地味でつまらない私は、殿下の婚約者として相応しくなかったのではありませんか?

木山楽斗

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17.再びの舞踏会

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「一曲いかがですか?」
「お断りしますわ。生憎先客がいまして」
「そうでしたか。それは残念……」

 舞踏会の会場にて、私は周囲の人々をかき分けながら歩いていた。
 私は再び、舞踏会に参加することになったのだ。前回の舞踏会での評判があったからか、直々に招待状が届いたのである。
 という訳で今回もフェセネア様の力を借りて、それなりに着飾ってきた。だが実の所、それ程話題にはなっていない。

「ふう……少し疲れたな」
「まだ踊ってもないのに、何を言っているんだ?」
「いや、人ごみに疲れるとかあるだろう」

 それは恐らく、目新しさがなくなったからだろう。慣れてしまえば、私もそこまで特別という訳ではないのかもしれない。
 少々悲しいような気もするが、別に過度に目立とうと思っている訳でもない。これはこれで良いのだろう。そう思いながら、私は舞踏会に臨んでいた。

「そういえば聞きましたか、レヴァール殿下のこと」
「ああ、王家から追放されたそうですね」
「まあ、なんとも愚かな方だったようですし、それも当然ですね」

 周囲を見渡しながら、私はある人を探していた。
 今回の舞踏会には、クレイド様やニヴェルグ様も参加しているようなのだ。前回それなりに親しくなったため、せっかくならその二人のどちらかと踊りたいものである。
 いや舞踏会というなら、交友を広げるべきなのだろうか。私は少し迷いながらも、舞踏会の会場を歩いていた。

「……うん?」

 色々と考えながら歩いていた私は、寒気を感じて足を止めた。
 以前と違いそこまで目立たなくなったはずの私に、誰かが視線を向けている。それが少し気になって、私は改めて周囲を見渡した。

「ふふっ……」
「……あなたは」

 そこで私は、こちらに対して不敵に笑みを浮かべている女性を見つけた。
 その女性とは、メルファナ嬢である。モルディス子爵家の令嬢は、異様な雰囲気を漂わせながらこちらを見つめてきていた。

「……」
「あらあら……」

 本能的に、逃げるべきだと思った。メルファナ嬢は、明らかに正気ではない。それが私には読み取れたのだ。
 だから身を翻して、彼女から距離を取ることにした。しかし周囲の人混みが、それを許してくれない。

「逃げるなんて……逃げるなんて、どこまで卑怯なのかしら?」
「うっ……」

 気が付いた時には、メルファナ嬢に追いつかれていた。
 彼女は私の肩を方で掴み、もう片方の手を腹部付近まで近づけてくる。
 私が視線を下に向けると、そこには銀色に輝く何かがあった。それは十中八九、刃の類であるだろう。
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