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私は、屋敷である人物を待っていた。
お父様と話をしてからしばらく経って、向こう側の王国から返答があった。なんでも、私と実際に会って話をしてから、判断がしたいらしいのだ。
という訳で、私は今日、婚約するかもしれない第二王子のレオード様と会うのである。
レオード様は、獅子の獣人であるらしい。実際に獣人を見たことはあまりないので、中々緊張している。
「お父様、もしかして……あれでしょうか?」
「ああ、そのようだな」
窓から様子を伺っていた私は、馬車の来訪に気づいた。
とりあえず、私もお父様も立ち上がる。玄関まで、出迎えに行かなければならないからだ。
「緊張しているか?」
「ええ、緊張しています」
「レオード様とは、何度か話したことがあるが、素晴らしいお方だ。故に、緊張する必要はない。そう言っても、無駄か」
「いえ、少しだけ和らぎました」
お父様は、レオード様を称賛した。
その言葉のおかげで、私の緊張はほんの少しだけ和らぐ。信頼できる人から、素晴らしいと言われる人なのだから、きっと大丈夫。そのように考えられたからだ。
「さて……」
「……」
玄関まで来て、私とお父様はゆっくりと立ち止まった。
深呼吸しながら、心を整える。大丈夫、何も問題はない。それを自分に言い聞かせながら、来訪者を待つ。
「来るぞ……」
「はい……」
その直後、ゆっくりと玄関の戸が開かれた。
次の瞬間、私の目にとある人物が入って来る。獅子の顔をした巨体。逞しい体を持つ獣人が、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
その凛々しさから、すぐに私は理解した。恐らく、彼がレオード様なのだろう。
王族としての気品に溢れたその立ち振る舞いは、世間が抱いている野蛮という評価とは正反対なものだ。それを見ているだけで、彼が野獣ではなく、知識を持つ人間であるということは明白である。
「アスキード公爵、お久し振りですね」
「レオード様、お元気そうで何よりです」
レオード様は、お父様と挨拶を交わしていた。
笑顔で固く握手する彼を見て、私は少しだけ失礼なことを思ってしまった。その笑顔が、結構可愛いのである。
元々、動物は嫌いではない。そのため、彼の笑顔をそう感じてしまうのだろうか。
「……そちらが件のミレイア嬢という認識で構いませんか?」
「あ、ミレイア・アスキードです」
「そうですか。会えて嬉しく思います。私は、リオネルダ王国の第二王子のレオードです。今日は、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ、よろしくお願いします」
レオード様から差し出された手を、私はゆっくりと握った。
すると、意外な感触に少し驚いてしまう。なんだか、手の平の中に柔らかいものがある気がするのだ。
「ああ、これは肉球です」
「肉球? 獅子の獣人の手には、肉球があるのですか?」
「ええ、獣としての肉体を引き継いでいるのです」
「なるほど……」
不思議そうにしていた私に対して、レオード様は解説してくれた。
考えてみれば、獅子には肉球がある。獣人がそれを受け継いでいることは、何も不思議ではない。
「さて、そろそろ部屋に行きましょうか? いつまでも、ここで話す必要もないですからね」
「ええ、それでは案内してもらっていいでしょうか?」
「ええ」
そこで、お父様が話を遮った。
確かに、いつまでも玄関で話す必要はない。早く、部屋に案内するべきだろう。
お父様と話をしてからしばらく経って、向こう側の王国から返答があった。なんでも、私と実際に会って話をしてから、判断がしたいらしいのだ。
という訳で、私は今日、婚約するかもしれない第二王子のレオード様と会うのである。
レオード様は、獅子の獣人であるらしい。実際に獣人を見たことはあまりないので、中々緊張している。
「お父様、もしかして……あれでしょうか?」
「ああ、そのようだな」
窓から様子を伺っていた私は、馬車の来訪に気づいた。
とりあえず、私もお父様も立ち上がる。玄関まで、出迎えに行かなければならないからだ。
「緊張しているか?」
「ええ、緊張しています」
「レオード様とは、何度か話したことがあるが、素晴らしいお方だ。故に、緊張する必要はない。そう言っても、無駄か」
「いえ、少しだけ和らぎました」
お父様は、レオード様を称賛した。
その言葉のおかげで、私の緊張はほんの少しだけ和らぐ。信頼できる人から、素晴らしいと言われる人なのだから、きっと大丈夫。そのように考えられたからだ。
「さて……」
「……」
玄関まで来て、私とお父様はゆっくりと立ち止まった。
深呼吸しながら、心を整える。大丈夫、何も問題はない。それを自分に言い聞かせながら、来訪者を待つ。
「来るぞ……」
「はい……」
その直後、ゆっくりと玄関の戸が開かれた。
次の瞬間、私の目にとある人物が入って来る。獅子の顔をした巨体。逞しい体を持つ獣人が、ゆっくりとこちらに歩いてくる。
その凛々しさから、すぐに私は理解した。恐らく、彼がレオード様なのだろう。
王族としての気品に溢れたその立ち振る舞いは、世間が抱いている野蛮という評価とは正反対なものだ。それを見ているだけで、彼が野獣ではなく、知識を持つ人間であるということは明白である。
「アスキード公爵、お久し振りですね」
「レオード様、お元気そうで何よりです」
レオード様は、お父様と挨拶を交わしていた。
笑顔で固く握手する彼を見て、私は少しだけ失礼なことを思ってしまった。その笑顔が、結構可愛いのである。
元々、動物は嫌いではない。そのため、彼の笑顔をそう感じてしまうのだろうか。
「……そちらが件のミレイア嬢という認識で構いませんか?」
「あ、ミレイア・アスキードです」
「そうですか。会えて嬉しく思います。私は、リオネルダ王国の第二王子のレオードです。今日は、よろしくお願いします」
「いえ、こちらこそ、よろしくお願いします」
レオード様から差し出された手を、私はゆっくりと握った。
すると、意外な感触に少し驚いてしまう。なんだか、手の平の中に柔らかいものがある気がするのだ。
「ああ、これは肉球です」
「肉球? 獅子の獣人の手には、肉球があるのですか?」
「ええ、獣としての肉体を引き継いでいるのです」
「なるほど……」
不思議そうにしていた私に対して、レオード様は解説してくれた。
考えてみれば、獅子には肉球がある。獣人がそれを受け継いでいることは、何も不思議ではない。
「さて、そろそろ部屋に行きましょうか? いつまでも、ここで話す必要もないですからね」
「ええ、それでは案内してもらっていいでしょうか?」
「ええ」
そこで、お父様が話を遮った。
確かに、いつまでも玄関で話す必要はない。早く、部屋に案内するべきだろう。
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