19 / 28
甘い食事の話(R18-)
しおりを挟む
名前を呼ぶ低い声が、じんと胸の底を焼いた気がしたけど、
それが胸の底なのか腹の奥なのかは分からなかった。
私には経験がないから。
今日の夜とベッドの届く夜に何が起きて自分がどうなってしまうのか、途端に心細くなって、急に実家に帰りたいような、気持ちになった。でも決して嫌じゃない。
オーブンの焼き上がりを告げる電子音が、救いのように聞こえた。
底の見えない暗闇が広がる穴の淵に立っている様な、身の置き場のない心細さがあった。
この身をすべて曝け出して彼に抱かれると言うことが、いまいちどう言うことなのか分からない。
もちろん知識はあるし、夫は初めてではないことも知っている。
彼に触れられるのは心地いい。
セックスがその延長にあるのなら、きっと大丈夫なんだろうと思う。
トレイに鍋敷きを敷いて耐熱皿をオーブンから取り出して重ねると、夫がそれをひょいと取り上げた。
とりわけ用の大きいスプーンを持って、とりわけの皿を二つ用意して彼を追うと、夫は足を開いて座り、私を膝の上に促して、私を抱えるように座らせた。
「食べにくくないですか。」
「香織を抱いて食べられるなら食べやすさなんてどうだっていいんだよ。」
「修司さんて・・・・・・」
「なに?嫌になったかな。」
向かい合って夫の上に跨って夫の顔を両手で包み、そっと唇を合わせた。
「10年放っておかれても嫌いになれなかったのに?意外といちゃいちゃするのが好きなんですねっていいたかったの。」
夫が背中に手を回して、後頭部を押さえ、舌をにゅるりと侵入させて私の歯を飴玉みたいに舐めた。
私はそんなところまで舐めると知らなかったので、自分もそれに倣った。
はるか遠くに煙草の味を感じた。
夫にゆっくりと体を離されて抱えられ、取り分けたグラタンを口に運ばれる。
それを咀嚼して飲み込んでしまうと、次はあなたの番。
こんなに甘い食事があるだなんて知らなくて、
大皿分のグラタンを食べ切ってしまうと、私はすっかり疲れてしまった。
「私、お風呂に入ってきます。」
「うん。君の部屋で待っててもいい?」
「はい·····あの。」
夫は少し屈んで私の顔を覗き、着替えを取りに行く私の手を引いて私の部屋へ向かった。
「なに?どうしたの?」
「あの。私、なにを着て出てきたらいいんですか?」
「んっふふ。可愛い。やっぱり嫌だとか言われると思ったらなんだそれ。」
夫は私を先に部屋へ入れて、口を大きな手で覆って笑った。
「だって・・・・・・分からなくて。」
「うん、ごめんね。なに着ててもいいよ。好きな格好で出ておいで。」
夫は私の頭を撫でながらそう言った。
私はとりあえずいつものゆったりしたワンピース型のパジャマを取り出して部屋を出た。
いつもの5倍は念入りに体を洗って、髪も丁寧にオイルを染み渡らせて髪乾かして、ブラジャーはつけずに部屋へ戻った。
夫はベッドに横になっていて、いつもの自室に夫がいることに胸が少しだけ大きめの音を立てた。
だけど夫がすぐに起き上がって私の指の先を掬うように繋いで手を引いたので、そのかすかな胸の音はすぐに早鐘のように私の身体中でけたたましく鳴り始めた。胸の奥や、頭の中や、喉の奥や、お腹の底で。
「香織。ずっと勇気がでなくてごめんね。俺に下さい。」
「はい。」
手を引かれてベッドに抱えるように座らされて、優しく寝かされると、すぐに夫の手が胸を覆った。
私のそこは信じられないくらいやかましい音を立てていたので、恥ずかしくてぎゅっと目を閉じた。
「香織、緊張してる?すごい音だね。」
「はい。緊張してます。恥ずかしい・・・・・・。」
「嫌だったら、いいんだよ。どっちみち今日は最後まではしないつもりだし、抱き合って寝ようか?」
「あ、そうか・・・・・・ベッド・・・・・・。」
「うん。今日は気持ちいいことだけして寝よう。そもそも俺は、君に離婚を切り出された男だし。」
夫は拗ねたようにそう言って、私を抱き込んでベッドに倒れた。
「あ、ごめんなさい。私・・・・・・。」
実家から帰ってひとりリビングで泣いてたのが、ひどく昔に感じた。
それが胸の底なのか腹の奥なのかは分からなかった。
私には経験がないから。
今日の夜とベッドの届く夜に何が起きて自分がどうなってしまうのか、途端に心細くなって、急に実家に帰りたいような、気持ちになった。でも決して嫌じゃない。
オーブンの焼き上がりを告げる電子音が、救いのように聞こえた。
底の見えない暗闇が広がる穴の淵に立っている様な、身の置き場のない心細さがあった。
この身をすべて曝け出して彼に抱かれると言うことが、いまいちどう言うことなのか分からない。
