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18.刃を向けられて
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「あなたは報いを受けなければならないのよ。私やレヴァール殿下の幸せを奪った報いをね……」
「む、報い……」
「大丈夫よ。すぐに楽にしてあげるわ……いいえ、あなたは苦しまないと」
メルファナ嬢は、虚ろな目をして言葉を発していた。
彼女は明らかに正気ではない。レヴァール殿下と結ばれなかったことが、彼女にとってはかなり大きなことであったようだ。
しかし彼女の矛先が私に向くなんて、迷惑極まりない話である。少なくとも二人の婚約が成立しなかったことに、私は関係がないというのに。
「あなたのことは許さない。絶対に私の手で……」
「……」
メルファナ嬢の言葉を聞きながら、私は考えていた。
周囲には多くの貴族令息令嬢がいる。助けを求めることができない訳ではない。
だが、今のメルファナ嬢を刺激しても良いものなのだろうか。それで今はまだ止まっている刃を突きさされるかもしれない。
いやそのように考えていては、結局の所刺されるだけだ。どの道危険があるというなら、まだ助かる可能性が高い方を選ぶ方がいい。
私は息を整える。叫んだ後には、逃げることも考えておかなければならない。そのためには、とにかく落ち着くことが必要だった。
「だ――」
「――さて」
「なっ……!」
「――え?」
私が意を決して叫ぼうとした瞬間、メルファナ嬢が驚いたように目を見開いた。
私が視線を下に向けると、床に赤い血が広がっている。ただ私に痛みはない。刺されたという訳ではないことはすぐに理解できた。
それから私は、自分の隣に目を向ける。するとそこには、クレイド様がいた。彼は片手でメルファナ嬢の腕を、もう片方の手は彼女が持つナイフの刃をそれぞれ握っている。
「これは、どういうことでしょうかね……」
「うぐっ……あ、あなたは」
「あなたは確か、モルディス子爵家のメルファナ嬢、でしたか。こんな所で随分と物騒な真似をする……」
「は、離しなさい!」
「お断りします」
「あ、かっ……!」
クレイド様が腕を握る力を強めたのか、メルファナ嬢はナイフから手を離した。
クレイド様は手から血を流しながらも、彼女を睨みつける。するとメルファナ嬢は、少し後退した。その気迫に、怯んだということだろう。
「わ、私はっ!」
「失礼……」
「……え?」
「申し訳ないが、あなたにこれ以上好き勝手される訳にはいかないのでね」
尚も声をあげようとしていたメルファナ嬢だったが、そんな彼女の体は後ろから拘束されることになった。彼女が後退していた先には、ニヴェルグ様がいたのだ。
周囲を見渡してみると、既に騒ぎは認知されているようだった。どうやらなんとか、助かったようだ。私はほっと溜息をつく。
しかしすぐに、クレイド様のことを思い出した。手から血を流す彼を見ながら、私は再度焦るのだった。
「む、報い……」
「大丈夫よ。すぐに楽にしてあげるわ……いいえ、あなたは苦しまないと」
メルファナ嬢は、虚ろな目をして言葉を発していた。
彼女は明らかに正気ではない。レヴァール殿下と結ばれなかったことが、彼女にとってはかなり大きなことであったようだ。
しかし彼女の矛先が私に向くなんて、迷惑極まりない話である。少なくとも二人の婚約が成立しなかったことに、私は関係がないというのに。
「あなたのことは許さない。絶対に私の手で……」
「……」
メルファナ嬢の言葉を聞きながら、私は考えていた。
周囲には多くの貴族令息令嬢がいる。助けを求めることができない訳ではない。
だが、今のメルファナ嬢を刺激しても良いものなのだろうか。それで今はまだ止まっている刃を突きさされるかもしれない。
いやそのように考えていては、結局の所刺されるだけだ。どの道危険があるというなら、まだ助かる可能性が高い方を選ぶ方がいい。
私は息を整える。叫んだ後には、逃げることも考えておかなければならない。そのためには、とにかく落ち着くことが必要だった。
「だ――」
「――さて」
「なっ……!」
「――え?」
私が意を決して叫ぼうとした瞬間、メルファナ嬢が驚いたように目を見開いた。
私が視線を下に向けると、床に赤い血が広がっている。ただ私に痛みはない。刺されたという訳ではないことはすぐに理解できた。
それから私は、自分の隣に目を向ける。するとそこには、クレイド様がいた。彼は片手でメルファナ嬢の腕を、もう片方の手は彼女が持つナイフの刃をそれぞれ握っている。
「これは、どういうことでしょうかね……」
「うぐっ……あ、あなたは」
「あなたは確か、モルディス子爵家のメルファナ嬢、でしたか。こんな所で随分と物騒な真似をする……」
「は、離しなさい!」
「お断りします」
「あ、かっ……!」
クレイド様が腕を握る力を強めたのか、メルファナ嬢はナイフから手を離した。
クレイド様は手から血を流しながらも、彼女を睨みつける。するとメルファナ嬢は、少し後退した。その気迫に、怯んだということだろう。
「わ、私はっ!」
「失礼……」
「……え?」
「申し訳ないが、あなたにこれ以上好き勝手される訳にはいかないのでね」
尚も声をあげようとしていたメルファナ嬢だったが、そんな彼女の体は後ろから拘束されることになった。彼女が後退していた先には、ニヴェルグ様がいたのだ。
周囲を見渡してみると、既に騒ぎは認知されているようだった。どうやらなんとか、助かったようだ。私はほっと溜息をつく。
しかしすぐに、クレイド様のことを思い出した。手から血を流す彼を見ながら、私は再度焦るのだった。
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