派手好きで高慢な悪役令嬢に転生しましたが、バッドエンドは嫌なので地味に謙虚に生きていきたい。

木山楽斗

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65.魔女の研究

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「……これが、アルフィア様の魂です。悲しいことですが、彼女の魂はシャザームの実験によってバラバラにされてしまいました」
「そう、みたいね……」

 ファルーシャの言葉に、私はゆっくりと頷いた。
 アルフィアの魂の状態は、悲惨だ。ガラスケースの中に浮かぶ無数の光の塊が、彼女の欠片だと思うと、なんだか苦しくなってくる。

「アルフィア……」

 私は、ケースに手を触れながらそう呟いた。
 この体は、アルフィアの体だ。本来ならば、彼女のこの魂が、この肉体に宿っていなければならない。

「お前が近づいても、特に反応はないようだな……」
「反応?」
「その魂が入っていた体が近づいて、何らかの反応を示す可能性はあった。だが、そういう訳ではないようだな……」
「あっ……」

 ディゾール様の言葉で、私は迂闊なことをしたことを悟った。
 確かに、この体をこの魂に近づけると、何か起こる可能性はあった。何も起こらなかったが、それは考慮しておくべきことだっただろう。
 アルフィアの魂を見て、私は少し動揺してしまっているようだ。もっと冷静に状況を考える必要がある。

「どの道、必要だったことだ。お前が特に気にすることはない……魂に関する魔法を使える者がいない以上、これ以上その魂のことを考えるのは得策ではないだろう。俺達は、あのシャザームの研究について、調べていくべきだ」
「はい、そうですね……」

 私は、ディゾール様の言葉にゆっくりと頷いた。
 私達が、今アルフィアの魂をどうにかできる訳ではない。彼の言う通り、私達にできることをするべきだ。
 という訳で、私は周囲を見てみる。まず調べるべきは、色々と資料がありそうな本棚だろうか。

「えっと……」

 とりあえず、私は本棚の中から一冊のノートを取り出した。それは、シャザーム自身が記したもののように思える。

「ファルーシャ、シャザームは色々と記録を取っていたの?」
「あ、はい……色々と記録していたと思います。結構、そういう所はマメな性格だったのかもしれませんね……」
「なるほどね……」

 私は、シャザームが記したノートを捲ってみた。すると、そこには彼女の実験に関する記録のようなものが記されている。

「魂を分割する方法……アルフィアの魂を分割すると、反応を示さなくなった。魂を結合すると元に戻った」
「……それは、重要な記述だな」
「え、ええ、そうみたいですね……」

 読んでみて私は驚いた。それは、今私達が欲しい情報そのものだったからだ。
 シャザームは、アルフィアの魂を分割した。しかし、それを結合することで元に戻すことができたのだ。
 ということは、このアルフィアの魂を元に戻す方法はあるということである。これは、私達にとっては吉報だ。

「そのノートには、それ以上のことは書いていないのか?」
「ええっと……そうですね、なんというか、このノートは実験の記録のようです」
「そうか……その魔法に関する詳しい記述があるノートを探すべきか……」
「ええ、そうですね……」

 私は、ノートを閉じて新しいノートを取り出した。私達が探すべきなのは、魂を結合する魔法だ。
 それが記されているノートや文献があることを願って、私はノートを調べていく。
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