74 / 120
74.違和感のある人選
しおりを挟む
「驚きました……どうやら、彼はかなりの力を持っているようですね」
「そうですか……」
マルギアスさんは、私の傍まで来てそのようなことを呟いていた。
私は、グーゼス様がどれだけの力を持っているかは知らない。それを実際に受けたことはないからだ。
しかし、彼はかなりの巨体である。人並み外れた力を持っているであろうことは、想像に難くない。
「ありがとうございます。ルルメアさんの手助けがなければ、危なかったかもしれません」
「いえ、気にしないでください。私も、マルギアスさんが受け止めてくれなければ、逃げ切れなかったかもしれませんから」
「そうですか……お互いに協力し合って、彼を倒しましょう」
「はい」
私とマルギアスさんはそのように会話を交わしながら、前方のグーゼス様の方を見ていた。
彼は、再度こちらに向かってきている。やはり、あの程度の攻撃では少し怯ませるくらいしかできないようだ。
「マルギアスさん、少しの間だけ彼を引き付けられますか?」
「……できなくはないと思います」
「それなら、お願いします。私は、新しい魔法の準備をします。先程のような光の球くらいは出せますから、いざとなったら私も補助しますから」
「わかりました。それでは下がっていてください」
「はい」
マルギアスさんのグーゼス様を任せて、私は後退する。
彼はもう燃やしても無駄だ。それなら、別の手を考える必要がある。
その手は、既に思いついている。だが、彼の巨体をどうにかするにはどうしても時間がいるのだ。だから、マルギアスさんにしばらく彼を引き付けてもらうしかない。
「まだ邪魔をするのか!」
「ルルメアさんにあなたを近づけさせる訳にはいきません」
「ならば、死ねぇ!」
グーゼス様が振り下ろした左手を、マルギアスさんは軽い足取りでそれを躱した。
続いてくる右手に対して、彼は剣を構える。そちらは、受け止めるつもりのようだ。
「行きますよ!」
「む?」
マルギアスさんは、そのまま爪に刃を滑らせて、グーゼス様の懐に飛び込んだ。
一瞬の出来事に、グーゼス様も対応はできなかったようである。そのまま、彼の体に剣が走っていく。
「はあっ!」
「がああっ!」
マルギアスさんの剣が横に払われて、グーゼス様の体が真っ二つになった。
しかし、その体からは触手が出て来て、すぐに二つの体を繋ぐ。
あれも、彼の体の厄介な性質だ。切っても切っても再生する。あのせいで、彼に剣技は通用しないのだ。
「……え?」
しかし、そこで私は違和感を覚えた。
彼に剣技は効かない。それなら、どうして私の護衛はマルギアスさんだったのだろうかと。
彼が剣技に秀でているだけなら、この任務には適任ではない。切っても再生する敵に、彼をぶつける意味がないのだ。
「そうですか……」
マルギアスさんは、私の傍まで来てそのようなことを呟いていた。
私は、グーゼス様がどれだけの力を持っているかは知らない。それを実際に受けたことはないからだ。
しかし、彼はかなりの巨体である。人並み外れた力を持っているであろうことは、想像に難くない。
「ありがとうございます。ルルメアさんの手助けがなければ、危なかったかもしれません」
「いえ、気にしないでください。私も、マルギアスさんが受け止めてくれなければ、逃げ切れなかったかもしれませんから」
「そうですか……お互いに協力し合って、彼を倒しましょう」
「はい」
私とマルギアスさんはそのように会話を交わしながら、前方のグーゼス様の方を見ていた。
彼は、再度こちらに向かってきている。やはり、あの程度の攻撃では少し怯ませるくらいしかできないようだ。
「マルギアスさん、少しの間だけ彼を引き付けられますか?」
「……できなくはないと思います」
「それなら、お願いします。私は、新しい魔法の準備をします。先程のような光の球くらいは出せますから、いざとなったら私も補助しますから」
「わかりました。それでは下がっていてください」
「はい」
マルギアスさんのグーゼス様を任せて、私は後退する。
彼はもう燃やしても無駄だ。それなら、別の手を考える必要がある。
その手は、既に思いついている。だが、彼の巨体をどうにかするにはどうしても時間がいるのだ。だから、マルギアスさんにしばらく彼を引き付けてもらうしかない。
「まだ邪魔をするのか!」
「ルルメアさんにあなたを近づけさせる訳にはいきません」
「ならば、死ねぇ!」
グーゼス様が振り下ろした左手を、マルギアスさんは軽い足取りでそれを躱した。
続いてくる右手に対して、彼は剣を構える。そちらは、受け止めるつもりのようだ。
「行きますよ!」
「む?」
マルギアスさんは、そのまま爪に刃を滑らせて、グーゼス様の懐に飛び込んだ。
一瞬の出来事に、グーゼス様も対応はできなかったようである。そのまま、彼の体に剣が走っていく。
「はあっ!」
「がああっ!」
マルギアスさんの剣が横に払われて、グーゼス様の体が真っ二つになった。
しかし、その体からは触手が出て来て、すぐに二つの体を繋ぐ。
あれも、彼の体の厄介な性質だ。切っても切っても再生する。あのせいで、彼に剣技は通用しないのだ。
「……え?」
しかし、そこで私は違和感を覚えた。
彼に剣技は効かない。それなら、どうして私の護衛はマルギアスさんだったのだろうかと。
彼が剣技に秀でているだけなら、この任務には適任ではない。切っても再生する敵に、彼をぶつける意味がないのだ。
14
あなたにおすすめの小説
【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります
なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。
忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。
「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」
「白い結婚ですか?」
「実は俺には……他に愛する女性がいる」
それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。
私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた
――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。
ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。
「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」
アロルド、貴方は何を言い出すの?
なにを言っているか、分かっているの?
「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」
私の答えは決まっていた。
受け入れられるはずがない。
自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。
◇◇◇
設定はゆるめです。
とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。
もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!
政略結婚だからと諦めていましたが、離縁を決めさせていただきました
あおくん
恋愛
父が決めた結婚。
顔を会わせたこともない相手との結婚を言い渡された私は、反論することもせず政略結婚を受け入れた。
これから私の家となるディオダ侯爵で働く使用人たちとの関係も良好で、旦那様となる義両親ともいい関係を築けた私は今後上手くいくことを悟った。
だが婚姻後、初めての初夜で旦那様から言い渡されたのは「白い結婚」だった。
政略結婚だから最悪愛を求めることは考えてはいなかったけれど、旦那様がそのつもりなら私にも考えがあります。
どうか最後まで、その強気な態度を変えることがないことを、祈っておりますわ。
※いつものゆるふわ設定です。拙い文章がちりばめられています。
最後はハッピーエンドで終えます。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
【完結】私を捨てた国のその後を見守ってみた。
satomi
恋愛
侯爵令嬢のレナは公然の場でというか、卒業パーティーで王太子殿下イズライールに婚約破棄をされた挙句、王太子殿下は男爵令嬢のラーラと婚約を宣言。
殿下は陛下や王妃様がいないときを狙ったんでしょうね。
レナの父はアルロジラ王国の宰相です。実家にはレナの兄が4名いますがみんなそろいもそろって優秀。
長男は領地経営、次男は貿易商、3男は情報屋、4男は…オカマバー経営。
レナは殿下に愛想をつかして、アルロジラ王国の行く末を見守ろうと決意するのです。
次男監修により、国交の断絶しているエミューダ帝国にて。
身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜
しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」
魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。
鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。
(な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?)
実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。
レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。
「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」
冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。
一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。
「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」
これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?
綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。
相手はとある貴族のご令嬢。
確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。
別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。
何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる