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55.進化した竜③
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私達は、男達の治療と拘束を終えていた。
幸いといっていいかはわからないが、怪しい集団は全員生きていた。私が切り裂いた者達も、リルフが吹き飛ばした男達も、一応息はあったのだ。
もっとも、ここでは完璧な治療はできない。この後、医者に診てもらう必要がある。
という訳で、メルラムには町に人を呼びに行ってもらった。あの者達が助かるかどうかは、今後決まるということである。
覚悟はしたはずなのだが、私は結構はらはらしていた。できることなら、人の命を奪ったという結果は避けたかったからだ。
できることなら、切り裂いた人達に助かって欲しい。矛盾しているのかもしれないが、私は今そんなことを思っていた。
「なるほど、こいつはリルフということなんだな?」
「うん。そういうことなんだ」
「変身ね……まあ、今更驚くようなことでもないんだけど」
メルラムが戻って来るまでの間、私は二人に事情を説明していた。
リルフをここで見つけたこと、ここであの集団だと戦ったこと。その戦いで、リルフがこの姿になったこと。二人に全て包み隠さず話したのである。
「でも、このままだとまずいんじゃない? ここに来た人達に見つかったら、大変なことになると思うんだけど……」
「ああ、確かにそうだね……」
ミルーシャの言葉に、私はゆっくりと頷いた。確かに、この姿のままだと色々とまずい。
こんな姿を見られたら、リルフのことが国中に広まってしまう。それでは困るので、なんとかしたい所だ。
「それなら、大丈夫」
「え? うわっ!」
心配している私達の前で、リルフの体は突然光り輝いた。
その光の中で、リルフは姿を変えていく。大きな姿のシルエットから、人間のシルエットへと変化する様は、なんとも不思議な光景である。
「よくわからないけど、姿を変える方法がわかったんだ」
「そうなんだ……それなら、とりあえずは一安心だね」
見慣れた人間の姿になったリルフは、笑顔を見せてくれた。どうやら、自らの力を制御できるようになったようだ。
この姿であるならば、この子は人間にしか見えない。誰も、そのことに対して疑問を抱くことはないだろう。
「……そういえば、服はあるんだね?」
「え? あ、そうだね」
「え? 今まで変身する時は、服がなくなっていたの?」
「うん」
「いや、うんって……」
リルフは、服をきちんと着ていた。今までは、人間の姿に変わる時は服を着ていなかったのだが、今回はきちんと着ているのだ。それも、力を制御できるようになったからなのだろうか。
疑問はあるが、これは幸いなことだ。服を着ていなかったら、色々とまずいことになっていたはずである。よくわからなくても、服を着ていてくれるならそれに越したことはない。
「まあ、何はともあれ、これで誤魔化せるということだね?」
「残念だが、そういう訳にいかない」
「え?」
一安心している私の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。しかし、どうしてその声が今ここで聞こえてくるのか、私にはまったく理解できない。
「その竜については、このままという訳にはいかんのだ」
「お、お父様、どうしてここに……?」
現れたのは、ラナキンス伯爵だった。その隣にはメルラムもいる。
そのことから、町で合流してこちらにやって来たことはわかった。だが、ラナキンス伯爵がこんな時間に町にいるということも、ここにやって来た理由も、私にはまったくわからない。一体、伯爵はどうしうたのだろうか。
幸いといっていいかはわからないが、怪しい集団は全員生きていた。私が切り裂いた者達も、リルフが吹き飛ばした男達も、一応息はあったのだ。
もっとも、ここでは完璧な治療はできない。この後、医者に診てもらう必要がある。
という訳で、メルラムには町に人を呼びに行ってもらった。あの者達が助かるかどうかは、今後決まるということである。
覚悟はしたはずなのだが、私は結構はらはらしていた。できることなら、人の命を奪ったという結果は避けたかったからだ。
できることなら、切り裂いた人達に助かって欲しい。矛盾しているのかもしれないが、私は今そんなことを思っていた。
「なるほど、こいつはリルフということなんだな?」
「うん。そういうことなんだ」
「変身ね……まあ、今更驚くようなことでもないんだけど」
メルラムが戻って来るまでの間、私は二人に事情を説明していた。
リルフをここで見つけたこと、ここであの集団だと戦ったこと。その戦いで、リルフがこの姿になったこと。二人に全て包み隠さず話したのである。
「でも、このままだとまずいんじゃない? ここに来た人達に見つかったら、大変なことになると思うんだけど……」
「ああ、確かにそうだね……」
ミルーシャの言葉に、私はゆっくりと頷いた。確かに、この姿のままだと色々とまずい。
こんな姿を見られたら、リルフのことが国中に広まってしまう。それでは困るので、なんとかしたい所だ。
「それなら、大丈夫」
「え? うわっ!」
心配している私達の前で、リルフの体は突然光り輝いた。
その光の中で、リルフは姿を変えていく。大きな姿のシルエットから、人間のシルエットへと変化する様は、なんとも不思議な光景である。
「よくわからないけど、姿を変える方法がわかったんだ」
「そうなんだ……それなら、とりあえずは一安心だね」
見慣れた人間の姿になったリルフは、笑顔を見せてくれた。どうやら、自らの力を制御できるようになったようだ。
この姿であるならば、この子は人間にしか見えない。誰も、そのことに対して疑問を抱くことはないだろう。
「……そういえば、服はあるんだね?」
「え? あ、そうだね」
「え? 今まで変身する時は、服がなくなっていたの?」
「うん」
「いや、うんって……」
リルフは、服をきちんと着ていた。今までは、人間の姿に変わる時は服を着ていなかったのだが、今回はきちんと着ているのだ。それも、力を制御できるようになったからなのだろうか。
疑問はあるが、これは幸いなことだ。服を着ていなかったら、色々とまずいことになっていたはずである。よくわからなくても、服を着ていてくれるならそれに越したことはない。
「まあ、何はともあれ、これで誤魔化せるということだね?」
「残念だが、そういう訳にいかない」
「え?」
一安心している私の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。しかし、どうしてその声が今ここで聞こえてくるのか、私にはまったく理解できない。
「その竜については、このままという訳にはいかんのだ」
「お、お父様、どうしてここに……?」
現れたのは、ラナキンス伯爵だった。その隣にはメルラムもいる。
そのことから、町で合流してこちらにやって来たことはわかった。だが、ラナキンス伯爵がこんな時間に町にいるということも、ここにやって来た理由も、私にはまったくわからない。一体、伯爵はどうしうたのだろうか。
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