地味でつまらない私は、殿下の婚約者として相応しくなかったのではありませんか?

木山楽斗

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7.頼もしい協力

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 クレイド様とは、結局休憩が挟まるまで踊っていた。
 その間お互いに言葉は交わさなかったが、楽しい時間を過ごすことができた。私は水分を補給しながら、改めて彼と話をしている。内容は、レヴァール殿下のことだ。

「それではレヴァール殿下は、浮気をしていたということですか?」
「浮気……そうですね。そういうことになるのだと思います」
「……王子殿下が、そのような勝手な真似をするなど許されることではありません。元々そこまで評価が高い方という訳でもありませんが、失望してしまいます」

 クレイド様は、ゆっくりと首を振りながら言葉を発していた。
 王族というのは、この国において最も偉大とされている一族だ。そんな一族に対しては、多かれ少なかれ期待しているものである。この国の規範となることを、私達は求めているのだ。
 だからレヴァール殿下の行動に、クレイド様も失望しているのだろう。彼は本当に、あってはならないことをしたといえる。

「オービス侯爵家は、当然王家に対して抗議しています。それに対する明確な回答などはまだ返ってきていません」
「イルセア嬢にとっては、苦しい状況ですね。あることないこと、噂が広まっています」
「そういった噂を跳ね除けるためにも、私は行動しています。こちらにやましいことなどはない訳ですから、堂々としていた方が良いと考えています」
「それはそうですね」

 王家からの回答などを待っているということも考えられたが、オービス侯爵家は先んじて行動を開始することにした。
 それは色々な噂が、飛び交っているからだ。オービス侯爵家――というよりも私が悪いのではないか、そういった噂を払拭するためには早くに行動するしかない。

「レヴァール殿下は、私のことを地味でつまらないと評価しました。そういった噂も流れることは明白だったので、お兄様の婚約者であるフェセネア様の力を借りて、このように着飾った訳です」
「ひどい言いようですね。僕はイルセア嬢は、素敵な女性だと思っていました。地味でつまらないなんて、そんなことはありません」
「あ、ありがとうございます」

 クレイド様は、レヴァール殿下の私に対する評価にかなり不服そうだった。
 そう思ってくれるのは、とても嬉しい。ただ彼がなんとも真っ直ぐに言葉をかけてきたものだから、少し照れてしまっている。

「でも結局の所、私が私であると認識されていないようなので、この策は失敗だったのかもしれません。もちろん、これから他の方とも踊ってみるつもりではありますが……」
「そういうことなら、僕も微力ながら協力しますよ。イルセア嬢に非がないことを喧伝しておきます」
「助かります、クレイド様。本当に諸々、ありがとうございます」

 クレイド様の助力は、とても頼もしいものだった。
 これで私に対する悪い噂などは、多少払拭できるだろう。完全には無理かもしれないが、それでも価値はある。
 後は王家からの正式な回答を待つだけだ。流石にそこまで、悪いものは返ってこないと思うのだが。
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