刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗

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42.怪しげな集団⑥

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「……フェリナ、俺の見解を聞いて欲しい」
「……うん」

 兄貴の言葉に、私はゆっくりと頷いた。これから、何か嫌なことを言われるかもしれない。そう思ったが、聞くべきだとも思った。それを聞かないで判断することがいいことだとは、思えなかったからだ。

「王都に行き、リルフを専門機関に預けるべきだ」
「専門機関……それは」
「その子が何者なのか、それを知るべきだろう。そうしなければ、あいつらの狙いもわからない。あいつらが何者かもわからないんだぞ?」
「それは……そうかもしれないけど」

 兄貴の提案は、簡単に受け入れられるようなものではない。それは、メルラムに言われた時と同じ理由があるからだ。
 専門機関に預けて、リルフが幸せになれるとは思えない。どう考えても、不幸になる未来しか見えないのだ。

「それだけじゃない。あいつらはかなり人数がいるはずだ。俺一人で、そんな奴らからお前達を守ることは流石にできない。だが、王都に行けば騎士団もいる。安全性を考えれば、そちらの方がいいだろう?」
「うっ……それは……」

 兄貴の言っていることは、理解できる。恐らく、あいつらはそれなりに規模を持っているだろう。さっきこの町に来た数が全てだとは考えにくい。倒れた者達を回収したことから、もっと大きな組織であると考えられる。
 そんな組織を、兄貴一人で相手できる訳はない。いくら兄貴が強くても、大規模な組織には敵わないのだ。
 リルフを守るためには、大きな力がいる。兄貴の言う通り、騎士団の力が必要なのだ。

「でも、この子が専門機関でひどい扱いを受けるかもしれない……」
「専門機関に預けるのと、あいつらに捕まること、どっちが危険かなんて、考えるまでもないだろう?」
「それは……」
「フェリナ、気持ちはわかるが、現実を見ろ。お前や俺の力では、限界があるんだよ」
「……」

 兄貴の言っていることが、理解できない訳ではない。でも、納得はできなかった。
 リルフにとって一番の幸せは、ここで静かに暮らすことである。その幸せを、どうして奪われなければならないのだろうか。

「……嫌だ」
「……フェリナ?」
「兄貴の言っていることはわかる。でも、それでも嫌だ。嫌なんだよ……」

 私は、リルフを抱きしめる力を強くしながら、兄貴にそう言った。
 理論とかそういうことなんて、私は持ち合わせていなかった。ただ感情に任せて言葉を放っただけだ。
 それなのに、兄貴は笑っていた。まるで、その答えを待っていたかのように笑みを浮かべたのだ。

「はあ……やっぱり、お前はそう言うんだよなあ……」
「あ、兄貴?」
「試して悪かったな。さっき言ったことは……まあ、建前みたいなものだ。この町の駐在騎士として、言わなければならなかった」
「うっ……兄貴」

 兄貴は、私とリルフをの頭に手を乗せていた。その温もりに、私は少し安心する。やっぱり、兄貴は兄貴なのだと。

「心配するな。俺が守ってみせるさ。駐在騎士として、お前の兄貴として、絶対に守る」
「兄貴……ありがとう」

 私は、兄貴の言葉に涙を浮かべていた。兄貴は、本当に頼りになる。こんな人だからこそ、私は兄貴として慕っているのだと。私は、それを思い出すのだった。
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