堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。

木山楽斗

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20.降伏の証

 程なくしてやって来たアルフェンド王国の一団が、こちらに白い旗を振っているという事実に、私達は驚くことになった。
 降伏を意味する行為をしている。つまりアルフェンド王国は、この争いをやめようとしているということだろうか。
 ただ、これが罠であるという可能性は捨てきれない。故に私達は、油断せずに対応するべきだろう。

「とにかく、武装などがないかを確かめてください。あちらが無力であるということが証明できない限り、話し合いに応じることはできません」
「ええ、もちろん心得ております」

 ドナテロ王国の兵士達も、当然場数は踏んできている。ここで気を抜くような者達ではないだろう。
 ただ、私達には奇妙な空気が流れていた。アルフェンド王国の動きの意図が、あまり読めないからだ。

「まあ、兵士達がその場で判断を下したという可能性もある。関所が一瞬で突破されたのを見たという事実が、国に対する忠誠を上回ったのかもしれないね」
「現場の指揮官が、これ以上部下を傷つけたくないと判断したのならば、僕はこの降伏を受け入れますよ。無闇に争うことを、こちらは望んでいませんから」
「問題は、それでアズガルトのガキが止まるとは考えにくいということだね。降伏した者達はアルフェンド王国には戻れないだろうし、こちらの捕虜ということにするしかない」

 お祖母様の言っていることは、状況的に一番あり得そうなことだった。
 現場の判断というなら、理解できる。それ程に、お祖母様の力は圧倒的だったからだ。
 もちろん、本当に休戦の申し出であるというならありがたいが、その可能性は限りなく低そうである。

「……ご、ご報告いたします!」

 そんなことを考えていると、私達の元に一人の兵士がやって来た。
 その兵士は、焦ったような顔をしている。何か異常事態でもあったのだろうか。そう思って、私は気を引き締める。

「何かあったのですか?」
「まだ尋問の途中ではあるのですが、あちらが少々奇妙なことを言い出しまして……」
「奇妙なこと?」
「一団の中にいる子供が、アルフェンド王国の王子であると言っているのです」
「それは……」

 兵士の言葉に、私達は顔を見合わせた。
 兵士が焦っていたのが、よくわかる。それが本当なら、確かにかなり大きいことだからだ。

「指揮していた王子が自ら、こちらに来たということでしょうか?」
「いえ、それが……兄と対立しているとかで」
「兄、それはアズガルト様のことですか?」
「恐らくはそうなのではないかと、戦争を企てているのは、現国王である兄だと言っていましたが……」
「なるほど、何かしらの事情があるようですね……」

 謎の王子の言葉によって、私達はアルフェンド王国のことを少しだけ理解することができた。
 恐らく、あちらも一枚岩という訳ではないのだ。新たに就任した王によって、アルフェンド王国は大きく揺れているらしい。
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