5 / 16
5.二人への追及
しおりを挟む
私はイルヴァン様とともに、タルナート伯爵家の屋敷に来ていた。
目の前には、ダルギス様がいる。ペルルナ嬢も一緒だ。彼女はダルギス様の隣に座り、こちらに鋭い視線を向けている。
その視線は、こちらとしては不服なものだ。なぜなら彼女もダルギス様も、私に対して大きな不義理を働いているのだから。
「ダルギス様、それからペルルナ嬢、お二人には言いたいことがいくつかあります」
「言いたいこと? それは何かな? 急に押しかけてきて……それにイルヴァン侯爵令息を引き連れてくるなんて、どういうことか僕の方が聞きたいのだけれどね」
ダルギス様は、イルヴァン様の方に視線を向けていた。
彼の存在が気になる。それ自体は理解できる。本来であるならば、侯爵家の令息が私に同行していて、ここを訪ねて来るなんてあり得ないことだろうから。
「イルヴァン様は、私の義理の姉のいとこにあたる人です。お義姉様からのお願いで、今回の件で協力してもらいました」
「協力?」
「ダルギス伯爵令息、それからペルルナ嬢、お二人の関係性について僕は調べるようにいとこのネリー嬢から頼まれました。ちょっとした身辺調査といった所ですかね」
「身辺調査……」
ダルギス様は、イルヴァン様の言葉に苦い顔をした。
それはつまり、やましいことがあるというような表情だ。いや、それは私が事実を知っている故にそう思うのだろうか。少しばかり穿った見方だったかもしれない。
「何事もなければ、僕はレネシア嬢と接触もしなかったでしょう。しかし実際の所、お二人の関係には問題があった」
「問題?」
「兄と妹……そんな関係だとお二人は仰っているとか?」
「そうだとも。ペルルナは妹だ。それ以上でもそれ以下でもない」
少し語気を荒げながら、ダルギス様は返答した。
それにイルヴァン様は、首をゆっくりと横に振る。彼が掴んだ事実、それはダルギス様の主張を一瞬で覆せる程のものだ。
「それなら、ペルルナ嬢に宿った命をどう説明するのです?」
「……何?」
そこでダルギス様は、目を丸めて固まった。
その反応に、私は少しだけ驚く。ダルギス様の反応は、明らかに初めて話を聞くといった感じだったからだ。
ただペルルナ嬢の方は、まったく持って動揺していない。当然のことながら、実の本人である彼女がその事実を知らない訳もない。
「ダルギス様、妹のようなものだから浮気じゃないと言っておいて、彼女との間に子供ができているのはどういう了見でしょうか?」
「う、くっ……」
私が言葉をかけると、ダルギス様はその表情を歪めた。
その反応で私は確信することになった。ダルギス様とペルルナ嬢の関係は、決して兄妹というようなものではないということを。
目の前には、ダルギス様がいる。ペルルナ嬢も一緒だ。彼女はダルギス様の隣に座り、こちらに鋭い視線を向けている。
その視線は、こちらとしては不服なものだ。なぜなら彼女もダルギス様も、私に対して大きな不義理を働いているのだから。
「ダルギス様、それからペルルナ嬢、お二人には言いたいことがいくつかあります」
「言いたいこと? それは何かな? 急に押しかけてきて……それにイルヴァン侯爵令息を引き連れてくるなんて、どういうことか僕の方が聞きたいのだけれどね」
ダルギス様は、イルヴァン様の方に視線を向けていた。
彼の存在が気になる。それ自体は理解できる。本来であるならば、侯爵家の令息が私に同行していて、ここを訪ねて来るなんてあり得ないことだろうから。
「イルヴァン様は、私の義理の姉のいとこにあたる人です。お義姉様からのお願いで、今回の件で協力してもらいました」
「協力?」
「ダルギス伯爵令息、それからペルルナ嬢、お二人の関係性について僕は調べるようにいとこのネリー嬢から頼まれました。ちょっとした身辺調査といった所ですかね」
「身辺調査……」
ダルギス様は、イルヴァン様の言葉に苦い顔をした。
それはつまり、やましいことがあるというような表情だ。いや、それは私が事実を知っている故にそう思うのだろうか。少しばかり穿った見方だったかもしれない。
「何事もなければ、僕はレネシア嬢と接触もしなかったでしょう。しかし実際の所、お二人の関係には問題があった」
「問題?」
「兄と妹……そんな関係だとお二人は仰っているとか?」
「そうだとも。ペルルナは妹だ。それ以上でもそれ以下でもない」
少し語気を荒げながら、ダルギス様は返答した。
それにイルヴァン様は、首をゆっくりと横に振る。彼が掴んだ事実、それはダルギス様の主張を一瞬で覆せる程のものだ。
「それなら、ペルルナ嬢に宿った命をどう説明するのです?」
「……何?」
そこでダルギス様は、目を丸めて固まった。
その反応に、私は少しだけ驚く。ダルギス様の反応は、明らかに初めて話を聞くといった感じだったからだ。
ただペルルナ嬢の方は、まったく持って動揺していない。当然のことながら、実の本人である彼女がその事実を知らない訳もない。
「ダルギス様、妹のようなものだから浮気じゃないと言っておいて、彼女との間に子供ができているのはどういう了見でしょうか?」
「う、くっ……」
私が言葉をかけると、ダルギス様はその表情を歪めた。
その反応で私は確信することになった。ダルギス様とペルルナ嬢の関係は、決して兄妹というようなものではないということを。
340
あなたにおすすめの小説
今まで尽してきた私に、妾になれと言うんですか…?
