9 / 21
9.見苦しいこと
「ロナード……あなた、私の邪魔をっ!」
「姉上、見苦しい真似はおやめください……」
リリアナ様は、私との間に入ってきたロナード様を睨みつけていた。
彼女からしてみれば、弟の行動は当然気に入らないものだろう。これには伯母様も流石に、表情を歪めている。
「見苦しい真似ですって?」
「今の姉上の行動は、そうとしか言いようがないものです。怒りに任せて、暴力を振るおうとするなど淑女にあるまじき行為です」
「知ったような口を聞くんじゃないわよ!」
「ロナード、あなたは一体誰の味方のつもりなのですか?」
普段はロナード様には弱い伯母様は鋭い目つきで、彼に質問をした。
彼女はあくまで、ロナード様をあくまでも自分達側だと考えているのだろう。自分達を諫めることはあっても、真に敵対することはない。伯母様の心情は、そんな所だろう。
「……母上、僕は正しくありたいと思っています。姉上や母上のルシェーラに対する態度は、僕にとって正しいものではありません」
「正しさですって? そんなものが何になるのよ! ロナード、あなたは何もわかっていないわ。こんな女に、レヴィトン子爵家をいい様にされるかもしれないのよ? それをあなたは、黙ってみているというの?」
「全ては身から出た錆ではありませんか。姉上は母上とともに、いつもルシェーラを抑えつけていた。立場が上だからと思い込んで。それがそのまま返ってくるだけのことです」
ロナード様の言葉に、リリアナ様は激昂していた。
伯母様と違い、弟を疎んでいた節があったリリアナ様にとって、ロナード様の発言は聞き捨てならないものだったのだろう。彼女はすっかり、眉間に皺を寄せている。
「ふっ、ふふっ……」
「姉上?」
「……格好つけているんじゃないわよ! あなたは自分の方が立場が上だなどと思っているのかもしれないけれど、そんなことはないのよ」
「……リリアナ?」
リリアナ様は、そこで伯母様の方に視線を向けた。
それは私達にとって、予想外のことである。この場面において、彼女が味方に視線を向けるなんて、思ってもいない行動だ。
彼女の表情は、凡そ味方に向けるものではない。私やロナード様に向けるような表情を、リリアナ様はしていた。
「お母様、私は知っているんですよ。お母様の秘密を……」
「な、なんですって?」
「ロナードは、お父様の子ではないのでしょう?」
「なっ……!」
リリアナ様の一言に、周囲の空気が一気に凍り付いた。
使用人も含めて、その場にいる誰もが固まったのだ。彼女が口にしたその事実は、それ程に重大なものだった。
「姉上、見苦しい真似はおやめください……」
リリアナ様は、私との間に入ってきたロナード様を睨みつけていた。
彼女からしてみれば、弟の行動は当然気に入らないものだろう。これには伯母様も流石に、表情を歪めている。
「見苦しい真似ですって?」
「今の姉上の行動は、そうとしか言いようがないものです。怒りに任せて、暴力を振るおうとするなど淑女にあるまじき行為です」
「知ったような口を聞くんじゃないわよ!」
「ロナード、あなたは一体誰の味方のつもりなのですか?」
普段はロナード様には弱い伯母様は鋭い目つきで、彼に質問をした。
彼女はあくまで、ロナード様をあくまでも自分達側だと考えているのだろう。自分達を諫めることはあっても、真に敵対することはない。伯母様の心情は、そんな所だろう。
「……母上、僕は正しくありたいと思っています。姉上や母上のルシェーラに対する態度は、僕にとって正しいものではありません」
「正しさですって? そんなものが何になるのよ! ロナード、あなたは何もわかっていないわ。こんな女に、レヴィトン子爵家をいい様にされるかもしれないのよ? それをあなたは、黙ってみているというの?」
「全ては身から出た錆ではありませんか。姉上は母上とともに、いつもルシェーラを抑えつけていた。立場が上だからと思い込んで。それがそのまま返ってくるだけのことです」
ロナード様の言葉に、リリアナ様は激昂していた。
伯母様と違い、弟を疎んでいた節があったリリアナ様にとって、ロナード様の発言は聞き捨てならないものだったのだろう。彼女はすっかり、眉間に皺を寄せている。
「ふっ、ふふっ……」
「姉上?」
「……格好つけているんじゃないわよ! あなたは自分の方が立場が上だなどと思っているのかもしれないけれど、そんなことはないのよ」
「……リリアナ?」
リリアナ様は、そこで伯母様の方に視線を向けた。
それは私達にとって、予想外のことである。この場面において、彼女が味方に視線を向けるなんて、思ってもいない行動だ。
彼女の表情は、凡そ味方に向けるものではない。私やロナード様に向けるような表情を、リリアナ様はしていた。
「お母様、私は知っているんですよ。お母様の秘密を……」
「な、なんですって?」
「ロナードは、お父様の子ではないのでしょう?」
「なっ……!」
