妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗

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16.暗に伝えて

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「……私の忠告が、耳に入っていなかったようですね?」
「セレーラ様が、わざわざ忠告したというのに、あなたはなんて愚かなのかしら?」
「悔い改められないのならどうなるか、わかっていなかったのかしら?」

 私がクロード殿下の元に戻ると、早速セレーラ嬢と取り巻き達が現れた。
 彼女達が現れることは、予想していたことである。クロード殿下の所に行ったのだから、これはもう仕方ないことだ。

「……セレーラ嬢、あなたの自由にさせるつもりはありません」
「……なんですって?」

 私が声をあげると、セレーラ嬢が目を丸めた。
 取り巻きの二人も、驚いた顔をしている。どうやら彼女達も、セレーラ嬢と事情は同じようだ。
 そういうことなら、私も幾分かやりやすい。この三人は、色々と伝えておかなければならないことがあるから。

「あなた方がしていることを見過ごすわけにはいかないと言っているのです」
「なっ、あなた何様のつもりで……」
「今まであなた達は、横暴に振る舞っていたようですが……それもここまでです。私がクロード殿下と繋がっていることは、ご存知でしょう? 私は殿下に働きかけることもできます」
「そ、それは……」

 セレーラ嬢は、私の言葉に目を丸めていた。
 彼女も当然、意図は理解できていることだろう。微妙な顔をしている。
 取り巻きの二人も、目が泳いでいた。これで私が言わんとしていることは、伝わっただろうか。

「それは本気で言っているのかしら?」
「ええ、もちろんです」」

 セレーラ嬢は、その目を細めていた。
 彼女も色々と考えているのだろう。私がクロード殿下に話した場合、自分がどうなるかなどということを。

「……その気概は認めてあげましょう」
「セレーラ様?」
「こ、この者を許すというのですか?」
「そんなことは言っていないわ。ただ今までの骨のない者に比べると、面白味があると思っただけのことよ」

 セレーラ嬢は笑いながらも、冷や汗を流していた。
 彼女は裏で自分を操っている人物のことを、かなり恐れているようだ。
 しかしそれでも、覚悟は決まったらしい。セレーラ嬢は、こちらにそう目で訴えてきていた。

「今日の所は、見逃してあげましょう。こちらも色々と準備があるわ。あなたはその間に荷物でもまとめておくことね。猶予は……三日間とでもしておきましょうか」
「……」

 セレーラ嬢は、暗に三日間は時間を稼ぐということを伝えてきた。
 その間に事態を解決して欲しいということだろう。それだけあれば充分だとは思うが、中々に怖い所である。
 何はともあれ、セレーラ嬢にとりあえず事情を伝えられたのは幸いだ。これで後は、クロード殿下の成果を待つだけだ。
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