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5.訪ねて来たのは
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お父様の指示の下で行われた調査によって、私が婚約破棄したという噂はバルクルが流したものだとわかった。
彼は恐らく、私が婚約を考え直すと言ったことに腹を立てて、そのような噂を流すことにしたのだろう。
それ自体は、まだ理解できなくなくはない。問題は領地で問題が起こっている中で、それを放り出して出掛けたことである。それは彼の愚行としか言いようがない。
「……まさか、あなたが訪ねて来るなんて思っていませんでした」
「そうですか?」
マートン子爵家がどうするべきか思案している中で、ある人物が屋敷を訪ねてきた。
それは先日知り合ったラウエル様である。彼とはそれなりに仲良くなったつもりではあるが、まさか屋敷を訪ねてくるなんて驚きだ。
「僕としては、この訪問は当然のものだと認識しています。先日僕は、マルティア嬢と友人になったつもりです。そんなあなたの窮地に駆けつけるのは当たり前のことでしょう?」
「私の窮地……つまりラウエル様は、噂についてご存知なのですか?」
「はい。家に戻って驚きました。マルティア嬢が婚約破棄なんて……そのような身勝手なことをあなたがするとは思えません。それは何者かが流した悪い噂だと解釈しています」
「……発端は私の婚約者であるフェルディス伯爵家の令息バルクルです。私は彼と揉めて、婚約を考え直そうとしていました。それに対して彼は、私が婚約破棄をしたと友人達に零したようです。礼の問題が起こっている中で、です」
私はラウエル様に対して、端的に事情を説明した。
それを彼は、特に表情を変えることなく聞いている。誰がことの発端であるか、それは概ね理解していたということだろう。
「なるほど、バルクル伯爵令息ですか……彼はなんとも、マルティア嬢に対してひどいことをするものですね」
「高慢な人ですから……バルクルとは幼少期の頃からの付き合いですが、いつからか彼はそうなりました。以前は良好な関係でしたが、今の彼は私のことも嫌っています」
「お二人はそういったご関係でしたか……人の変化とは、なんとも残酷なものですね」
昔のバルクルは、今のような高慢な人間ではなかった。私に対しても思いやりを見せてくれていたし、紳士的だったといえる。
それがいつからか、変わってしまった。何かしらの心境の変化があったのか、他者のことを見下すようになってしまったのだ。
「話に関しては、よくわかりました。マートン子爵家は、当然その風評に関して覆したいと考えていますよね」
「ええ、それはそうですが……」
「僕が力をお貸しします。ラスタール公爵家の力があれば、噂など覆すことができます」
「ありがたいことではありますが、良いのですか?」
「貴族の中でも高位にある公爵家の一員として、この問題には取り組む価値があると考えています。バルクル伯爵令息が虚偽の申告をするというなら、大義もありますからね」
ラウエル様は、私に対して笑顔を見せてきた。
彼の助力は、当然のことながらとてもありがたい。ラスタール公爵家がこちらについてくれるなら、戦況は一気に逆転する。マートン子爵家に対する風評を覆せるのだ。それはなんとも、嬉しいことである。
彼は恐らく、私が婚約を考え直すと言ったことに腹を立てて、そのような噂を流すことにしたのだろう。
それ自体は、まだ理解できなくなくはない。問題は領地で問題が起こっている中で、それを放り出して出掛けたことである。それは彼の愚行としか言いようがない。
「……まさか、あなたが訪ねて来るなんて思っていませんでした」
「そうですか?」
マートン子爵家がどうするべきか思案している中で、ある人物が屋敷を訪ねてきた。
それは先日知り合ったラウエル様である。彼とはそれなりに仲良くなったつもりではあるが、まさか屋敷を訪ねてくるなんて驚きだ。
「僕としては、この訪問は当然のものだと認識しています。先日僕は、マルティア嬢と友人になったつもりです。そんなあなたの窮地に駆けつけるのは当たり前のことでしょう?」
「私の窮地……つまりラウエル様は、噂についてご存知なのですか?」
「はい。家に戻って驚きました。マルティア嬢が婚約破棄なんて……そのような身勝手なことをあなたがするとは思えません。それは何者かが流した悪い噂だと解釈しています」
「……発端は私の婚約者であるフェルディス伯爵家の令息バルクルです。私は彼と揉めて、婚約を考え直そうとしていました。それに対して彼は、私が婚約破棄をしたと友人達に零したようです。礼の問題が起こっている中で、です」
私はラウエル様に対して、端的に事情を説明した。
それを彼は、特に表情を変えることなく聞いている。誰がことの発端であるか、それは概ね理解していたということだろう。
「なるほど、バルクル伯爵令息ですか……彼はなんとも、マルティア嬢に対してひどいことをするものですね」
「高慢な人ですから……バルクルとは幼少期の頃からの付き合いですが、いつからか彼はそうなりました。以前は良好な関係でしたが、今の彼は私のことも嫌っています」
「お二人はそういったご関係でしたか……人の変化とは、なんとも残酷なものですね」
昔のバルクルは、今のような高慢な人間ではなかった。私に対しても思いやりを見せてくれていたし、紳士的だったといえる。
それがいつからか、変わってしまった。何かしらの心境の変化があったのか、他者のことを見下すようになってしまったのだ。
「話に関しては、よくわかりました。マートン子爵家は、当然その風評に関して覆したいと考えていますよね」
「ええ、それはそうですが……」
「僕が力をお貸しします。ラスタール公爵家の力があれば、噂など覆すことができます」
「ありがたいことではありますが、良いのですか?」
「貴族の中でも高位にある公爵家の一員として、この問題には取り組む価値があると考えています。バルクル伯爵令息が虚偽の申告をするというなら、大義もありますからね」
ラウエル様は、私に対して笑顔を見せてきた。
彼の助力は、当然のことながらとてもありがたい。ラスタール公爵家がこちらについてくれるなら、戦況は一気に逆転する。マートン子爵家に対する風評を覆せるのだ。それはなんとも、嬉しいことである。
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