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私の存在を知っている人は、この屋敷の外にどれ程いるのだろうか。時々、そんなことを考えることがある。
アルフェンド伯爵家の妾腹の子として生まれた私は、ずっとこの屋敷に閉じ込められてきた。伯爵家の恥として、誰にも見つからないように飼殺されているのだ。
とはいえ、それで全てを隠し通せるという訳ではなかったようである。伯爵家には、秘密にしなければならない末妹がいるらしい。そのくらいの情報は外部にも漏れていると、耳にしたことがある。
「でも、私がここにいることは誰も知らない。エノフィア・アルフェンド、その名前を一体どれ程の人が知っているの?」
この屋敷において、私は忌むべき存在だ。私の母とされている人も、腹違いの兄弟達も、私のことをいない者として扱う。彼が私を認識するのは、私を批判する時だけだ。
使用人達も、それは同じである。私という存在は、アルフェンド伯爵家にとって禁忌ともいえる存在なのだ。
「このまま私は、ここで一生を終えるの? こんな狭い場所で、誰にも知られないまま朽ち果てていくの?」
いくら自問自答しても、答えは出てこなかった。
私の未来は、私にすらわからない。これからどうなるか、それらは全てアルフェンド伯爵家が決めることなのだ。
「エノフィア、いるか?」
「え?」
いつも通り答えが出ない問いかけを続ける私の耳に、人の声が聞こえてきた。
私が誰かに話しかけられる。それはとても珍しいことだ。
この声は、誰の声だっただろうか。それがすぐには思い出せない程、久し振りの体験だ。
「私だ。お前の父だ」
「お父様……?」
「入るぞ?」
「はい……」
どうやら、私を訪ねて来たのはお父様だったらしい。
返事も待たず、彼は部屋に入って来る。その表情は、いつも通り暗い。
「……久し振りだな」
「ええ、そうですね」
お父様は、この屋敷の中で最も私に寄っている人物であるといえる。
当然のことながら、彼にとって私は血の繋がった娘だ。その繋がりがある以上、彼は私にそこまで冷たくなれないのだろう。
だが、それでも彼は私に救いの手を差し伸べたりはしない。今の彼はお母様、つまりは自分の妻に従っているだけの存在だ。
浮気がばれたことによって、彼の立場はかなりなくなってしまっているらしい。今は実質的にお母様が、アルフェンド伯爵家を率いているのだ。
「お前に言わなければならないことがある」
「はい、なんでしょうか?」
「アルフェンド伯爵家は、これ以上お前をここに置いておくつもりはない」
「……それは、どういうことでしょうか?」
お父様の言葉に、私は様々な疑問を覚えた。
今までの経験上、私が伯爵家の一員として受け入れられるということはあり得ない。つまり、この言葉はこの部屋から出られるというだけの言葉ではないだろう。
「言葉通りの意味だ。お前には、この屋敷から出て行ってもらう」
「……何故?」
「理由をお前に話す必要はない」
私がこのアルフェンド伯爵家から追い出される。それは、なんとなく察していたことだ。
だが、そうする理由が思いつかない。私の存在を秘匿したいアルフェンド伯爵家が、私をわざわざ追い出すというのはどうも変である。
そこから考えられることとは、なんだろうか。私は、久し振りに頭を回転させる。
アルフェンド伯爵家の妾腹の子として生まれた私は、ずっとこの屋敷に閉じ込められてきた。伯爵家の恥として、誰にも見つからないように飼殺されているのだ。
とはいえ、それで全てを隠し通せるという訳ではなかったようである。伯爵家には、秘密にしなければならない末妹がいるらしい。そのくらいの情報は外部にも漏れていると、耳にしたことがある。
「でも、私がここにいることは誰も知らない。エノフィア・アルフェンド、その名前を一体どれ程の人が知っているの?」
この屋敷において、私は忌むべき存在だ。私の母とされている人も、腹違いの兄弟達も、私のことをいない者として扱う。彼が私を認識するのは、私を批判する時だけだ。
使用人達も、それは同じである。私という存在は、アルフェンド伯爵家にとって禁忌ともいえる存在なのだ。
「このまま私は、ここで一生を終えるの? こんな狭い場所で、誰にも知られないまま朽ち果てていくの?」
いくら自問自答しても、答えは出てこなかった。
私の未来は、私にすらわからない。これからどうなるか、それらは全てアルフェンド伯爵家が決めることなのだ。
「エノフィア、いるか?」
「え?」
いつも通り答えが出ない問いかけを続ける私の耳に、人の声が聞こえてきた。
私が誰かに話しかけられる。それはとても珍しいことだ。
この声は、誰の声だっただろうか。それがすぐには思い出せない程、久し振りの体験だ。
「私だ。お前の父だ」
「お父様……?」
「入るぞ?」
「はい……」
どうやら、私を訪ねて来たのはお父様だったらしい。
返事も待たず、彼は部屋に入って来る。その表情は、いつも通り暗い。
「……久し振りだな」
「ええ、そうですね」
お父様は、この屋敷の中で最も私に寄っている人物であるといえる。
当然のことながら、彼にとって私は血の繋がった娘だ。その繋がりがある以上、彼は私にそこまで冷たくなれないのだろう。
だが、それでも彼は私に救いの手を差し伸べたりはしない。今の彼はお母様、つまりは自分の妻に従っているだけの存在だ。
浮気がばれたことによって、彼の立場はかなりなくなってしまっているらしい。今は実質的にお母様が、アルフェンド伯爵家を率いているのだ。
「お前に言わなければならないことがある」
「はい、なんでしょうか?」
「アルフェンド伯爵家は、これ以上お前をここに置いておくつもりはない」
「……それは、どういうことでしょうか?」
お父様の言葉に、私は様々な疑問を覚えた。
今までの経験上、私が伯爵家の一員として受け入れられるということはあり得ない。つまり、この言葉はこの部屋から出られるというだけの言葉ではないだろう。
「言葉通りの意味だ。お前には、この屋敷から出て行ってもらう」
「……何故?」
「理由をお前に話す必要はない」
私がこのアルフェンド伯爵家から追い出される。それは、なんとなく察していたことだ。
だが、そうする理由が思いつかない。私の存在を秘匿したいアルフェンド伯爵家が、私をわざわざ追い出すというのはどうも変である。
そこから考えられることとは、なんだろうか。私は、久し振りに頭を回転させる。
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