甘やかされて育ってきた妹に、王妃なんて務まる訳がないではありませんか。

木山楽斗

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26.知らない訪問

 王城から立ち去ろうとしていた私は、ゆっくりと足を止めることになった。
 廊下の向こう側から、見知った顔が歩いて来ていたからである。
 その人物とは、私の妹だ。メレティアが王城を訪れていたのである。

「おやおや、驚きました。まさかこんな所でお姉様と会うなんて……」
「そうかしらね? 私はきちんとどこに行くかは伝えていたはずだけれど……」
「あら、そうだったのですね? それは知りませんでした」

 妹は、すっとぼけた顔でそんなことを言ってきた。
 しかし私は、メレティアの言葉を疑っている。彼女は、本当に何も知らなかったのだろうか。
 この妹なら、敢えてここに来た可能性もある。その場合、彼女は何か悪いことを考えているかもしれない。

「私はここに友人に会いに来たのだけれど、あなたはやはり婚約者であるアラヴェド様の元に来たのかしら?」
「ええ、その通りです。私と彼は順調ですよ? お姉様と違って」

 私が少し警戒しながら質問すると、メレティアは嬉々として答えを返してきた。その煽るような言葉に、私は少し安心する。
 もしも何か思惑があるなら、メレティアは煽ってきたりしない。そういう時には、思わせぶりなことを言うだけに留めるはずだ。
 それならつまり、妹は本当に何も知らずここに来たということになる。お互いに、ここで会ったのは誤算ということのようだ。

「お姉様はこれからご帰宅ですか?」
「ええ、そのつもりだけれど?」
「そうですか。それなら、お気をつけてご帰宅を。まあ、精々実家でゆっくりとしていてください」

 それだけ言って、メレティアは私の前から去っていた。
 私は、ゆっくりとため息をつく。もしも妹に何か悟られたら面倒なことになっていた所だ。特に疑問を抱かず去ってくれてよかった。

「さてと、私はそろそろ帰ると……ん?」

 妹との話も終わったため、私は王城を後にしようとしていた。
 だが私は、足を止めることになった。大きな音が、聞こえてきたからだ。
 その音は、私の後ろの方から聞こえてくる。そちらは、メレティアが消えっていった方向だ。

「何かあったのかしら……」

 とりあえず私は、音が聞こえてきた方向に向かうことにした。
 なんとなく嫌な予感がしたからだ。もしかしたら、メレティアが何かしたのかもしれない。いや、より正確に言えば、彼女がこれから何かをしようとしているといった所だろうか。
 とにかく、メレティア関係であるならば私が対処する必要がある。これでも私は彼女の姉だ。事態を収拾する責任がある立場なのである。
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