恋慕

よる

文字の大きさ
18 / 28

夫の過去の話(R18)

しおりを挟む
ホワイトソースを作っていると、お風呂を済ませた夫が後ろから優しく手を回し、お腹の辺りに手を添えた。

「美味しそうだな。」

「うん、もう少し待って下さいね。」

そのお腹の手に自分の手を添えて返すと、

夫は返事の代わりに首の後ろに優しくキスを返してくれた。

そのつけた唇が舌になり、最後は強く吸い上げながら
お腹の手のひらがエプロンの脇から胸に上がり、セーターの上から先端を指先で摘んで押しつぶすように擦った。

「あ、修司さん・・・・・・もう。ご飯作ってるので、ソファで待ってて下さい。」

「はーい。」

夫は私の唇にキスをして、私から離れて行った。

触られていた胸の先が、疼くように尖っている。

セーターのざらざらした感触が擦れて、それすらも心地よくなってしまう。


はしたない感情を頭を振るって捨て去って、グラタン皿を食器棚から取り出して準備をしていると、夫が後ろからさらに上にしまっていた大きめの耐熱皿に手を伸ばした。

「え?」

「大きいので焼いて二人でソファで食べたいと思って。いい?」

「はい。」

夫に渡された皿を受け取って、グラタンの準備をしてオーブンに入れ、夫の座るソファに並んだ。

「大きいお皿になったから、焼けるまで少し待って下さいね。」

夫は私を抱き寄せて、肩に顔を埋めた。

「香織さん。ごめんねえろいことばっかりして、僕のことキモかったら言ってね。嫌いにならないで。」


ぎゅう、としがみつく夫の背中を撫でると、夫はそのまま首筋に顔を移動させてかぶりついた。

「なりません。10年も耐えたのに、今さら嫌いになんてならない。」

「香織さん。僕は君が可愛くて可愛くて、たまらないんだ。君を抱いてしまったら、僕はきっとたかが外れたようになる。好きだよ。めちゃくちゃにしたいけど、抱くのが怖い。」

「私は早く修司さんの奥さんにして欲しいです。めちゃくちゃにして欲しいし、あなたの赤ちゃんが欲しい。」

「は、待って、興奮して射精しそう。君を孕ませるなんて・・・・・・。」

夫は勃起しているであろうそれを手で押さえて、ぶるりと震えた。


「修司さん、お願いが・・・・・・。」

「なんでも言って。なんでもするよ。」


「本当は自分のこと、僕、じゃないですよね?私の前でも普通に喋って欲しい。あと、香織って呼んで。」

父の話ではフランクな話し方のはずの夫が私の前で僕、と言う度に距離を感じた。私の前では素の自分を曝け出してくれていないようで。


「そんなの・・・・・・いいの?」

「いいんです。もっと普通に、お願い。」

「香織。好きだよ。可愛い。

君に彼氏が出来たって聞いた時、俺がどんな気持ちだったか分かる?デートしてるのを見にいったこともあるよ。

君とあの馬鹿そうなガキがセックスすると思うと気が狂いそうだった。

頭の中で何度も何度も君を抱いたよ。君が高校生の頃から。俺の奥さんになっても。君の隣の部屋で君のことを考えながら毎晩オナニーしてた。可愛い香織。ずっと俺のものでいて。」

ソファに私を抱き締めたまま倒れ込んで、私の胸に顔を埋めた夫が、顔を歪めて高校生の時に一瞬だけ付き合った彼氏のことを話すのを見るだけで胸がときめいた。

「修司さん、可愛い。キスしていい?」

夫が体を起こして、はい、と真っ赤な顔をして目を閉じた。

その汗の滲んだ顔が、私を抱き締めただけで果ててしまった昨夜の苦しげな顔と重なって、私は夫の顔を両手で包んだ。触れた瞬間、夫がびくりと震える。
それを無視して、唇を重ねて舌を差し入れ、そのままソファに押し倒した。


「修司さん、私だって知ってるんですよ。

大学の時彼女がいたの。その人が初体験だったって。
綺麗な人でしたか?気持ちよかった?昨日の夜よりも?私だって悔しかった。あなたのそんな話をお父さんから聞いた時。」

「くそ、水野さん・・・・・・。」


夫にされたように、私も夫の首筋を齧る。

「は、待って香織。興奮する。やめて。」


「ねえ、気持ちよかった?大学の時の彼女とセックスした時。」

「よくなかったよ。少しもよくなかった。好きだったわけじゃないし。俺だってすぐ別れたよ。それから香織と会うまで、会ってからも誰とも付き合ってないよ。」

ジムで鍛えている夫の体に自分の体を擦り付けるように上に重なると、太ももに当たる夫のそれがびくびくと反応した。


その時にオーブンが鳴って、私は体を起こす。

「香織」

夫は私を引き寄せて、腕の中に閉じ込めると、力いっぱい抱き締めて、私を解放した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」

透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。 そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。 最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。 仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕! ---

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

財閥御曹司は左遷された彼女を秘めた愛で取り戻す

花里 美佐
恋愛
榊原財閥に勤める香月菜々は日傘専務の秘書をしていた。 専務は御曹司の元上司。 その専務が社内政争に巻き込まれ退任。 菜々は同じ秘書の彼氏にもフラれてしまう。 居場所がなくなった彼女は退職を希望したが 支社への転勤(左遷)を命じられてしまう。 ところが、ようやく落ち着いた彼女の元に 海外にいたはずの御曹司が現れて?!

処理中です...