の失敗を押し付けられて追放されました。

木山楽斗

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 リルガー様は、レパイア王国の統治を任された。
 それに、私も同行することが、彼の望みであるようだ。
 だが、それはそういう意味ではないだろう。きっと、もっと深い意味がある言葉であるはずだ。

「それは、彼女を自分の妻にしたいということですか?」
「……ええ、そういうことです」

 私の予想していた通り、彼の言葉は私に対する告白だったようである。
 傍に置かせたい。その許可をラルーグ様に取ろうとしているということは、そういうことだろうと思っていた。
 急な告白に、私は動揺していた。そんな私に、リルガー様はゆっくりと視線を向けてくる。

「……申し訳ありません。こんな形で思いを告げることになってしまって……ですが、今言わなければ、ならないのです。兄上から許可をもらい、あなたを連れて行くためには……」
「え、えっと……」
「僕は、あなたのことを愛しています。あなたをここに連れてきて、一緒に戦って、それがわかりました。僕は、あなたに傍にいてもらいたいのです」

 リルガー様は、真っ直ぐに私の目を見て思いを告げてくれた。
 それに対する私の返答は、すぐに決まった。今まで彼と過ごしてきた時間のことを考えると、自然に答えが出てきたのである。

「リルガー様……私も、あなたと一緒にいたいと思っています。私でよければ、あなたの傍にいさせてください」
「イルアナさん……ありがとうございます」

 私の言葉に、リルガー様は笑顔を見せてくれた。
 これで、お互いの気持ちは解決した。後は、目の前にいる現国王から許可を得るだけだ。

「なるほど……あなた達の気持ちはわかりました。ですが、お二人は身分が違います」
「兄上、それでも……」
「そこで、彼女には特別な地位に就いてもらうことにします。イルアナさん、エルグレンド王国の聖女になってもらえますか?」
「え?」

 ラルーグ様の言葉に、私は驚いていた。
 だが、すぐにその意図は理解できた。彼は、身分の差を解決しようとしているのだ。
 聖女というのは、特別な地位を持つ役職である。時には、平民でありながら貴族や王族と婚約できる程に、強い力を持っているのだ。

「わかりました……私は、聖女になります」
「ありがとうございます……これで、あなたはリルガーと結ばれることができます。多少は反発もあるでしょうが、王族と聖女が婚約した前例はありますから、否定することはできないでしょう」

 私が思っていた通り、聖女の役職を与えたのはそういう意図があったようである。
 もっとも、今回の戦いで私が色々と働いたこも関係しているのかもしれない。活躍した自覚はあるので、それも考慮されているはずだ。
 こうして、私とリルガー様は結ばれことになったのである。
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