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87.中庭に呼び出されて
お兄様方との話が終わって、私は中庭に来ていた。
そこに私は、呼び出されたのだ。呼び出したオルディアお兄様は、私の姿を見て、少しばつが悪そうな笑みを浮かべている。
「急に呼び出して、ごめんね」
「いえ、別に大丈夫です。でも、どうしたんですか?」
「クラリアと少し話がしたかったんだ。二人きりでね」
私は、周囲を見渡してみた。屋敷の廊下を使用人さん達が歩いているが、お兄様方の姿などは見えない。
私はイフェネアお姉様と、オルディアお兄様はエフェリアお姉様と部屋をともにしている。故に二人きりになるために、この中庭に呼び出されたということであるようだ。
「今回の件で、クラリアには辛い役目を担わせてしまったからね」
「辛い役目?」
「あの時、僕のことをエフェリアと呼んでくれただろう? 酷なことをさせてしまった。その責任を感じているんじゃないかと思って」
「それは……」
オルディアお兄様の言葉に、私は思わず息を呑んだ。
その指摘が、的を射ていたからだ。私は確かに、あの時エフェリアお姉様と口にしたことを後悔している。
もしもあそこで、私がオルディアお兄様と言っていたら、結果は変わっていたかもしれない。そんな思いは、ずっと抱えていた。
「言っておくけれど、クラリアが気にするようなことは何もないからね。仮にあの時、クラリアが僕のことを兄と言っても、マネリア嬢は止まらなかっただろう。彼女に物事を冷静に判断する能力があったとは、思えないからね」
「……言われてみれば、それはそうかもしれませんね」
「……まあだからといって、クラリアが気にしないなんてことは無理な話か」
オルディアお兄様の理論は、もっともだ。確かにあのマネリア嬢が私の言葉に耳を傾けたとは、あまり思えない。その判断ができる程に、マネリア嬢は冷静ではなかった気がする。
しかしこれもまたオルディアお兄様の言う通り、私の心はあまり晴れはしなかった。それとこれとは話が別だと、私は思ってしまっているのだ。
「オルディアお兄様に、何か考えがあったということもわかっています。でも、私はそれを止めることができた立場です。だけど止めなかった。そのことは私自身の責任として、受け止めるべきことだと思うんです」
「そうかい……クラリアは立派だね。その年でもう、貴族としての自覚を持っている」
「そうなのでしょうか?」
「うん。僕なんかよりも、強い子だと思う」
オルディアお兄様の表情は、少し曇っているような気がした。
私からしてみれば、オルディアお兄様の方が立派な貴族であるように思える。だけど本人は、そうではないのだろうか。どうやら色々と、思う所があるらしい。
そこに私は、呼び出されたのだ。呼び出したオルディアお兄様は、私の姿を見て、少しばつが悪そうな笑みを浮かべている。
「急に呼び出して、ごめんね」
「いえ、別に大丈夫です。でも、どうしたんですか?」
「クラリアと少し話がしたかったんだ。二人きりでね」
私は、周囲を見渡してみた。屋敷の廊下を使用人さん達が歩いているが、お兄様方の姿などは見えない。
私はイフェネアお姉様と、オルディアお兄様はエフェリアお姉様と部屋をともにしている。故に二人きりになるために、この中庭に呼び出されたということであるようだ。
「今回の件で、クラリアには辛い役目を担わせてしまったからね」
「辛い役目?」
「あの時、僕のことをエフェリアと呼んでくれただろう? 酷なことをさせてしまった。その責任を感じているんじゃないかと思って」
「それは……」
オルディアお兄様の言葉に、私は思わず息を呑んだ。
その指摘が、的を射ていたからだ。私は確かに、あの時エフェリアお姉様と口にしたことを後悔している。
もしもあそこで、私がオルディアお兄様と言っていたら、結果は変わっていたかもしれない。そんな思いは、ずっと抱えていた。
「言っておくけれど、クラリアが気にするようなことは何もないからね。仮にあの時、クラリアが僕のことを兄と言っても、マネリア嬢は止まらなかっただろう。彼女に物事を冷静に判断する能力があったとは、思えないからね」
「……言われてみれば、それはそうかもしれませんね」
「……まあだからといって、クラリアが気にしないなんてことは無理な話か」
オルディアお兄様の理論は、もっともだ。確かにあのマネリア嬢が私の言葉に耳を傾けたとは、あまり思えない。その判断ができる程に、マネリア嬢は冷静ではなかった気がする。
しかしこれもまたオルディアお兄様の言う通り、私の心はあまり晴れはしなかった。それとこれとは話が別だと、私は思ってしまっているのだ。
「オルディアお兄様に、何か考えがあったということもわかっています。でも、私はそれを止めることができた立場です。だけど止めなかった。そのことは私自身の責任として、受け止めるべきことだと思うんです」
「そうかい……クラリアは立派だね。その年でもう、貴族としての自覚を持っている」
「そうなのでしょうか?」
「うん。僕なんかよりも、強い子だと思う」
オルディアお兄様の表情は、少し曇っているような気がした。
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