婚約破棄された私は、妹の代わりに獣人の国に嫁ぐことになりました。

木山楽斗

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 私とレオード様は、今日も馬車に乗っていた。
 国境付近の町で一夜を越して、王都に向かっているのだ。

「王都に着いたら、まずは私の父上……つまり、この国の現国王に会ってもらいます」
「国王様ですか……まあ、当然のことではありますね」
「ええ」

 私は、王都に着いてからのことをレオード様から聞いていた。
 まずは、この国の国王様と会う。それは、当然のことである。
 だが、実際に聞くと、その実感が湧いてきて、とても緊張してきた。私にとって、義理の父となる人であるため、とても穏やかな気持ちではいられないのだ。

「私にとって国王様は、お義父様になるのですよね?」
「ええ、そうなりますね」
「参考までに、どのような人か聞いてもよろしいですか?」
「どのような人か、ですか……」

 私の言葉に、レオード様は考え始めた。
 父親のことをどのように表現するか、悩んでいるのだろう。
 そのように悩むということは、難しい人なのだろうか。それだと、かなり怖いので、できれば優しい人であって欲しい。

「基本的には、威厳のある人です。強く凛々しい国王だと思いますよ」
「……そうですか」

 レオード様の言葉に、私は少し怖くなった。
 やはり、かなり厳しい国王様であるらしい。それは、あまりいい知らせではないだろう。
 ただ、例え相手が怖くても、逃げることはできない。しっかりと決意を固めて、対峙するしかないのだ。

「ですが、あなたに関してはそこまで厳しい態度は見せないと思いますよ」
「え?」
「私の婚約者といっても、あなたは他国からの客人です。そんなあなたに対して、父も厳しくは接しないでしょう」
「な、なるほど……」

 レオード様の言葉に、私は少しだけ安心した。
 よく考えてみれば、国王様の対応が、私とこの国の住人で同じ訳がない。どこまで行っても、私は客人だ。そんな私に、国王様も滅多なことを言ってくるはずはない。
 だが、それで気を緩めすぎてはいけないだろう。私は、国の代表のようなものなのだ。気を緩めすぎて、無礼があってはならない。気はしっかりと引き締めるべきだろう。

「まあ、そこまで緊張する必要はないと思いますよ。今回の婚約に関することを、父上は私に一任しています。私が選んだ婚約者に対して、特に何か言うことはないはずです」
「いえ、それでも無礼があってはいけませんから、緊張しているべきだと思います」
「ふふ、あなたらしいですね」

 気を引き締める私に、レオード様は笑顔を見せてくれた。
 その笑顔を見ていると、なんだか心が和んでくる。彼の笑顔は、少し可愛すぎるのではないだろうか。
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