妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗

文字の大きさ
11 / 28

11.過大な評価

しおりを挟む
「リオーラ嬢にとって、あなたをいたぶるのは虚勢のようなものだったのかもしれません」
「虚勢、ですか?」

 私は再び、クロード殿下とともに屋敷の廊下を歩いていた。
 そこで彼は、リオーラについて述べ始めた。先程対峙したことによって、妹について何かわかったことがあるらしい。

「彼女はラナシア嬢のことを恐れていたのです」
「恐れる? 彼女が私のことを?」

 クロード殿下の言葉に、私は少し驚くことになった。
 リオーラが、私のことを恐れている。そのようなことが、あり得るのだろうか。
 彼女は私のことを、いい様に扱っていた。侮っていることはあっても、恐れるべきことなどないと思うのだが。

「あなたは強い人ですからね」
「強い……そうでしょうか?」
「今回の件において、僕はそれを見せてもらいました。リオーラ嬢は感じ取っていたのでしょうね。あなたには敵わないということを……」
「リオーラが、そんなことを……?」

 なんだかクロード殿下は、私のことを過大評価しているような気がする。
 その評価からリオーラの態度を推測しているため、私はそれを上手く飲み込めない。
 恐れているから、威嚇していたということはわからなくはないが、それがリオーラに適用されるものなのだろうか。

「同時にリオーラ嬢は、ラナシア嬢の強さに憧れていたのでしょう。畏敬の念を抱いていた、というのが正しいかもしれませんね」
「畏敬の念……」
「あなたに無理をさせることで、彼女は歪んだ自尊心を満たしていたのです。それはなんとも哀れなものだ」

 クロード殿下は、ゆっくりと首を横に振った。
 両親に対しては怒っていた彼であったが、リオーラに対してはどちらかというと同情しているようだ。私からしてみれば、むしろ逆に思えるのだが。
 しかし憐れみというものは、時に侮辱よりも心に突き刺さるものだ。彼の言葉でリオーラが茫然としていたのは、もしかしたらその同情が伝わったからだったのかもしれない。

「……所でラナシア嬢、これからどこに行くつもりですか?」
「え?」
「レゼリオン伯爵家から出て行って、どこかに行く宛てはあるのでしょうか?」
「えっと、それは今の所まだ決まっていませんが……」
「そういうことなら、僕と一緒に来てくださいませんか?」
「クロード殿下と?」

 クロード殿下の言葉に、私は少し面食らっていた。
 彼と一緒に行くということは、王城に行くということだろうか。口振りからして、それは働き口を与えてくれると言っているようにも、取れるような気がする。
 それはありがたいような、恐れ多いような微妙な提案だ。ただ私には、行く宛てがあるという訳でもない。それならこのありがたい提案に、乗るべきなのではないだろうか。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

特殊能力を持つ妹に婚約者を取られた姉、義兄になるはずだった第一王子と新たに婚約する

下菊みこと
恋愛
妹のために尽くしてきた姉、妹の裏切りで幸せになる。 ナタリアはルリアに婚約者を取られる。しかしそのおかげで力を遺憾なく発揮できるようになる。周りはルリアから手のひらを返してナタリアを歓迎するようになる。 小説家になろう様でも投稿しています。

突然倒れた婚約者から、私が毒を盛ったと濡衣を着せられました

恋愛
パーティーの場でロイドが突如倒れ、メリッサに毒を盛られたと告げた。 メリッサにとっては冤罪でしかないが、周囲は倒れたロイドの言い分を認めてしまった。

頭の中が少々お花畑の子爵令嬢が朝から茶番を始めたようです

恋愛
ある日、伯爵令嬢のグレイスは頭の中が少しだけお花畑の子爵令嬢の茶番に付き合わされることになる。 グレイスを糾弾しているはずが、巻き込まれて過去を掘り返されていくクラスメイトたち……。 そこへグレイスの婚約者のリカルド殿下がきて……? ※10,000文字以下の短編です

[完結]妹の信者達に殺されかけてましたが、逃がしたつもりだった義弟がやたらかっこよくなって帰ってきました。

雨宮ユウリ
恋愛
 貴族の娘であるソフィーと血の繋がらない弟ウィルは、妹であるメアリーの嘘によって酷い扱いを受けていた。両親はメアリーばかり愛し、メアリーの信奉者というべき貴族の少年たちには嫌味を言われたり、怪我をさせられる地獄。特に、弟であるウィルへの物理的な攻撃が悪化していく中、ウィルだけは守ろうとしたソフィーはウィルを海外留学へ送り、地獄から遠ざけようとする。  そして、五年後。十六歳になったソフィーは強制的に結婚することが決まる。命の危険も増していく中、かつて逃がしたと思った義弟、ウィルがやたらかっこよくなって帰ってきて……。

妹の婚約者自慢がウザいので、私の婚約者を紹介したいと思います~妹はただ私から大切な人を奪っただけ~

マルローネ
恋愛
侯爵令嬢のアメリア・リンバークは妹のカリファに婚約者のラニッツ・ポドールイ公爵を奪われた。 だが、アメリアはその後に第一王子殿下のゼラスト・ファーブセンと婚約することになる。 しかし、その事実を知らなかったカリファはアメリアに対して、ラニッツを自慢するようになり──。

〖完結〗妹は病弱を理由に私のものを全て欲しがります。

藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢のアイシャは、第一王子のリアムと婚約をしていた。 妹のローレンは幼い頃から病弱で、両親はそんな妹ばかりを可愛がり、ローレンの欲しがるものはなんでも与えていた。それは、アイシャのものでも例外はなかった。 「アイシャは健康でなんでも出来るのだから、ローレンが欲しがるものはあげなさい。」 そう言われ、ローレンが欲しがるものはなんでも奪われて来た。そして、ローレンはアイシャの婚約者であるリアム王子をも欲しがった。 「お願い、お姉様。リアム王子が好きなの。だから、私にちょうだい。」 ローレンが欲しがる事は分かっていた、そして両親も、 「ローレンは身体が弱いのだから、婚約者を譲りなさい。」 と、いつもどおりの反応。 ローレンは病弱でも何でもありません。演技が上手いだけです。 設定ゆるゆるの架空の世界のお話です。 全6話で完結になります。

魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完

瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。 夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。 *五話でさくっと読めます。

虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を

柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。 みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。 虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。

処理中です...