婚約を白紙に戻すそうですが、そんなの認めません!先回りさせていただきます。

国湖奈津

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渡りに船

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王宮で働かずに、普段のイザックの姿を知るにはどうしたらいいだろうか。
具体的にはイザックのお気に入りの侍女・使用人は誰なのか、それが知りたい。

王宮で働いている人を買収して噂話を聞き出す!?
でも王宮の使用人は口が堅くなくては務まらない。
簡単に買収できるだろうか?

情報通の友達に頼ってみる!?
でも知っているならとっくに教えてくれていたはず。

既にイザックは私との婚約を白紙に戻すつもりなのだから、意中の相手との付き合いはある程度長いはずだ。
それなのに私の耳にその情報が入ってきていない。

ということは、情報通の友人も知らないか、あるいは気を遣って私の耳に入らないようにしてくれていたということ。
聞き出すことはできないかもしれない。

やっぱり王宮で働くのが一番いい方法だと思う。

(そうだ!黒魔術の儀式に使うためにイザックの髪も必要なんだわ)

イザックの髪を手に入れるためにも、王宮で働きたい。

(リナに無理だと言われてしまったのだし、あきらめるしかないのよね。あー、もう考えるのはやめて寝ちゃいましょうか)

仕方なく、諦めてふて寝することにした。



ところが翌日、リナが1人の使用人を連れてやってきた。

「お嬢様、昨日お話しされていた件について、お役に立てそうな者が見つかりましたので、連れて参りました」

「昨日の件?」

なんだろう。
リナの出生の秘密?
もしかして、王宮で働く話だろうか?

「とりあえず、コニーの話を聞いてください。コニー、昨日話してくれたことをお嬢様にもお話ししてくれる?」

リナが少し後ろに控えていたコニーを促すと、コニーはおずおずと一歩前に出た。

コニーは明るいブラウンの髪の優しそうな少女だった。
年は私よりも少し上かもしれない。

「リュシーお嬢様、初めてお話しさせていただきます。リネン室勤務のコニーと申します」

コニーはすごく緊張しているみたいで、言葉も態度も固い。

「緊張しなくて大丈夫よ。いつも通り話してね」
こんなに緊張していては話しづらいだろうと思い、私は言葉をかけた。

「そうよ、コニー。お嬢様は罰を与えたりするような方じゃないから安心して」
リナも言葉をかけている。

(働いていると、罰を与えられることがあるのかしら?)
王宮で働きたいと思っている私は、リナの言葉が気になったけれどコニーが話せるよう黙っていた。

「はい。それでは話させていただきます。私の叔母はパットと申しまして、25年前までこちらのお屋敷で働いていました。結婚して退職し、しばらく子育てをしていたのですが、15年前から王宮勤務をしています。私の妹は叔母のコネで近々王宮で働くことになっていたのですが、体調を崩してしまい…。私は叔母に連絡をしようと思っていました。その話をリナにしたら、一緒に来てほしいとこちらに連れてこられまして…」

コニーの話を聞いた私は、リナを見た。
私と目が合ったリナは、したり顔でうなずいた。

「ちょっと分からないことがあるから教えて。コネというのは何かしら?」

私が質問すると、リナが説明をはじめた。

「つまりですね、お嬢様。王宮で働くには第2の方法があったんです。長年王宮に勤務した信頼できる者の推薦です。コニーの妹は今まで一度も働いたことがありません。けれど王宮勤務の優秀な叔母の推薦で王宮に勤めることになったんです」

「…けれど、体調を崩してしまって、少しの間働けない…。分かったわ、リナ。あなたの考えていることが!つまりコニーの妹の代わりに、私が王宮勤務するのね!?代役ね?」

私の推理はきっと合っていると思う。
興奮したままリナを見ると、リナは大きくうなずいていた。
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