水垣するめ
恋愛
主人公伯爵家のメアリー・キングスレーは公爵家長男のロビン・ウィンターと婚約していた。
メアリーは幼い頃から公爵のロビンと釣り合うように厳しい教育を受けていた。
そして学園に通い始めてからもロビンのために、生徒会の仕事を請け負い、尽していた。
しかしある日突然、ロビンは平民の女性を連れてきて「彼女を正妻にする!」と宣言した。
そしえメアリーには「お前は妾にする」と言ってきて…。
メアリーはロビンに失望し、婚約破棄をする。
婚約破棄は面子に関わるとロビンは引き留めようとしたが、メアリーは婚約破棄を押し通す。
そしてその後、ロビンのメアリーに対する仕打ちを知った王子や、周囲の貴族はロビンを責め始める…。
※小説家になろうでも掲載しています。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
婚約を破棄したいと言うのなら、私は愛することをやめます
天宮有
恋愛
婚約者のザオードは「婚約を破棄したい」と言うと、私マリーがどんなことでもすると考えている。
家族も命令に従えとしか言わないから、私は愛することをやめて自由に生きることにした。
妹さんが婚約者の私より大切なのですね
はまみ
恋愛
私の婚約者、オリオン子爵令息様は、
妹のフローラ様をとても大切にされているの。
家族と仲の良いオリオン様は、きっととてもお優しいのだわ。
でも彼は、妹君のことばかり…
この頃、ずっとお会いできていないの。
☆お気に入りやエール、♥など、ありがとうございます!励みになります!
「本当の自分になりたい」って婚約破棄しましたよね?今さら婚約し直すと思っているんですか?
水垣するめ
恋愛
「本当の自分を見て欲しい」と言って、ジョン王子はシャロンとの婚約を解消した。
王族としての務めを果たさずにそんなことを言い放ったジョン王子にシャロンは失望し、婚約解消を受け入れる。
しかし、ジョン王子はすぐに後悔することになる。
王妃教育を受けてきたシャロンは非の打ち所がない完璧な人物だったのだ。
ジョン王子はすぐに後悔して「婚約し直してくれ!」と頼むが、当然シャロンは受け入れるはずがなく……。
妹を選んで婚約破棄した婚約者は、平民になる現実を理解していなかったようです
藤原遊
恋愛
跡継ぎとして育てられた私には、将来を約束された婚約者がいた。
――けれど彼は、私ではなく「妹」を選んだ。
妹は父の愛人の子。
身分も立場も分かったうえでの選択だと思っていたのに、
彼はどうやら、何も理解していなかったらしい。
婚約を破棄し、妹と結ばれた彼は、
当然のように貴族の立場を失い、平民として生きることになる。
一方で、妹は覚悟を決めて現実に向き合っていく。
だが彼だけが、最後まで「元に戻れる」と信じ続けていた。
これは、誰かが罰した物語ではない。
ただ、選んだ道の先にあった現実の話。
覚悟のなかった婚約者が、
自分の選択と向き合うまでを描いた、静かなざまぁ物語。
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる