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第80話 認めない者達に
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私とロクス様は、ラプレノス家の屋敷で二人の人間と対峙していた。
現当主ボルガム様とその長男にオーガイム様。今回の件の元凶達である。
「それで、ムルルがあなた達の血族ということに間違いはありませんか?」
「そのような事実は、一切ございません。そうだろう? オーガイム?」
「ええ、もちろんです。セレンティナ様、ロクス様、そのような事実はありません。一村娘の戯言に過ぎないということです」
私の質問に対して、二人はそのようにはぐらかしてきた。
ここに来て、話を始めても、二人はそのような態度を崩さなかった。あくまでも、そのような事実はないということで突き通すつもりらしい。
「それでは、質問を変えましょうか? ムルルという少女が、村人から差別を受けているという事実はご存知でしたか?」
「それも、私達の耳には入っていませんね。村人達が上手く隠していたということでしょう」
私は、質問を変えてみることにした。
ムルルが、ラプレノス家の隠し子でなかったとしても、彼女を放っておいたことは問題である。
だが、ボルガム様はその事実すら知らないと言った。どうやら、本当に何も知らなかったで通すつもりらしい。
どうやら、彼等は一つ勘違いをしているようだ。まだ、なんとかなる。そのような甘え考え方をしているようだ。
「一つ言っておきます」
「は、はい?」
そんな彼等に色々と言おうと思った私だったが、先にロクス様が口を開いていた。
その静かな声に、ボルガム様とオーガイム様は怯んでいた。ロクス様の声は、それ程までに恐ろしいものだったのである。
「叩き潰す」
ロクス様は、一言だけそう呟いた。
無駄な説明は、一切ない。簡潔に、これから起こる事実を伝えたのだ。
何も知らないと惚ける貴族に対して、ロクス様はそのような結論を出したのである。
公爵家からの宣戦布告。それは、子爵家の二人にとって、中々絶望的なものだろう。
「セレンティナ様、これ以上の話は無駄なようです。彼等は、事実を知らなかった。そういう主張のようですからね」
「ロクス様……」
「また改めて伺うとしましょう。物的証拠がある訳ではありませんし、これ以上は水掛け論になりそうです」
私に対して、ロクス様はそのように言ってきた。
確かに、このまま話しても時間の無駄である。改めて出直してもいいのかもしれない。
それにしても、ロクス様は相当怒っているようだ。もちろん、頑なに事実を認めなかった彼等に対して、そのような怒りを覚えることは理解できる。
しかし、あくまで冷静にして欲しいと言ったのに、それが守れていない。そこは、ロクス様にしては珍しいことである。
最も、私も結構すっきりしたので、別にいい気がしてきた。別に、あの言葉一つくらいなら、大事にもならないだろう。そもそも、ロクス様はヴァンデイン家の人間なので、聖女の業務的にはそこまで関係ない。恐らく、大事にはならないだろう。
こうして、私達はラプレノス家の屋敷を後にするのだった。
現当主ボルガム様とその長男にオーガイム様。今回の件の元凶達である。
「それで、ムルルがあなた達の血族ということに間違いはありませんか?」
「そのような事実は、一切ございません。そうだろう? オーガイム?」
「ええ、もちろんです。セレンティナ様、ロクス様、そのような事実はありません。一村娘の戯言に過ぎないということです」
私の質問に対して、二人はそのようにはぐらかしてきた。
ここに来て、話を始めても、二人はそのような態度を崩さなかった。あくまでも、そのような事実はないということで突き通すつもりらしい。
「それでは、質問を変えましょうか? ムルルという少女が、村人から差別を受けているという事実はご存知でしたか?」
「それも、私達の耳には入っていませんね。村人達が上手く隠していたということでしょう」
私は、質問を変えてみることにした。
ムルルが、ラプレノス家の隠し子でなかったとしても、彼女を放っておいたことは問題である。
だが、ボルガム様はその事実すら知らないと言った。どうやら、本当に何も知らなかったで通すつもりらしい。
どうやら、彼等は一つ勘違いをしているようだ。まだ、なんとかなる。そのような甘え考え方をしているようだ。
「一つ言っておきます」
「は、はい?」
そんな彼等に色々と言おうと思った私だったが、先にロクス様が口を開いていた。
その静かな声に、ボルガム様とオーガイム様は怯んでいた。ロクス様の声は、それ程までに恐ろしいものだったのである。
「叩き潰す」
ロクス様は、一言だけそう呟いた。
無駄な説明は、一切ない。簡潔に、これから起こる事実を伝えたのだ。
何も知らないと惚ける貴族に対して、ロクス様はそのような結論を出したのである。
公爵家からの宣戦布告。それは、子爵家の二人にとって、中々絶望的なものだろう。
「セレンティナ様、これ以上の話は無駄なようです。彼等は、事実を知らなかった。そういう主張のようですからね」
「ロクス様……」
「また改めて伺うとしましょう。物的証拠がある訳ではありませんし、これ以上は水掛け論になりそうです」
私に対して、ロクス様はそのように言ってきた。
確かに、このまま話しても時間の無駄である。改めて出直してもいいのかもしれない。
それにしても、ロクス様は相当怒っているようだ。もちろん、頑なに事実を認めなかった彼等に対して、そのような怒りを覚えることは理解できる。
しかし、あくまで冷静にして欲しいと言ったのに、それが守れていない。そこは、ロクス様にしては珍しいことである。
最も、私も結構すっきりしたので、別にいい気がしてきた。別に、あの言葉一つくらいなら、大事にもならないだろう。そもそも、ロクス様はヴァンデイン家の人間なので、聖女の業務的にはそこまで関係ない。恐らく、大事にはならないだろう。
こうして、私達はラプレノス家の屋敷を後にするのだった。
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