妹のようなものだから浮気じゃないと言っておいて、彼女との間に子供ができているのはどういう了見でしょうか?

木山楽斗

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5.二人への追及

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 私はイルヴァン様とともに、タルナート伯爵家の屋敷に来ていた。
 目の前には、ダルギス様がいる。ペルルナ嬢も一緒だ。彼女はダルギス様の隣に座り、こちらに鋭い視線を向けている。
 その視線は、こちらとしては不服なものだ。なぜなら彼女もダルギス様も、私に対して大きな不義理を働いているのだから。

「ダルギス様、それからペルルナ嬢、お二人には言いたいことがいくつかあります」
「言いたいこと? それは何かな? 急に押しかけてきて……それにイルヴァン侯爵令息を引き連れてくるなんて、どういうことか僕の方が聞きたいのだけれどね」

 ダルギス様は、イルヴァン様の方に視線を向けていた。
 彼の存在が気になる。それ自体は理解できる。本来であるならば、侯爵家の令息が私に同行していて、ここを訪ねて来るなんてあり得ないことだろうから。

「イルヴァン様は、私の義理の姉のいとこにあたる人です。お義姉様からのお願いで、今回の件で協力してもらいました」
「協力?」
「ダルギス伯爵令息、それからペルルナ嬢、お二人の関係性について僕は調べるようにいとこのネリー嬢から頼まれました。ちょっとした身辺調査といった所ですかね」
「身辺調査……」

 ダルギス様は、イルヴァン様の言葉に苦い顔をした。
 それはつまり、やましいことがあるというような表情だ。いや、それは私が事実を知っている故にそう思うのだろうか。少しばかり穿った見方だったかもしれない。

「何事もなければ、僕はレネシア嬢と接触もしなかったでしょう。しかし実際の所、お二人の関係には問題があった」
「問題?」
「兄と妹……そんな関係だとお二人は仰っているとか?」
「そうだとも。ペルルナは妹だ。それ以上でもそれ以下でもない」

 少し語気を荒げながら、ダルギス様は返答した。
 それにイルヴァン様は、首をゆっくりと横に振る。彼が掴んだ事実、それはダルギス様の主張を一瞬で覆せる程のものだ。

「それなら、ペルルナ嬢に宿った命をどう説明するのです?」
「……何?」

 そこでダルギス様は、目を丸めて固まった。
 その反応に、私は少しだけ驚く。ダルギス様の反応は、明らかに初めて話を聞くといった感じだったからだ。
 ただペルルナ嬢の方は、まったく持って動揺していない。当然のことながら、実の本人である彼女がその事実を知らない訳もない。

「ダルギス様、妹のようなものだから浮気じゃないと言っておいて、彼女との間に子供ができているのはどういう了見でしょうか?」
「う、くっ……」

 私が言葉をかけると、ダルギス様はその表情を歪めた。
 その反応で私は確信することになった。ダルギス様とペルルナ嬢の関係は、決して兄妹というようなものではないということを。
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