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90.騎士団長との戦い②
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「クロス……スラッシュ!」
「うおおおっ!」
「ぬぐぅ!」
ローディスの斬撃に合わせて、アラーグは槍を薙ぎ払ってきた。それにより、ローディスのバランスが崩れていく。
こうなることは、ローディスもわかっていなかった訳ではない。アラーグならば、そうすることができるだろうと思っていたのだ。
そのため、狙いがぶれることもある程度予測済みだった。故に、ローディスはそのまま剣を振るう。少し体勢は崩れることになったが、それでも、その威力はそれ程落ちてはいない。
「なっ……!」
ローディスの一撃により、アラーグの槍は破壊された。その中心が砕け散り、二つに分かれてしまったのだ。
これで、アラーグは武器を失った。後退しながら、ローディスは今度こそ自身が優位に立ったことを悟る。
「……どうやら、勝負は決したようだな。お前は武器を失った。それが、どれ程大きな意味を持つか、わからないお前ではあるまい」
「……あまり、舐めないでもらいたい」
「む……?」
ローディスの言葉に対して、アラーグは二つに分かれた槍を捨てた。そして、ゆっくりと構えを取る。
それは、徒手空拳の構えだ。その姿に、ローディスは一人の少女のことを思い出す。
「なるほど……そうだったな。お前達は、この程度で諦めるような者達ではないのだったな」
「ええ、まだ俺にはこの肉体が残っています」
「見事な心構えだ……守るべきもののために、全てを投げ捨てることができるお前は、正に誠の騎士であるといえるだろう」
ローディスは、アラーグのことを自然と称賛していた。自らの敵に回った彼こそが、騎士団にいる誰よりも騎士に相応しい。そんな考えすら過っていた。
だからこそ、ローディスは構える。そんな男に対して、情け容赦は無用であると、彼もわかっているからだ。
「最後に聞いておこう。この俺の部下に戻るつもりはないか?」
「それに頷く俺だと思いますか?」
「思わないからこそ欲しいのだ……だが、そうだな。ならば、せめて、その名と雄姿をこの俺の心に永遠に刻んでおくとしよう」
ローディスは大きく大地を蹴って、アラーグの元に迫っていく。決着をつけるための技は決まっている。彼の最も信頼する技で、アラーグを切り裂くのだ。
アラーグは、逃げることなくローディスを待ち構えていた。その決して退くことがない姿勢も、ローディスはとても素晴らしいものだと思った。
「終わらせよう! クロス・スラッシュ!」
「うおおおおおっ!」
彼という男を失うのが惜しいと心から思いながらも、ローディスは剣を振るう。例え惜しくても、自身の前に立ちはだかる以上、彼は容赦しない。全力の斬撃が、アラーグの体に迫っていく。
「うおおおっ!」
「ぬぐぅ!」
ローディスの斬撃に合わせて、アラーグは槍を薙ぎ払ってきた。それにより、ローディスのバランスが崩れていく。
こうなることは、ローディスもわかっていなかった訳ではない。アラーグならば、そうすることができるだろうと思っていたのだ。
そのため、狙いがぶれることもある程度予測済みだった。故に、ローディスはそのまま剣を振るう。少し体勢は崩れることになったが、それでも、その威力はそれ程落ちてはいない。
「なっ……!」
ローディスの一撃により、アラーグの槍は破壊された。その中心が砕け散り、二つに分かれてしまったのだ。
これで、アラーグは武器を失った。後退しながら、ローディスは今度こそ自身が優位に立ったことを悟る。
「……どうやら、勝負は決したようだな。お前は武器を失った。それが、どれ程大きな意味を持つか、わからないお前ではあるまい」
「……あまり、舐めないでもらいたい」
「む……?」
ローディスの言葉に対して、アラーグは二つに分かれた槍を捨てた。そして、ゆっくりと構えを取る。
それは、徒手空拳の構えだ。その姿に、ローディスは一人の少女のことを思い出す。
「なるほど……そうだったな。お前達は、この程度で諦めるような者達ではないのだったな」
「ええ、まだ俺にはこの肉体が残っています」
「見事な心構えだ……守るべきもののために、全てを投げ捨てることができるお前は、正に誠の騎士であるといえるだろう」
ローディスは、アラーグのことを自然と称賛していた。自らの敵に回った彼こそが、騎士団にいる誰よりも騎士に相応しい。そんな考えすら過っていた。
だからこそ、ローディスは構える。そんな男に対して、情け容赦は無用であると、彼もわかっているからだ。
「最後に聞いておこう。この俺の部下に戻るつもりはないか?」
「それに頷く俺だと思いますか?」
「思わないからこそ欲しいのだ……だが、そうだな。ならば、せめて、その名と雄姿をこの俺の心に永遠に刻んでおくとしよう」
ローディスは大きく大地を蹴って、アラーグの元に迫っていく。決着をつけるための技は決まっている。彼の最も信頼する技で、アラーグを切り裂くのだ。
アラーグは、逃げることなくローディスを待ち構えていた。その決して退くことがない姿勢も、ローディスはとても素晴らしいものだと思った。
「終わらせよう! クロス・スラッシュ!」
「うおおおおおっ!」
彼という男を失うのが惜しいと心から思いながらも、ローディスは剣を振るう。例え惜しくても、自身の前に立ちはだかる以上、彼は容赦しない。全力の斬撃が、アラーグの体に迫っていく。
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