消耗品扱いの発掘技師は、元クールビューティーな魔造少女と世界を救う

わたなべ ゆたか

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消耗品扱いの発掘技師は、元クールビューティーな魔造少女と世界を救う

発掘都市アーハム襲撃 その3

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 発掘都市アーハム襲撃 その3


 アーハムの東門に、軍と護衛兵の部隊が集結しつつあった。
 新たに逗留した国家連合軍三個小隊のうち、二個小隊は二手に分かれて左右に位置し、一個小隊は後方だ。
 護衛兵は各小隊の指揮下に入る形で、それぞれ約三〇人が集結。門の側に最終防衛ラインとして二〇人を配置していた。

 日も落ち、空には星や月が浮かんでいる。
 監視塔から強力な照明で照らされた荒野の向こう側に、魔物の軍が集結していた。その距離、およそ一ロクト(約一.八四キロ)。
 ジョージ大尉は拡声器で持ちながら、集結した部隊の前に出た。


「諸君! これより、防衛作戦を展開する。魔物の部隊は、見たところ諸君らより少ない。機動力は向こうが上だが、攻撃と防御は諸君らが圧倒していると、わたしは確信している。最前線と比べれば、楽な戦いになるだろう! だが、油断はするな。全員で帰還することを期待する」


 ジョージ大尉が指揮のために後方へ下がると、グレイが大声を張り上げた。


「鷹の陣形を維持しつつ、進軍を開始する。三人ひと組を忘れるな。総員っ、前へ!!」


 ジョージ大尉との作戦会議で、陣形の進言をしたのはグレイだった。護衛兵の兵長として、小隊長の一人とともに前線の指揮を任されたグレイは、戦斧を真上に掲げた。
 部隊が進軍を開始してから、両翼の部隊が三人づつの集団に纏まりながら、横長に展開していく。
 両翼で相手を防ぎつつ、後方に位置した部隊による遠距離攻撃――これが、鷹の陣形の戦術である。



 アーハムから出てきた部隊の動きを見て、ゴブリンロードは蛮刀を抜き払った。


「あのような陣形――前線を知らぬ守備隊など、こんなものか。魔導器の優劣など、さして重要ではないことを教えてやる。もっとも」


 そこで言葉を切ったゴブリンロードは、蛮刀を天高く掲げた。


「それを活かすことは、ないだろうがな」


 鼻を鳴らしながら蛮刀を振ると、ワーグに跨がった騎兵が駆け出した。両翼のオーガたちが、投石器の巻き上げを始めた。


「前衛の接敵後、笛を鳴らせ! 奴らを顎で噛みつぶすのだ」


「は――敵が顎に入り次第、笛を鳴らせ!!」


 歩兵の長なのか、ゴブリンの指示で三体のゴブリンが角笛を口元へ寄せた。
 それから数分と経たずに、ワーグに乗った騎兵たちが、広がった連合軍と護衛兵の混成部隊と接敵した。


「吹け!」


 ゴブリンの兵長の号令で、角笛が鳴り響いた。
 角笛の音が戦場まで届いた――その直後、乱戦を始めている護衛兵たちの背後で、地面から二〇体のゴブリンが出てきた。自分たちの身の丈ほどもある盾を携えたゴブリンたちは、二方向――乱戦をしている護衛兵と、後方の部隊へ――に分かれた
 地面に掘ったや窪みに身を潜め、盾に土を乗せて偽装していたのだ。敵を前後から挟み撃ち、そして後方の部隊を攻める顎――それがゴブリンたちの戦術だった。
 護衛兵たちは、完全に不意を突かれた形になっていた。
 背後からゴブリンに襲われた護衛兵らは、魔導器の結界で護られてはいるが、騎兵との挟撃で魔力を消耗させられる羽目になった。
 後衛の部隊は援護しようにも、目の前に迫るゴブリンたちへの対応で精一杯だ。
 後衛が銃撃を開始していたが、ゴブリンたちは盾から結界を張って防いだ。


「魔導器を持っているなんて!?」


 後衛を指揮する小隊長が、驚愕に目を見広げた。前線でも、魔導器を使う魔物は少数しかいない。
 魔物が使う魔導器は、討ち取った兵から剥ぎ取ったものが大半で、破損したものばかりだ。しかし、彼らの使う盾は傷は少なく、性能を充分に発揮していた。
 ――魔物の軍の精鋭部隊。
 小隊長は今になって、自分たちが相対している敵の正体に気づいた。


「総員、白兵戦の構え!」


 ライフル型の魔導器から長剣の魔導器に持ち替えつつ、小隊長は叫んだ。



 最終防衛ラインに配備されていたファインは、前で行われている戦いの様子に、身体の震えが止まらなくなっていた。
 軍や熟練の護衛兵ですら、苦戦を強いられている相手だ。まだ若手と称される自分たちで、そんな相手に太刀打ちできるだろうか?
 その不安に押しつぶされそうになったとき、ジョージ大尉からの指示が飛んできた。


「第四隊は、第三隊の援護へ行け!」


 第四隊は、ファインら採取防衛ラインにいる護衛兵の部隊。第三隊は遠距離攻撃を担う部隊だ。
 ファインを含め、第四隊の護衛兵に緊張が走った。
 その直後、巨大な岩が飛来してきた。岩はファインらの斜め左を通り過ぎ、監視塔の屋根を掠めて街中へと落ちていった。
 屋根の破片が降り注ぐ中、今度は右斜め上を巨石が通り過ぎる。今度は右の監視塔の壁の一部を剥ぎ取りつつ、街へと落ちていった。


「やつら……照明を狙っているのか?」


 日が落ちた今、照明が無くなれば夜目の利くゴブリンが有利になる。挟み撃ちに、後衛への攻撃――一方的な虐殺が始まるのは火を見るより明らかだ。
 ファインたちが前に進み始めたとき、左の監視塔へと巨石が飛来した。軌道の修正をしたのか、今度の巨石は間違いなく、監視塔を直撃する。
 第四隊の護衛兵らが、絶望的な表情で巨石を目で追った。

 その直後、街から撃ち出された魔力砲の一撃が、空中の巨石を破壊した。
 破片が周囲に飛び散る中、赤と黒に塗り分けられた巨人が、アーハムから飛び出してきた。
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