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11.過大な評価
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「リオーラ嬢にとって、あなたをいたぶるのは虚勢のようなものだったのかもしれません」
「虚勢、ですか?」
私は再び、クロード殿下とともに屋敷の廊下を歩いていた。
そこで彼は、リオーラについて述べ始めた。先程対峙したことによって、妹について何かわかったことがあるらしい。
「彼女はラナシア嬢のことを恐れていたのです」
「恐れる? 彼女が私のことを?」
クロード殿下の言葉に、私は少し驚くことになった。
リオーラが、私のことを恐れている。そのようなことが、あり得るのだろうか。
彼女は私のことを、いい様に扱っていた。侮っていることはあっても、恐れるべきことなどないと思うのだが。
「あなたは強い人ですからね」
「強い……そうでしょうか?」
「今回の件において、僕はそれを見せてもらいました。リオーラ嬢は感じ取っていたのでしょうね。あなたには敵わないということを……」
「リオーラが、そんなことを……?」
なんだかクロード殿下は、私のことを過大評価しているような気がする。
その評価からリオーラの態度を推測しているため、私はそれを上手く飲み込めない。
恐れているから、威嚇していたということはわからなくはないが、それがリオーラに適用されるものなのだろうか。
「同時にリオーラ嬢は、ラナシア嬢の強さに憧れていたのでしょう。畏敬の念を抱いていた、というのが正しいかもしれませんね」
「畏敬の念……」
「あなたに無理をさせることで、彼女は歪んだ自尊心を満たしていたのです。それはなんとも哀れなものだ」
クロード殿下は、ゆっくりと首を横に振った。
両親に対しては怒っていた彼であったが、リオーラに対してはどちらかというと同情しているようだ。私からしてみれば、むしろ逆に思えるのだが。
しかし憐れみというものは、時に侮辱よりも心に突き刺さるものだ。彼の言葉でリオーラが茫然としていたのは、もしかしたらその同情が伝わったからだったのかもしれない。
「……所でラナシア嬢、これからどこに行くつもりですか?」
「え?」
「レゼリオン伯爵家から出て行って、どこかに行く宛てはあるのでしょうか?」
「えっと、それは今の所まだ決まっていませんが……」
「そういうことなら、僕と一緒に来てくださいませんか?」
「クロード殿下と?」
クロード殿下の言葉に、私は少し面食らっていた。
彼と一緒に行くということは、王城に行くということだろうか。口振りからして、それは働き口を与えてくれると言っているようにも、取れるような気がする。
それはありがたいような、恐れ多いような微妙な提案だ。ただ私には、行く宛てがあるという訳でもない。それならこのありがたい提案に、乗るべきなのではないだろうか。
「虚勢、ですか?」
私は再び、クロード殿下とともに屋敷の廊下を歩いていた。
そこで彼は、リオーラについて述べ始めた。先程対峙したことによって、妹について何かわかったことがあるらしい。
「彼女はラナシア嬢のことを恐れていたのです」
「恐れる? 彼女が私のことを?」
クロード殿下の言葉に、私は少し驚くことになった。
リオーラが、私のことを恐れている。そのようなことが、あり得るのだろうか。
彼女は私のことを、いい様に扱っていた。侮っていることはあっても、恐れるべきことなどないと思うのだが。
「あなたは強い人ですからね」
「強い……そうでしょうか?」
「今回の件において、僕はそれを見せてもらいました。リオーラ嬢は感じ取っていたのでしょうね。あなたには敵わないということを……」
「リオーラが、そんなことを……?」
なんだかクロード殿下は、私のことを過大評価しているような気がする。
その評価からリオーラの態度を推測しているため、私はそれを上手く飲み込めない。
恐れているから、威嚇していたということはわからなくはないが、それがリオーラに適用されるものなのだろうか。
「同時にリオーラ嬢は、ラナシア嬢の強さに憧れていたのでしょう。畏敬の念を抱いていた、というのが正しいかもしれませんね」
「畏敬の念……」
「あなたに無理をさせることで、彼女は歪んだ自尊心を満たしていたのです。それはなんとも哀れなものだ」
クロード殿下は、ゆっくりと首を横に振った。
両親に対しては怒っていた彼であったが、リオーラに対してはどちらかというと同情しているようだ。私からしてみれば、むしろ逆に思えるのだが。
しかし憐れみというものは、時に侮辱よりも心に突き刺さるものだ。彼の言葉でリオーラが茫然としていたのは、もしかしたらその同情が伝わったからだったのかもしれない。
「……所でラナシア嬢、これからどこに行くつもりですか?」
「え?」
「レゼリオン伯爵家から出て行って、どこかに行く宛てはあるのでしょうか?」
「えっと、それは今の所まだ決まっていませんが……」
「そういうことなら、僕と一緒に来てくださいませんか?」
「クロード殿下と?」
クロード殿下の言葉に、私は少し面食らっていた。
彼と一緒に行くということは、王城に行くということだろうか。口振りからして、それは働き口を与えてくれると言っているようにも、取れるような気がする。
それはありがたいような、恐れ多いような微妙な提案だ。ただ私には、行く宛てがあるという訳でもない。それならこのありがたい提案に、乗るべきなのではないだろうか。
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