継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。

木山楽斗

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67.帰って来た者達

 私は、クーリアの姿を見て驚いていた。
 なぜなら、彼女の姿はいつもよりはっきりとしているからだ。
 精霊の姿の二人は、少し半透明な感じがあった。だが、今の彼女の姿は、はっきりとしているのだ。

「ク、クーリア? その姿は一体?」
「アーティア、手を貸してもらえますか?」
「手? うん?」
「……」
「あっ……」

 私が手を差し出すと、クーリアはそれをゆっくりと握ってきた。
 手を握る。それは、こちらの世界への干渉だ。それは、精霊の姿ではできないことであるはずだ。

「も、もしかして……」
「ええ、実は実体を得たのです。兄弟のウェリッジが、私の体を作ってくれたようで……」
「そ、そうなんだ……それは、おめでとう」
「ありがとうございます」

 体を作る。それがどういうことなのか。
 そんな疑問はあったが、私は祝福の言葉を彼女にかけることにした。事情はよくわからないが、体が戻ったのなら、それはいいことだと思ったからだ。

「恐らく、ラフードも私と同じように体を得ているはずです。きっと、彼らはラムフェグを倒して戻ってきますよ」
「ラフードも……そっか、二人が揃っていれば、きっと大丈夫だね」
「ええ、彼らのコンビネーションは私も知っています。例え、罠などがあったとしても、手負いのラムフェグくらいはなんとかなるでしょう。それに、今回はウェリッジも協力してくれそうな雰囲気でしたし……」
「二人の兄弟だよね? 魔族側についていたという……」
「ああ、彼のことをまだ説明していませんでしたね……おや」
「え?」

 そこで、私とクーリアは大きな音を耳にした。
 それは恐らく、屋敷の玄関の扉が開く音だろう。私達は、顔を見合わせながら、ゆっくりと頷く。

「アーティア、行きましょう。彼らが戻って来たようです」
「うん、そうみたいだね」

 私達は、少し速足で玄関に向かう。
 なんだか、フレイグ様の顔が無性に見たかった。それは、きっと私の中に不安があったからだろう。
 彼が帰って来ない。そんな考えが、私の中にはずっとあった。それが杞憂であって欲しい。そう何度思ったことだろうか。

「……あっ」

 そして、玄関まで来た私は、彼の顔を目にした。フレイグ様とラフードが、帰って来ていたのだ。
 それを見て、私は安堵に包まれる。私の心配は、杞憂だったのだ。それを理解して、私はゆっくりと笑う。
 そんな私を見て、フレイグ様も笑ってくれた。もしかしたら、彼も安堵してくれているのだろうか。

「……お帰りなさい、フレイグ様」
「……ああ、ただいま」

 私達は、短くそんなやり取りを交わした。
 こうして、フレイグ様は無事に帰って来てくれたのである。
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