公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗

文字の大きさ
111 / 142

気にしていたこと(アルーグ視点)

しおりを挟む
 俺は、ルネリアを挟んでカーティアと庭のベンチに座っていた。
 ルネリアが花壇の整備をしていたこともあって、こうして外で話すことになったのである。

「あの……お二人の話に、私が参加してもいいんですか?」
「別に構わない」
「ええ、まったく問題ないよ」
「そ、そうですか……」

 ルネリアは、少しだけ気まずそうにしていた。それは恐らく、俺達の邪魔をするかもしれないと思っていたのだろう。
 だが、別に問題があるという訳ではない。重要な話は後にすればいいだけだ。

「ルネリアちゃん、最近はどう?」
「どう?」
「毎日楽しい?」
「は、はい。楽しいですよ」

 カーティアの突然の質問に、ルネリアは戸惑いながらも答えた。
 聡い妹ではあるが、カーティアが何故そんな質問をしたのかはわからないだろう。
 しかし、事情を知っている俺にはわかる。彼女は、ずっとルネリアのことを気にしていたのだ。

「そっか……まあ、なんとなくはわかっていたけど、それなら良かったよ」
「はい……」

 カーティアは、出会った時のルネリアのことを知っている。彼女が悲しみと不安を抱えたことを知っているのだ。
 だから、彼女はルネリアのことを気にしていた。俺にも時々、近況を聞いていたくらいである。
 そんなカーティアは、花壇を整備するルネリアを見て話しかけられずにはいられなかったのだろう。その気持ちは、理解できる。

「カーティアさんの方は、どうなんですか?」
「え?」
「アルーグお兄様と上手くいっていますか?」
「おっと……」

 そこで、ルネリアはそんな質問をカーティアにした。
 純粋な彼女のことだ。それは単純に、自分が聞かれたから聞き返しただけだろう。
 だが、それは俺達にとって少々恥ずかしい質問だ。妹にそんなことを打ち明けるのは、心情的に少々気が引ける。

「まあ、上手くいっているかな? アルーグ様、そうですよね?」
「……ああ、そうだな」
「そうなんですね……それなら、良かったです」

 俺は、カーティアの言葉にゆっくりと頷いた。
 俺達は、貴族の婚約者として上手くいっている部類だ。いや、お互いに愛し合っているという関係から考えれば、上手くいきすぎているとさえいえるだろう。

「そういえば、お二人はもうすぐ結婚されるんですよね?」
「あ、ああ。そうだな」
「おめでたいことですよね……今言うべきなのかはわかりませんが、おめでとうございます」
「ありがとう、ルネリアちゃん……」

 ルネリアは、嬉しそうに俺達の結婚を祝ってくれた。それは少し気恥ずかしいが、嬉しい言葉である。
しおりを挟む
感想 101

あなたにおすすめの小説

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます

さら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。 望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。 「契約でいい。君を妻として迎える」 そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。 けれど、彼は噂とはまるで違っていた。 政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。 「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」 契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。 陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。 これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。 指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。

【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ
恋愛
アリシアは6歳でどハマりした乙女ゲームの悪役令嬢になったことに気がついた。 楽しみながらゆるっと断罪、ゆるっと領地で引き篭もりを目標に邁進するも一家揃って病弱設定だった。  皆、寝込んでるから入学式も来れなかったんだー納得!  ゲームの裏設定に一々納得しながら進んで行くも攻略対象者が仲間になりたそうにこちらを見ている……。  聖女はあちらでしてよ!皆様!

処理中です...