妹のために犠牲になることを姉だから仕方ないで片付けないでください。

木山楽斗

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21.慣れてきて

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 ソーナ嬢の一件から、王城において特に問題は起こっていない。
 それは喜ばしいことだといえる。やはり平和が一番だ。
 最近は、クロード殿下も私の様子を見に来ていない。一応私も慣れてきたため、放っておいても問題はないと判断されたということだろう。

「掃除って楽しいなぁ……」

 ここに来たばかりの時はどうなるかと思っていたが、使用人の仕事というものは案外楽しいものだった。
 もちろん大変なことはあるけれど、少なくともレゼリオン伯爵家にいた頃よりも心は随分と軽い。私は家族によって、随分と疲弊させられていたということだろう。

「……ラナシア嬢?」
「え?」

 鼻歌交じりに掃除をしていた私は、後ろから声をかけられた身を震わせた。
 メイド長にでも、見つかってしまったのだろうか。彼女は例え客人が入ってこないような所でも、こんな風に掃除することを許さない人だ。大目玉を食らうことになるかもしれない。

「随分とご機嫌ですね……」
「……クロード殿下?」

 声のした方向を見てみると、そこにはクロード殿下がいた。どうやら私は、あまり焦っていたため、声の主が男性であることにさえ気付いていなかったようだ。
 しかし彼に見つかるのも、それはそれで気まずいものである。せっかく多大な信頼をされているというのに、なんとも気の抜けた姿を見せてしまった。

「お、お久し振りですね……」
「ええ、この所、少々忙しかったので、ラナシア嬢の元にも行けませんでした」
「それは仕方ないことですよ、クロード殿下はこの国の第二王子なのですから……しかしとなると、今日はお暇だったのですか?」
「いいえ、そうではありません。少し厄介なことが起こっているのです……レゼリオン伯爵家に関して」
「……レゼリオン伯爵家に関して?」

 クロード殿下の言葉に、私の気は一気に引き締まることになった。
 レゼリオン伯爵家に関して問題が起こっている。それは私にとって、当然他人事ではない。
 用件によっては、私も動かなければならなくなることだ。私は背筋をしっかりと伸ばしてから、クロード殿下と向き合う。

「一体何があったのでしょうか?」
「その話は馬車の中でします。ラナシア嬢、準備をしてください。レゼリオン伯爵家に向かいます。メイド長の方には話を通してありますからご安心を」
「……わかりました。すぐに支度します」

 クロード殿下の言葉に、私はすぐに行動を開始した。
 何が起こったのかは気になったが、彼がこう言っているのだから私は準備をするだけだ。話は後で聞こう。とにかく今は、急ぐ必要があるのだろうから。
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