甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。

木山楽斗

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2.王からの提案

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 第一王女の侍女、それが今の私の地位である。
 当然のことながら、それは重要な仕事だ。そんな仕事を任されたという事実は、誇れることであると思ってもいいだろう。

「ラフェリア・エルバラス侯爵令嬢、わしはお主の働きを評価している。イムティアもよく行っている。ラフェリアは素晴らしい侍女であると」
「お褒めていただき光栄です、国王様……」

 しかしまさか、国王様から直々にお褒めの言葉をもらえるなんて思っていなかった。
 正直、どうしてこんなことになっているのかがわからない。もちろん私は真面目に働いてきた訳ではあるが、こんな風に呼び出されて褒められるようなことはしていないはずだ。

「しかしながら、わしにとってお主がこういった場所でメイドとして働いているという現状が少々腑に落ちない。エルバラス侯爵家の長女であるお主は、婿を迎えて家を守っていくものではないのか?」
「色々と事情がありまして……家の方は、妹に任せるつもりです」

 両親や妹の関係は、親しい人にしか話していない。
 どうしようもない身内ではあるが、それでも私は特別彼らを貶めようなどとは思っていないからである。
 散々な扱いを受けてきたが、それでも私は代々続いてきたエルバラス侯爵家の一員だ。故にわざわざ家の評価を落とすようなことを口にするつもりはない。

「ふむ、そういうことか。それならば、お主はある程度融通が効く身であるという訳か」
「……ええ、そういうことになると思います」
「それなら、お主に一つ頼みたいことがある。お主のその優秀な能力を今度は王家の一員として活かしてもらえないだろうか?」
「え?」

 国王様の言葉に、私は思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
 私は、ゆっくりと息を呑む。国王様は、今なんと言ったのだろうか。その言葉の真意を、私は確かめなければならない。

「国王様、それは一体どういう意味ですか?」
「回りくどい言い方になってしまったか。それならば、直球で言わせてもらうとしよう。お主に、アラヴェドと婚約を結んでもらいたいのだ」
「私が、第一王子と?」

 国王様の説明は、私が思っていた通りのものだった。
 しかしその提案をすぐに飲み込むなんて、無理な話である。
 第一王子との婚約、それはつまり次期王妃になってもらいたいと言われているようなものだ。それを二つ返事で受け入れられるはずはない。

「驚くのも無理はないか。しかしながら、わしはお主こそがアラヴェドの妻に相応しい人物であると思っている。この国を背負う奴には、信頼できる者をあてがいたいと常々思っていたのだ。イムティアからの信頼が厚く、優秀なお主はわしの考えに合致している」
「あ、ありがたいことだとは思っています。ただ、それは私の一存で決められることではありません。父や母に相談しなければならないことですから」
「もちろん、それは承知している。既に文は送った。その返答次第ということになるな」

 突然のことに、私はかなり動揺してしまっていた。
 これから一体、どうなってしまうのか。その不安に、私は震えるのだった。
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