後宮に入りましたが、旦那さんが来ないので恋人を探します

国湖奈津

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それから2週間、私はだいぶ元気になった。
意識を取り戻してすぐの頃は、長い間起きていられなかったのが、今はほとんど普通の生活ができるほどに回復している。

まだ左肩を動かすと引きつる痛みがあるけれど、それも時間が解決してくれると思えるようになってきた。

タバールさんは、いつも夜遅く花を持ってやってきて、私の様子を確認し、少し会話をして帰っていく。
事情聴取できるくらい私の体が回復するまで待ってくれているようだ。

ここ3日間は、出張があるとかで来ていないけれど、今日は来る予定になっていた。
私はそろそろここを出たいと言ってみようと思っていた。

いつまでも後宮の中にいるのはまずいと思うのだ。
アクラムがうまくやってくれているみたいだし、ジェーンに誰も興味を持ってないから大丈夫だとは思うけど、私は今、一人二役の状態。

どうにかしなければ。

それに仕事のこともある。
新入りが事故に遭って1か月近く休んでいたら、とっくに解雇になっていそうだけど、ウェッソン商会の皆にはよくしてもらったから挨拶してからアラン・スミシーを消したいという気持ちがあった。


私はいつも寝室にいたけれど、いつの間にか応接室に家具が運び入れられていた。
元気になったことをアピールするためにも、今日は応接室でタバールさんを出迎えようと待っていた。

そわそわと落ち着かない気分で待っていると、部屋の扉を開ける音が聞こえた。
私は立ち上がり、タバールさんを出迎えた。


「ジェニファー、歩いて大丈夫なのか?」

アラン・スミシーはすぐに偽名だとばれてしまったので、私はジェニファーという名前を本当の名前として仕方なく使っている。
嘘が嘘を呼ぶということを、身をもって体感中だ。

「大丈夫です。私の火傷は肩なので、足は全く問題ないです」
「しかし、体力が回復していない。危険だ。すぐにベッドに運んでやる」

タバールさんは私を抱きかかえようとした。
私は大丈夫だと言って、ジャンプしてみせた。

なんというか、タバールさんは心配性?過保護?だ。
どうやら、私がものすごく弱っているところを見てしまったせいで、心配してくれているみたい。

「実は、タバールさんにお話ししたいことが有って、待ってたんです」
「そうか、私も話したいことがある。今日の話は長くなるかもしれない。体に障るといけない。ベッドで話そう」

タバールさんは傷に触れないよう、慎重に抱きかかえて、私をベッドに運んだ。

私がベッドに横になると、タバールさんはベッド脇の椅子に座り、私の右手を握った。
これはタバールさんの癖みたいだ。

最初はギョッとしたけど、体力不足で手を引き抜くこともできず、そのうち慣れてしまい、今はされるがままになっている。

話している間、タバールさんは私の手をなで、最後に手の甲にキスをして帰るというのが定番になっていた。
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