43 / 80
43.第五王子との対話
私の目の前にいるのは、第五王子のオルテッド殿下だ。
王族の中でも最年少である彼は、私の顔を見てあまり気が乗らないというような顔をしている。
それはそうだろう。まだまだ子供と言える年齢の彼にとって、私との婚約なんて考えられるものではないだろう。
「……父上も何を考えているのか、俺にはわからないな」
「えっと……」
「あ、あのさ。あんまり気を遣ったりしないでいいからね。砕けた感じで喋ってくれよ。年上の人に堅苦しく話されるの苦手なんだ」
「そうですか……あ、いいえ、そうなのね」
オルテッド殿下は、結構友好的な感じで私に声をかけてきた。
婚約に乗り切ることはできないが、私に対して悪い印象を抱いているという訳では、ないのかもしれない。
「いやさ、俺は別に国王になるとかは興味なくてさ」
「あら? そうなの?」
「その辺りは、兄上の中の誰かが継いでくれればいいと思っている。大体、第五王子の俺にお鉢が回って来るなんて、考えていなかったんだよ」
「なるほど……」
オルテッド殿下の言葉に、私は納得していた。
貴族もそうだが、基本的には家を継ぐのは長男だ。その長男が駄目になったら次男、それが駄目なら三男、そういうものである。
第五王子ともなると、ほぼ王位を継ぐなんてことはない。そう思っていたからこそ、今回のことには逆に困っているということだろう。
「まあ、そもそもリルティア嬢だって、俺は嫌だろう? 子供過ぎる訳だしさ」
「それは……でも、こういったことはそういう好みで決めることではないと思うの。国王様も、次期国王に相応しいかどうかで判断するように言っていたし」
「うーん。それじゃあ、俺って次期国王に相応しいか? こんな自ら辞退しようって奴が」
「……そう言われると、確かに相応しいとは言えないような気もしてしまうわね」
本人のやる気もないということなので、オルテッド殿下のことは次期国王候補から外しておいた方がいいのかもしれない。
仮に全員が辞退した時などは、考え直す必要はあるだろう。ただ、そうならなかった場合は、考える必要がなさそうだ。
それは私としては、結構助かる。この選ぶ立場というものは、中々に苦しいものだからだ。
「リルティア嬢も大変だよなぁ。父上も無茶を言うよ」
「無茶……まあ、正直私もそう思っているのだけれど」
「投げやりだよなぁ。でもまあ、確かに父上は失敗したしなぁ。アヴェルド兄上か……」
オルテッド殿下は、苦笑いを浮かべていた。
それに私も、苦笑いで返す。本当に、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
王族の中でも最年少である彼は、私の顔を見てあまり気が乗らないというような顔をしている。
それはそうだろう。まだまだ子供と言える年齢の彼にとって、私との婚約なんて考えられるものではないだろう。
「……父上も何を考えているのか、俺にはわからないな」
「えっと……」
「あ、あのさ。あんまり気を遣ったりしないでいいからね。砕けた感じで喋ってくれよ。年上の人に堅苦しく話されるの苦手なんだ」
「そうですか……あ、いいえ、そうなのね」
オルテッド殿下は、結構友好的な感じで私に声をかけてきた。
婚約に乗り切ることはできないが、私に対して悪い印象を抱いているという訳では、ないのかもしれない。
「いやさ、俺は別に国王になるとかは興味なくてさ」
「あら? そうなの?」
「その辺りは、兄上の中の誰かが継いでくれればいいと思っている。大体、第五王子の俺にお鉢が回って来るなんて、考えていなかったんだよ」
「なるほど……」
オルテッド殿下の言葉に、私は納得していた。
貴族もそうだが、基本的には家を継ぐのは長男だ。その長男が駄目になったら次男、それが駄目なら三男、そういうものである。
第五王子ともなると、ほぼ王位を継ぐなんてことはない。そう思っていたからこそ、今回のことには逆に困っているということだろう。
「まあ、そもそもリルティア嬢だって、俺は嫌だろう? 子供過ぎる訳だしさ」
「それは……でも、こういったことはそういう好みで決めることではないと思うの。国王様も、次期国王に相応しいかどうかで判断するように言っていたし」
「うーん。それじゃあ、俺って次期国王に相応しいか? こんな自ら辞退しようって奴が」
「……そう言われると、確かに相応しいとは言えないような気もしてしまうわね」
本人のやる気もないということなので、オルテッド殿下のことは次期国王候補から外しておいた方がいいのかもしれない。
仮に全員が辞退した時などは、考え直す必要はあるだろう。ただ、そうならなかった場合は、考える必要がなさそうだ。
それは私としては、結構助かる。この選ぶ立場というものは、中々に苦しいものだからだ。
「リルティア嬢も大変だよなぁ。父上も無茶を言うよ」
「無茶……まあ、正直私もそう思っているのだけれど」
「投げやりだよなぁ。でもまあ、確かに父上は失敗したしなぁ。アヴェルド兄上か……」
オルテッド殿下は、苦笑いを浮かべていた。
それに私も、苦笑いで返す。本当に、どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
あなたにおすすめの小説
ベールを上げた新郎は『君じゃない』と叫んだ
ハートリオ
恋愛
結婚式で新郎に『君じゃない』と叫ばれたのはウィオラ。
スピーナ子爵家の次女。
どうやら新郎が結婚する積りだったのは姉のリリウム。
ウィオラはいつも『じゃない方』
認められない、
選ばれない…
そんなウィオラは――
中世ヨーロッパ風異世界でのお話です。
よろしくお願いします。
「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった
歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。
だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」
追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。
一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。
誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。
「その言葉は、もう翻訳できません」
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【今さら遅い】毒で声を失い公爵に捨てられた私。妹では精霊が応えず国は滅びへ。ですが隣国皇帝に溺愛される私に、今さら縋ってきても遅いです
唯崎りいち
恋愛
国一番の歌姫だった私は、妹に毒を盛られ声を失い、婚約者に捨てられた。
すべてを奪われた私を救ったのは、隣国の皇帝。
「お前の歌がなければ国は滅びる」と言われた私の歌は、精霊に届く“本物”の力を持っていて――
一方、私を追放した国は偽物の歌では加護を失い衰退。
今さら元婚約者が縋ってきても、もう遅い。
【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後
綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、
「真実の愛に目覚めた」
と衝撃の告白をされる。
王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。
婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。
一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。
文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。
そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。
周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?
王妃を蔑ろにし、愛妾を寵愛していた王が冷遇していた王妃と入れ替わるお話。
ましゅぺちーの
恋愛
王妃を蔑ろにして、愛妾を寵愛していた王がある日突然その王妃と入れ替わってしまう。
王と王妃は体が元に戻るまで周囲に気づかれないようにそのまま過ごすことを決める。
しかし王は王妃の体に入ったことで今まで見えてこなかった愛妾の醜い部分が見え始めて・・・!?
全18話。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。