リリアナ様の一言に、周囲の空気が一気に凍り付いた。
使用人も含めて、その場にいる誰もが固まったのだ。彼女が口にしたその事実は、それ程に重大なものだった。
あなたにおすすめの小説
無表情な奴と結婚したくない?大丈夫ですよ、貴方の前だけですから
榎夜
恋愛
「スカーレット!貴様のような感情のない女となんて結婚できるか!婚約破棄だ!」
......そう言われましても、貴方が私をこうしたのでしょう?
まぁ、別に構いませんわ。
これからは好きにしてもいいですよね。
初恋の人と再会したら、妹の取り巻きになっていました
山科ひさき
恋愛
物心ついた頃から美しい双子の妹の陰に隠れ、実の両親にすら愛されることのなかったエミリー。彼女は妹のみの誕生日会を開いている最中の家から抜け出し、その先で出会った少年に恋をする。
だが再会した彼は美しい妹の言葉を信じ、エミリーを「妹を執拗にいじめる最低な姉」だと思い込んでいた。
なろうにも投稿しています。
(完結)妹の為に薬草を採りに行ったら、婚約者を奪われていましたーーでも、そんな男で本当にいいの?
青空一夏
恋愛
妹を溺愛する薬師である姉は、病弱な妹の為によく効くという薬草を遠方まで探す旅に出た。だが半年後に戻ってくると、自分の婚約者が妹と・・・・・・
心優しい姉と、心が醜い妹のお話し。妹が大好きな天然系ポジティブ姉。コメディ。もう一回言います。コメディです。
※ご注意
これは一切史実に基づいていない異世界のお話しです。現代的言葉遣いや、食べ物や商品、機器など、唐突に現れる可能性もありますのでご了承くださいませ。ファンタジー要素多め。コメディ。
この異世界では薬師は貴族令嬢がなるものではない、という設定です。
公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に
ゆっこ
恋愛
王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。
私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。
「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」
唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。
婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。
「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」
ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。
病弱を装って婚約者を呼びつけた従姉妹は、3回目で完全に見抜かれて切り捨てられました
柊
恋愛
伯爵令息レオネル・グランフェルには、病弱な従姉妹がいる。
ある日、その従姉妹が「会いたい」と病気を理由に呼び出してきた。
しかしそれは一度では終わらなかった。
婚約者カリーナ・ヴェルローズとの逢瀬の日を狙ったかのように、二度、三度と繰り返される“体調不良”。
さすがに不審に思ったレオネルは、ついに見舞いへ向かうが――
※複数のサイトに投稿しています。
え〜婚約者さん厳しい〜(笑)私ならそんなこと言わないのになぁ
ばぅ
恋愛
「え〜婚約者さん、厳しい〜。私ならそんなこと言わないのになぁ」
小言の多い私を笑い、マウントを取ってくる幼馴染令嬢。私が言葉に詰まっていると、豪快で声のデカい婚約者が笑い飛ばした。
「そうだな、だからお前は未だに婚約相手が決まらないんだろうな!」
悪気ゼロ(?)の大声正論パンチで、幼馴染をバッサリ撃退!
私の「厳しさ」を誰よりも愛する太陽の騎士様との、スカッと痛快ラブコメディ。
(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。
青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。
アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。
年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。
「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」
そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。
ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。
異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。