派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

木山楽斗

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51.黒幕の正体

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「さて、それでは私の質問に答えてもらいましょうか」
「うくっ……」
「単刀直入に聞きましょう。あなたはファルーシャ様ではありませんね?」
「……ふっ」

 メルティナの質問に、ファルーシャは口の端を歪めた。それは、その指摘が図星であるからだろう。

「その正体を……言い当ててあげましょうか? 魂に関する魔法を極めており、その魂の行方がわかっていない者……あなたは、暗黒の魔女シャザームですね? ファルーシャ様の体にシャザームの魂が入り込んだ。そういうことなのでしょう?」
「……まさか、そこまでわかっているとは驚きだねえ」
「……やはり、あなたは」
「ああ、そうだよ。私はシャザーム……偉大なる天才さ」

 ファルーシャは、いやシャザームは、メルティナの指摘を肯定した。
 やはり、彼女は暗黒の魔女だったのだ。魂奪取魔法を開発した張本人は、魂だけとなってこの現代に生きていたのである。

「見事だよ、この私の正体まで掴むとは……」
「……あなたは、多くの者を操り、私を始末するために動いていた。そういうことですね?」
「ああ、そうだよ。この女を操り、そこから他の者達を扇動してきた。ここまで隠れれば、正体はばれないと思っていたんだけどね……素直に賞賛するよ。ただ……」
「……メルティナ!」
「詰めが甘い! 私が、何も対策していないとでも思っているの?」
「え?」

 驚いていた私は、メルティナの後ろから何者かが迫っていることに気がついた。
 その人物に、私は見覚えがある。あれは、レフェイラだ。魂を抜かれたはずのレフェイラである。

「そ、そんな……!」
「冥土の土産に教えておいてあげるよ! 魂分割魔法の存在をね!」
「まさか、自らの魂を分割して、レフェイラ様の中に……」
「終わりだよ!」

 どうやら、シャザームは自らの魂を複数に分けることができるようだ。そうすることで、ファルーシャとレフェイラの双方の体に潜んでいた。それが、今レフェイラがメルティナを襲おうとしている理由のようである。
 私は、咄嗟にメルティナを庇うように前に出た。私程度の魔力ではどうにもならないかもしれないが、ファルーシャの体を押さえつけているメルティナは何もできないのだから、なんとかするしかない。

「え?」
「なっ……!」

 しかし、レフェイラの体は静止した。私達に何かする前に、その場で固まり、動かなくなったのである。
 私は、思わずメルティナの方を見た。すると、彼女も驚いたような表情をしている。彼女が何かしたのかと思ったが、そういう訳でもないようだ。

「ば、馬鹿な……どうして?」
「俺がお前の体を止めたのだ」
「あ、あなたは……」

 レフェイラの体が驚くように声を出した直後、体育館の中に一人の男性が入ってきた。
 それは、ディゾール様だ。どうやら、彼がレフェイラの体を停止させたようである。
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