家庭の事情で歪んだ悪役令嬢に転生しましたが、溺愛されすぎて歪むはずがありません。

木山楽斗

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24.温かい人

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「さて、続いてはそちらの可愛い子の話を聞かなければならないわね」
「あ、はい……」

 深呼吸を終えた時、丁度リフェルナ様が話しかけてきた。
 恐らく、それは意図的なものだろう。彼女は、私が落ち着くまで待っていてくれたのだ。
 そういった面を考えると、彼女はとても気遣いができるといえる。お兄様が最初の方に言っていたことも、やはり間違っていなかったようだ。

「私は、エルミナ・サディードと申します」
「エルミナさんね。あなたのことも、イルフェン様から聞いています。とても元気で、優しい子だと彼は言っていたわ」
「元気で、優しい……」
「最近、忌々しいことに婚約者ができたとも言っていたわね」
「お兄様……」

 リフェルナ様の言葉に、私は頭を抱えることになった。
 ウェリーナお姉様の時もそうだが、お兄様はなんてことを言ってくれたのだろうか。

 私達家族に愚痴を言うのは、まだいい。
 だが、婚約者に私の婚約について愚痴るなんてみっともないことである。

「お兄様のことを怒らないであげて、エルミナさん。私が無理やり聞き出したようなものだから……」
「無理やり?」
「ええ、あなた達のことを詳しく聞きたくて……ちょっと強引に聞き出してしまったの。イルフェン様、結構押しに弱かったみたいで、ぐいぐい話してしまって……」
「なるほど……確かに、お兄様はそういう所がありますね」

 その時のお兄様の状況は、なんとなく想像することができた。
 厳格そうに見えるが、お兄様は押しに弱い。リフェルナ様があまりにも迫って来るので、余計なことまで喋ってしまったのだろう。

 しかし、それはそれで情けないことである。
 押されてペラペラ喋るなんて、貴族としてどうなのだろうか。もう少し秘密を守れるようになってもらいたいものである。

「まあ、そういった真っ直ぐで誠実な面もイルフェン様の魅力であると私は、そう思っているのです。あなたも、そうなのでしょう?」
「え? えっと、それは……」
「ふふ、イルフェン様もあなた達のことが大好きみたいだけど、逆もそうなのね……その気持ちは、よくわかるわ。私も、お兄様やお姉様からは愛されているし、お兄様やお姉様のことが大好きだもの」

 リフェルナ様は、私に対して笑顔を浮かべていた。それは、とても明るい笑みだ。
 その笑顔を見ていると、心が温かくなってくる。それはきっと、彼女の家族に対する思いが伝わってくるからなのだろう。

 そのことで、私は理解した。リフェルナ様は、本当に素晴らしい人なのだということを。
 もちろん、多少暴走する面もあるだろう。だが、それも愛故のものだ。彼女の温かさの現れであるといえるだろう。
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