もちろん知識はあるし、夫は初めてではないことも知っている。
彼に触れられるのは心地いい。
セックスがその延長にあるのなら、きっと大丈夫なんだろうと思う。
トレイに鍋敷きを敷いて耐熱皿をオーブンから取り出して重ねると、夫がそれをひょいと取り上げた。
とりわけ用の大きいスプーンを持って、とりわけの皿を二つ用意して彼を追うと、夫は足を開いて座り、私を膝の上に促して、私を抱えるように座らせた。
「食べにくくないですか。」
「香織を抱いて食べられるなら食べやすさなんてどうだっていいんだよ。」
「修司さんて・・・・・・」
「なに?嫌になったかな。」
向かい合って夫の上に跨って夫の顔を両手で包み、そっと唇を合わせた。
「10年放っておかれても嫌いになれなかったのに?意外といちゃいちゃするのが好きなんですねっていいたかったの。」
夫が背中に手を回して、後頭部を押さえ、舌をにゅるりと侵入させて私の歯を飴玉みたいに舐めた。
私はそんなところまで舐めると知らなかったので、自分もそれに倣った。
はるか遠くに煙草の味を感じた。
夫にゆっくりと体を離されて抱えられ、取り分けたグラタンを口に運ばれる。
それを咀嚼して飲み込んでしまうと、次はあなたの番。
こんなに甘い食事があるだなんて知らなくて、
大皿分のグラタンを食べ切ってしまうと、私はすっかり疲れてしまった。
「私、お風呂に入ってきます。」
「うん。君の部屋で待っててもいい?」
「はい·····あの。」
夫は少し屈んで私の顔を覗き、着替えを取りに行く私の手を引いて私の部屋へ向かった。
「なに?どうしたの?」
「あの。私、なにを着て出てきたらいいんですか?」
「んっふふ。可愛い。やっぱり嫌だとか言われると思ったらなんだそれ。」
夫は私を先に部屋へ入れて、口を大きな手で覆って笑った。
「だって・・・・・・分からなくて。」
「うん、ごめんね。なに着ててもいいよ。好きな格好で出ておいで。」
夫は私の頭を撫でながらそう言った。
私はとりあえずいつものゆったりしたワンピース型のパジャマを取り出して部屋を出た。
いつもの5倍は念入りに体を洗って、髪も丁寧にオイルを染み渡らせて髪乾かして、ブラジャーはつけずに部屋へ戻った。
夫はベッドに横になっていて、いつもの自室に夫がいることに胸が少しだけ大きめの音を立てた。
だけど夫がすぐに起き上がって私の指の先を掬うように繋いで手を引いたので、そのかすかな胸の音はすぐに早鐘のように私の身体中でけたたましく鳴り始めた。胸の奥や、頭の中や、喉の奥や、お腹の底で。
「香織。ずっと勇気がでなくてごめんね。俺に下さい。」
「はい。」
手を引かれてベッドに抱えるように座らされて、優しく寝かされると、すぐに夫の手が胸を覆った。
私のそこは信じられないくらいやかましい音を立てていたので、恥ずかしくてぎゅっと目を閉じた。
「香織、緊張してる?すごい音だね。」
「はい。緊張してます。恥ずかしい・・・・・・。」
「嫌だったら、いいんだよ。どっちみち今日は最後まではしないつもりだし、抱き合って寝ようか?」
「あ、そうか・・・・・・ベッド・・・・・・。」
「うん。今日は気持ちいいことだけして寝よう。そもそも俺は、君に離婚を切り出された男だし。」
夫は拗ねたようにそう言って、私を抱き込んでベッドに倒れた。
「あ、ごめんなさい。私・・・・・・。」
実家から帰ってひとりリビングで泣いてたのが、ひどく昔に感じた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜
紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。
連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。
兄様達の愛が止まりません!
桜
恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。
そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。
屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。
やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。
無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。
叔父の家には二人の兄がいた。
そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる