王家の血を引く私との婚約破棄を今更後悔しても遅いですよ。

木山楽斗

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13.起こりうる混乱

「ベルガール伯爵の判断も、仕方ないことだといえるでしょう。元々財政的に厳しかった上に、子息が王家の血を引くラナーシア嬢との婚約破棄をした。その事実は情勢をさらに厳しくするものです。今の状況で、ベルガール伯爵家は支援を得ることは難しいでしょう」
「……そうですね」

 王城の廊下にて、私とスヴェルツ様はベルガール伯爵家について考えを述べていた。
 ベルガール伯爵は、爵位を返上することを選んだ。それは貴族としての終わりを意味するものである。貴族において、まず避けたい判断だろう。
 だがベルガール伯爵は決断した。それには大きな意味があるといえるだろう。

「これからベルガール伯爵家の領地は、どうなるのでしょうか?」
「王家の協力の元で、周辺の貴族に分譲という形になるのではないでしょうか……それは簡単なことではありません。貴族同士で揉めることになるはずです」
「混乱が起こるのでしょうね……」
「ええ、だからこそ国王陛下はベルガール伯爵家を存続させたかったのでしょう」

 分譲ということになると、ベルガール伯爵家の領地に暮らす人々は混乱することだろう。周辺の領地だってそうである。大きな変化が起こると、それに伴って問題も発生するものだ。
 国王様はそれを危惧していた。回りくどい方法で支援しようとしていたというアルドバルド殿下の考えは、間違っていないような気がする。

「貴族同士の小競り合いが起こることも考えられますね……」
「ベルガール伯爵家の領地は豊ではないはずです。それでも貴族達は領地を求めるものなのでしょうか?」
「逆に押し付けるということもあるのかもしれません。その辺りに関しては、私もよくわかっていません。何も起こらないという可能性もあるのかもしれませんが……」

 私もスヴェルツ様も、こういった例に直面するのは初めてだった。少なくとも私達が生まれてから、爵位の返上は起こっていなかったのだ。
 知識としてかつてそういったことがあったことは知っている。その時はかなり揉めたそうだが、今回もそうなるものなのだろうか。

「ラナーシア嬢」
「スヴェルツ様? どうかされましたか? ……あれは」

 スヴェルツ様が足を止めたことに、私は少し驚いた。
 だがその理由は、すぐにわかった。彼の視線が向いている方を見てみると、そこには一人の男性がいたのだ。
 その男性のことは、よく知っている。彼はハウガス様――私の元婚約者だ。
 彼はゆっくりと、こちらに歩いてきている。その視線は、こちらを向いている。どうやら目的は、私であるようだ。
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