私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗

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30.良い機会

「部下から報告がありました。どうやら当たりのようです」
「本当ですか?」
「ええ、ボルキアとドステロ、それからその取り巻き達が不審な動きをしているようです。女性を連れていたという証言もあります」

 レオールさんは、すぐに部下を動かしてくれた。
 彼の部下達も優秀なのか、すぐに情報を掴むことができたようだ。辺りでも評判な危険人物達ということもあって、前々からある程度は見張っていたのだろうか。
 何はともあれ、その二人が現在何かしらの悪事を働いていることは間違いないようだ。それがメアリーのことなのかはわからないが、可能性は決して低くないように思える。

「あの者達には、騎士団も手を焼いていました。これは我々にとっても、良い機会だといえるかもしれません」
「あの二人とその取り巻きは、もちろん野放しにしておいて良い者達ではないと思います。しかし、大丈夫なのでしょうか? ボルキアの家などから、また横やりが入れられるのではないか、私としては心配なのですが……」
「その点については、問題ありません。騎士団も色々と準備していましたからね。実の所、奴の父親の商会にも色々と黒い点があるようなのです。この際ですから、騎士団としてはまとめて片をつけるつもりです」

 レオールさんは、とても怖い顔をしていた。
 騎士として、のさばる悪を許すことができないということだろう。それがその表情からは、とても鮮明に伝わってきた。

 騎士団がそのように準備を進めていたということは、私にとっては朗報といえることだった。これでメアリーを助けられ、あの二人を牢屋の中に入れられる。それは市民達の安全にも繋がる重要なことだった。

「とはいえ、アンデルト伯爵家が関与しているとなると、事態は少々厄介ですね。今のアンデルト伯爵家は脆い状態ですから、必要以上の圧力をかけてくることはないと思いますが……」
「イフェルーナについて目を瞑るなら、アンデルト伯爵夫人は得に気にしたりはしないでしょう。彼女にとって、あの二人は取るに足らない存在でしょうから」
「そう言っていただけると、こちらとしても安心できます」

 伯爵家の令息であるイフェルーナについては、捕まえることなどは難しいだろう。
 それは今回、諦めるしかないことである。悔しいことだが、私達としてもアンデルト伯爵家と敵対するのは避けたい所だ。この辺りは割り切っていく方が良い。

 私の記憶が確かであるならば、アンデルト伯爵夫人もあの二人とイフェルーナの付き合いは快く思っていなかったはずである。
 故にイフェルーナさえ無罪放免なら、介入などはないだろう。彼女からしてみても、娘に近づくゴロツキなんてものは、牢屋に入れておいた方が都合が良い存在であるはずだ。
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