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15.元婚約者からの呼び出し
エムリーとの話し合いが終わった後日、私はロダルト様に呼び出されていた。
彼の方にも、当然エムリーの事実は知らされているだろう。その上で、彼とその家であるラプトルト子爵家がどう判断したのかは、未だ不明である。
「イルリア……そちらは?」
「マグナード・ビルドリム公爵令息です。私のクラスメイトで、今回の件に立ち会ってもらうことにしました」
「立ち会う必要など、あるのだろうか。これは君と僕との話し合いだろう」
エムリーと違って、ロダルト様はマグナード様のことを指摘してきた。
当然といえば当然ではあるが、彼は妹と比べて冷静であるらしい。まず、自分が不利になるであろう予想を潰そうとしている。
「ロダルト子爵令息、ご安心ください。僕は基本的には中立の立場ですから」
「中立、ですか?」
「ええ、お二人が冷静に話し合えるようにこの場にいるとお考えください」
「そのようなものは必要ないと、思いますが……」
「必要ないというなら、別に僕がこの場にいても構わないでしょう?」
マグナード様の言葉に、ロダルト様は何も言えなくなっていた。
正論を述べられたことによって、黙るしかなかったということだろう。
とはいえ、ロダルト様の気持ちもわかる。彼からすれば、中立といっても、マグナード様は明らかにこちら側としか思えないからだ。
「あなたは、イルリア側の人間であると思いますが……」
「そもそもの話、複雑な事情を抱える男女が二人きりで話をするという状況は良くないでしょう。これはあなたがそうだと言っている訳ではありませんが、暴力に訴えられでもしたら、女性は一たまりもありませんからね。そういう意味において、イルリア嬢の側に誰がつく方がフェアであると言えませんか?」
「それは……」
ロダルト様は、私が思っていた通りの指摘をした。
しかしそれに対して、マグナード様はすらすらと弁解を述べた。それにまた、マグナード様は言葉を詰まらせている。
ロダルト様も、一応は紳士だ。女性を慮るマグナード様の理論には、反論し辛いということだろうか。
「もしもあなたが色々と気になるというなら、誓約書を作っても構いませんよ?」
「いえ、それこそ必要がないことです。わかりました。ここにいていただいて結構です」
結局ロダルト様は、マグナード様の同席を認めた。
これに関しては、マグナード様が一枚も二枚も上手だったということだろうか。やはり、流石は公爵令息である。一筋縄ではいかないようだ。
彼を敵に回すべきではないだろう。そう思って私は、苦笑いを浮かべるのだった。
彼の方にも、当然エムリーの事実は知らされているだろう。その上で、彼とその家であるラプトルト子爵家がどう判断したのかは、未だ不明である。
「イルリア……そちらは?」
「マグナード・ビルドリム公爵令息です。私のクラスメイトで、今回の件に立ち会ってもらうことにしました」
「立ち会う必要など、あるのだろうか。これは君と僕との話し合いだろう」
エムリーと違って、ロダルト様はマグナード様のことを指摘してきた。
当然といえば当然ではあるが、彼は妹と比べて冷静であるらしい。まず、自分が不利になるであろう予想を潰そうとしている。
「ロダルト子爵令息、ご安心ください。僕は基本的には中立の立場ですから」
「中立、ですか?」
「ええ、お二人が冷静に話し合えるようにこの場にいるとお考えください」
「そのようなものは必要ないと、思いますが……」
「必要ないというなら、別に僕がこの場にいても構わないでしょう?」
マグナード様の言葉に、ロダルト様は何も言えなくなっていた。
正論を述べられたことによって、黙るしかなかったということだろう。
とはいえ、ロダルト様の気持ちもわかる。彼からすれば、中立といっても、マグナード様は明らかにこちら側としか思えないからだ。
「あなたは、イルリア側の人間であると思いますが……」
「そもそもの話、複雑な事情を抱える男女が二人きりで話をするという状況は良くないでしょう。これはあなたがそうだと言っている訳ではありませんが、暴力に訴えられでもしたら、女性は一たまりもありませんからね。そういう意味において、イルリア嬢の側に誰がつく方がフェアであると言えませんか?」
「それは……」
ロダルト様は、私が思っていた通りの指摘をした。
しかしそれに対して、マグナード様はすらすらと弁解を述べた。それにまた、マグナード様は言葉を詰まらせている。
ロダルト様も、一応は紳士だ。女性を慮るマグナード様の理論には、反論し辛いということだろうか。
「もしもあなたが色々と気になるというなら、誓約書を作っても構いませんよ?」
「いえ、それこそ必要がないことです。わかりました。ここにいていただいて結構です」
結局ロダルト様は、マグナード様の同席を認めた。
これに関しては、マグナード様が一枚も二枚も上手だったということだろうか。やはり、流石は公爵令息である。一筋縄ではいかないようだ。
彼を敵に回すべきではないだろう。そう思って私は、苦笑いを浮かべるのだった。
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