せっかくの婚約ですが、王太子様には想い人がいらっしゃるそうなので身を引きます。

木山楽斗

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43.第五王子との対話

 私の目の前にいるのは、第五王子のオルテッド殿下だ。
 王族の中でも最年少である彼は、私の顔を見てあまり気が乗らないというような顔をしている。
 それはそうだろう。まだまだ子供と言える年齢の彼にとって、私との婚約なんて考えられるものではないだろう。

「……父上も何を考えているのか、俺にはわからないな」
「えっと……」
「あ、あのさ。あんまり気を遣ったりしないでいいからね。砕けた感じで喋ってくれよ。年上の人に堅苦しく話されるの苦手なんだ」
「そうですか……あ、いいえ、そうなのね」

 オルテッド殿下は、結構友好的な感じで私に声をかけてきた。
 婚約に乗り切ることはできないが、私に対して悪い印象を抱いているという訳では、ないのかもしれない。

「いやさ、俺は別に国王になるとかは興味なくてさ」
「あら? そうなの?」
「その辺りは、兄上の中の誰かが継いでくれればいいと思っている。大体、第五王子の俺にお鉢が回って来るなんて、考えていなかったんだよ」
「なるほど……」

 オルテッド殿下の言葉に、私は納得していた。
 貴族もそうだが、基本的には家を継ぐのは長男だ。その長男が駄目になったら次男、それが駄目なら三男、そういうものである。
 第五王子ともなると、ほぼ王位を継ぐなんてことはない。そう思っていたからこそ、今回のことには逆に困っているということだろう。

「まあ、そもそもリルティア嬢だって、俺は嫌だろう? 子供過ぎる訳だしさ」
「それは……でも、こういったことはそういう好みで決めることではないと思うの。国王様も、次期国王に相応しいかどうかで判断するように言っていたし」
「うーん。それじゃあ、俺って次期国王に相応しいか? こんな自ら辞退しようって奴が」
「……そう言われると、確かに相応しいとは言えないような気もしてしまうわね」

 本人のやる気もないということなので、オルテッド殿下のことは次期国王候補から外しておいた方がいいのかもしれない。
 仮に全員が辞退した時などは、考え直す必要はあるだろう。ただ、そうならなかった場合は、考える必要がなさそうだ。
 それは私としては、結構助かる。この選ぶ立場というものは、中々に苦しいものだからだ。

「リルティア嬢も大変だよなぁ。父上も無茶を言うよ」
「無茶……まあ、正直私もそう思っているのだけれど」
「投げやりだよなぁ。でもまあ、確かに父上は失敗したしなぁ。アヴェルド兄上か……」

 オルテッド殿下は、苦笑いを浮かべていた。
 それに私も、苦笑いで返す。本当に、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
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