不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

木山楽斗

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17.失望したこと

「大体、不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄するなんて、どういうことなんですか? 私のことは可哀想だとは思っていただけなかったのでしょうか?」
「そ、それは……」

 私は、ロダルト様を責める言葉を口にしていた。
 元々、彼のややこしい行いがことの発端だ。一体あの時の彼は、何を思っていたのだろうか。それは正直、今でもまったくわからない。

「ぼ、僕は紳士としてエムリー嬢のことを救おうと……」
「その結果、私を貶めることを許容して、ですか?」
「それは成り行きだ。仕方ないことだろう」
「仕方ないなんて言葉で、済まさないでください。あの時私が、どれだけ焦ったことか……」

 ロダルト様への文句は、一度口にし始めると止まらなかった。
 私の中には、私が思っていた以上にロダルト様への反発があったらしい。
 しかしこれに関しては、仕方ないことだ。私は本当に、彼に振り回されたのだから。

「それに私は、あなたの今の言動も気に入りません。あなたが、エムリーへの愛を貫く気概でもあったなら、少しは見直せましたが……」
「な、何?」
「結局の所、あなたはルヴィード子爵家を手に入れることに固執している。あなたは優しさでエムリーに手を差し伸べた訳ではない。それについても、失望しています」

 ロダルト様のことを、私は純粋で優しい人であると思っていた。
 乱心しているとしか思えなかったエムリーへの救いも、その優しさによるものだったとしたら、まだ彼に対する尊敬の念が少しは残っていただろう。
 だが、ロダルト様はこうして私に取り入っている。それはなんとも醜い人間の欲望が、隠されているような気がした。

「い、言わせておけば……それを言うなら、僕も君には言いたいことがある」
「……なんですか?」

 そこでロダルト様は、私に対して怒ったような表情を向けてきた。
 やはり今までの態度は、演技だったという訳だろうか。もしかしたらやっと、彼の本音を聞くことができるのかもしれない。

「君が僕を裏切っていたことを、僕が知らないとでも思っていたのか?」
「裏切った? なんのことです?」
「そこにいる男のことだ。君はそいつと浮気していたのだろう」
「……何を言っているんですか?」

 ロダルト様の主張は、訳がわからないものだった。
 彼の指差した先には、マグナード様がいる。しかし当然、私は彼と浮気してなどいない。
 ロダルト様が何か勘違いしているということだろうか。ただ、どうして勘違いしているのかがわからない。私は少し混乱するのだった。
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