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40.一日の疲れ
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私とメルティナは、廊下を歩いていた。
色々とあったが、とりあえず黒幕を探すための手筈は整った。これで、後は実際に行動に移すだけだ。
「ふう……」
「メルティナ、大丈夫?」
「あ、ええ、大丈夫です……」
そこで、私は横にいるメルティナの様子に気づいた。彼女は、かなり疲れているようだ。
そういえば、彼女は今日、キャロムと試合をして、レフェイラの取り巻き達と言い争って、レフェイラを追いかけてと色々なことがあった。その疲労は、かなりのものだろう。
これは、早く部屋に戻った方がいいのではないだろうか。ゆっくりと休まないと倒れてしまいそうである。
「アルフィアさん、メルティナさん」
「え?」
私が色々と考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。これは、バルクド様の声だ。
「バルクド様、それにリオーブ様も……」
「お二人とも、ご無事ですか?」
「バルクド、そんなに大きな声を出すんじゃない。二人とも、疲れているはずだ」
「あ、すみません……」
振り返ると、そこにはバルクド様とリオーブがいた。どうやら、二人とも授業が終わったようである。
私達は、事情を聞くために午後の授業には参加しなくていいことになった。だが、直接かかわっていない人達は、普通に授業を受けていたのである。
一応、バルクド様は私達に付き添おうとしていた。しかし、私達が断ったのだ。別に、大丈夫だと。
王族や貴族といった立場にある彼らは、体裁のためにも授業を休む訳にはいかない。そういった事情もあって、バルクド様には授業を受けてもらっていたのである。
「バルクド様、リオーブ様、私達は大丈夫です。ただ、メルティナは少し疲れているみたいで……」
「え? あ、あの、アルフィア様……」
「隠しても無駄よ、メルティナ。あなた、今日はキャロムとの試合から本当に色々とあったじゃない。疲れていないはずがないわ」
「そ、それは……」
私の言葉に、メルティナは少し怯んだ。それは、私の指摘が図星だったからだろう。
とりあえず、彼女には部屋で休んでもらいたい。もう授業も終わったのだし、帰ってもらった方がいいだろう。
「私は、学園でまだ少しやりたいことがあるので、お二人で寮の方まで送っていただけませんか?」
「それは、構いませんけど……アルフィアさんは、どうされるのですか?」
「えっと……実は、調べ物がしたくて。どうしても、今日じゃないといけないんです」
「調べ物か……ということは、図書室か?」
「あ、はい」
「それなら、丁度いい。俺も、そこには用があった。バルクド、俺がアルフィアについているから、お前はメルティナを送ってやれ」
私の言葉に、リオーブはそう言ってきた。どうやら、彼も図書室に用があるらしい。
別に、私に付き添いは必要ない。だが、きっとバルクド様はそれでは納得しないだろう。
だが、これなら丁度いい。きっと、彼も納得してくれるはずだ。
「リオーブが、アルフィアさんと? いや、それなら、僕がそっちに行った方が……」
「お前は、俺に一旦寮まで送って行って、また戻って来いというのか?」
「いや、しかし……」
「別に、何もしやしないさ。少しは親友を信頼したらどうだ」
「……そうだな。確かに、その通りだ」
リオーブの言葉もあって、バルクド様は納得してくれたようである。これで、特に問題はないだろう。
そう思った私は、ふとメルティナの笑みが引きつっていることに気づいた。そこで、私は思い出す。そういえば、メルティナは時が巻き戻る前にバルクド様と結ばれていたのだと。
そんな彼女にとっては、この提案は心穏やかなものではないかもしれない。もしかして、この提案は失敗だっただろうか。
しかし、今から意見を変えることもできない。これが一番丸く収まるのだし、メルティナには少し申し訳ないが、我慢してもらおう。
色々とあったが、とりあえず黒幕を探すための手筈は整った。これで、後は実際に行動に移すだけだ。
「ふう……」
「メルティナ、大丈夫?」
「あ、ええ、大丈夫です……」
そこで、私は横にいるメルティナの様子に気づいた。彼女は、かなり疲れているようだ。
そういえば、彼女は今日、キャロムと試合をして、レフェイラの取り巻き達と言い争って、レフェイラを追いかけてと色々なことがあった。その疲労は、かなりのものだろう。
これは、早く部屋に戻った方がいいのではないだろうか。ゆっくりと休まないと倒れてしまいそうである。
「アルフィアさん、メルティナさん」
「え?」
私が色々と考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。これは、バルクド様の声だ。
「バルクド様、それにリオーブ様も……」
「お二人とも、ご無事ですか?」
「バルクド、そんなに大きな声を出すんじゃない。二人とも、疲れているはずだ」
「あ、すみません……」
振り返ると、そこにはバルクド様とリオーブがいた。どうやら、二人とも授業が終わったようである。
私達は、事情を聞くために午後の授業には参加しなくていいことになった。だが、直接かかわっていない人達は、普通に授業を受けていたのである。
一応、バルクド様は私達に付き添おうとしていた。しかし、私達が断ったのだ。別に、大丈夫だと。
王族や貴族といった立場にある彼らは、体裁のためにも授業を休む訳にはいかない。そういった事情もあって、バルクド様には授業を受けてもらっていたのである。
「バルクド様、リオーブ様、私達は大丈夫です。ただ、メルティナは少し疲れているみたいで……」
「え? あ、あの、アルフィア様……」
「隠しても無駄よ、メルティナ。あなた、今日はキャロムとの試合から本当に色々とあったじゃない。疲れていないはずがないわ」
「そ、それは……」
私の言葉に、メルティナは少し怯んだ。それは、私の指摘が図星だったからだろう。
とりあえず、彼女には部屋で休んでもらいたい。もう授業も終わったのだし、帰ってもらった方がいいだろう。
「私は、学園でまだ少しやりたいことがあるので、お二人で寮の方まで送っていただけませんか?」
「それは、構いませんけど……アルフィアさんは、どうされるのですか?」
「えっと……実は、調べ物がしたくて。どうしても、今日じゃないといけないんです」
「調べ物か……ということは、図書室か?」
「あ、はい」
「それなら、丁度いい。俺も、そこには用があった。バルクド、俺がアルフィアについているから、お前はメルティナを送ってやれ」
私の言葉に、リオーブはそう言ってきた。どうやら、彼も図書室に用があるらしい。
別に、私に付き添いは必要ない。だが、きっとバルクド様はそれでは納得しないだろう。
だが、これなら丁度いい。きっと、彼も納得してくれるはずだ。
「リオーブが、アルフィアさんと? いや、それなら、僕がそっちに行った方が……」
「お前は、俺に一旦寮まで送って行って、また戻って来いというのか?」
「いや、しかし……」
「別に、何もしやしないさ。少しは親友を信頼したらどうだ」
「……そうだな。確かに、その通りだ」
リオーブの言葉もあって、バルクド様は納得してくれたようである。これで、特に問題はないだろう。
そう思った私は、ふとメルティナの笑みが引きつっていることに気づいた。そこで、私は思い出す。そういえば、メルティナは時が巻き戻る前にバルクド様と結ばれていたのだと。
そんな彼女にとっては、この提案は心穏やかなものではないかもしれない。もしかして、この提案は失敗だっただろうか。
しかし、今から意見を変えることもできない。これが一番丸く収まるのだし、メルティナには少し申し訳ないが、我慢してもらおう。
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